万治の石仏に別れを告げ、次なるお宮目指して再び歩き始めます。春宮の鳥居前の横道へと入り坂道を登ると、一気に視界が開ける場所が。眼下には下諏訪の街並みが広がり、遠くには白く凍てついた諏訪湖が薄っすらと見えています。
今歩いている道は、かつて日本橋と京都を結んだ旧中山道。狭い道幅とゆるりとくねる道が、古くからの街道筋であることを物語るかのよう。空から舞うを頬に感じつつ歩けば、いつしか気分は江戸時代の旅人に。
下諏訪宿は旧中山道の中で唯一温泉の湧く宿場だったのだそう。道中を歩いていると、神社の石垣や民家、外湯など、様々な場所で温泉が流されているのを目にします。
道沿いに並ぶ古い民家や湯宿を愛でつつ歩いていると、ひときわ目立つ立派な門構えが。江戸時代からの生き証人ともいえる本陣岩波家は、予約すれば内部も見学できるそう。
本陣を過ぎるとかつて宿場問屋があったという場所へ。言わば下諏訪宿の中心地、大きな絵には賑わう宿場の様子が描かれています。そしてこの先で甲州街道が中山道に合流。僕の慣れ親しんだあの道は、ここを目指していたんだ。いつもよく通る道、日常の先の終着点。何となく不思議な感じがします。
春宮から歩くこと15分ちょっと、諏訪大社下社秋宮に到着。宿場に近く街道の分岐点にあるということもあり、しんとした春宮とはまた違った趣に包まれます。
鳥居をくぐるとすぐ目に入るのが、天を突くように立つ立派な杉の御神木。この根入の杉は、樹齢800年にもなるのだそう。
根入りの杉の背後には、立派な注連縄が印象的な神楽殿。小雪の中凛と鎮座する狛犬は、青銅製のものとしては日本一の大きさだと言われています。
そしてこちらにも、見上げるほどの高さの一之御柱が。この巨大な丸太に人が乗り、急な斜面を滑り落ちてゆく。画面越しでしか見たことがないけれど、こうして目の当たりするとその迫力は想像に難くありません。
雪の舞う中、重厚な造りの幣拝殿にお参りを。いつかは訪れてみたいと想い続けてきた、諏訪大社。こうしてその機会に恵まれたことのお礼を伝えます。
春宮と秋宮、下社の両社へのお参りを終え、時刻はちょうどお昼どき。どこで食べようかと考えていると、秋宮のすぐ目の前におそば屋さんを発見。やっぱり信州来たならそばだな、ということで『そば処みやさか』へとお邪魔します。
舞い散る雪を愛でつつ待つことしばし、もりそばが到着。まず目を引くのは、その太さ。あ、これ僕の好きなやつ。細く上品なおそばも好きですが、食べごたえ満点の太いそばもまた大好物。
期待しつつ早速ひと口。すると口中で味わえる「そばを食べてる!」感。この太さですが嫌なモソモソ感はなく、風味の良いわさびや丁度良い塩梅のつゆと相まってひと口、またひと口と啜りたくなります。
やっぱり信州、間違いない!おいしいおそばに大満足し、バス停目指して歩きます。すると表通りの一本入ったところに、雰囲気の良い路地を発見。蔵や民家の隙間を縫いつつ進めば、次はどんな景色が見えるのかと思わずワクワクしてしまう。
頬に雪の冷たさを感じつつ歩く、細い路地。下諏訪にはこんな味わい深い路地がいくつもあるようで、次訪れるときはもっと時間を掛けて歩いてみたい。
初めて訪れた下諏訪の街を満喫し、次なる街へと向かうことに。秋宮から続く道の先にある大社通り四ツ角バス停より、『スワンバス』の外回り線に乗車します。
次に目指すは、お隣の上諏訪。13年ぶりとなる再訪に、思わず胸は高鳴るのでした。
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