6月下旬、朝の羽田空港。今年もついに、この日がやってきた。僕にとってなくてはならない、八重山での夏休み。これがあるから、1年間頑張れる。そう言っても過言ではない、僕の生き甲斐とも言える大切な時間。
今回は趣向を変えて、いつもとは違うホテルに泊まってみることに。そう思いプランを探していると、どうやらJAL利用が一番お手頃価格。ということで、いつもなら第2ターミナルから飛び立つところですが、今回は第1ターミナルから旅立ちます。
これまで散々青い翼にお世話になっておきながらこんなこと言うのも何なのですが、実は僕はほんのりJAL派。北海道スキーでは必ず日本航空を選んでいたので、久々となる搭乗を控え並ぶ鶴丸を眺めるだけでもテンションが上がってしまう。
実は、鶴丸の日本航空に搭乗するのは30年ぶり。その後スキーで利用していたときは太陽のアーク塗装だったので、大人になってから鶴丸に触れるのは初めてのこと。
こどもの頃の憧れであった鶴丸に乗ることができるだけでも十分すぎるのに、今回搭乗するのは最新鋭のA350。実はこれが、人生初のエアバス機。ボーイングしか経験したことのない僕にとって、余りにも高揚感溢れる旅立ちの条件が揃いすぎている。
タヌキ顔と称される独特な顔立ちもさることながら、何となく全体的に丸みを帯びた柔らかなデザイン。凛々しさを感じさせるボーイングもいいけれど、どことなく欧州の空気感を纏うエアバスの姿に、搭乗の瞬間が今か今かと待たれます。
ついに機内への案内が始まり、長いボーディングブリッジを歩き飛行機へ。途中の窓からは、誇らしげに描かれるAIRBUSA350の赤い文字。うわぁ、よりによって初搭乗が初号機かよ!あれ?自分ってこんなに飛行機好きだったっけ?我ながらそう思うほど、思わずテンション爆上がり。
機内へと入ると、広さを感じさせつつもどことなく漂うシックな雰囲気。グレー系の窓周りや座席、その空間を仕切る臙脂の壁。明るい天井周りとの対比は、乗っていて「地に足がついている」ような落ち着きを感じさせてくれるよう。
年甲斐もなく、初めてのエアバス機にずっとキョロキョロ。窓の外に見える赤いグラデーションに彩られたウィングレットや白い尾翼に映える鶴丸に目を奪われますが、各座席に設けられたモニターも気になります。
映像コンテンツや飛行マップのほか、この機種ならではの機外カメラがまた面白い。尾翼と前輪のアングルを選べ、普段は絶対に見ることのできない視座からの眺めを愉しめます。
機外カメラで飛行機が地上を走行する様子を俯瞰していると、ついに滑走路の始端へと到着。
一瞬の静けさの後、出力を上げ始めるエンジン。機内にその轟きが満ちてきたかと思えば、飛行機はブレーキを外して滑走開始。そしてついに、朝日に煌めく海を見下ろし大空へ。堪らない。何度味わってもこの瞬間は、ゾクゾクする。
大きく旋回しながら、どんどんと高度を上げてゆくA350。眼下には梅雨時とは思えぬ表情をした東京湾と、その真ん中を結ぶアクアライン。
それにしても、この飛行機はあっと思うほど静か。翼の真上、エンジンの近くの席ではありますが、そうとは思えぬ快適さ。
さらにおぉ、と思うのが天井の広さ。これまでよりも多くの荷物を収納できるという棚ですが、滑らかな曲線により圧迫感は皆無。外見は同じように見える飛行機ですが、中身は進化を続けているのですね。
こうなったら、もう完全におこちゃま状態。乗り物好きの性と半ばあきらめつつ、内心すげぇすげぇと昂りながら快適飛行を満喫します。すると機窓には、雲から顔を出す日本最高峰が。赤いウィングレットと黒々とした富士山の競演に、非日常感はさらに急上昇。
ベルトサインも消え、機内サービスでビーフコンソメを頂きます。そういえば、JALでスープを頼むのは初めてかもしれない。どんな味なのだろう。そうワクワクしつつ飲んでみると、思った以上に濃厚な味わい。ANAのすっと馴染む優しいおいしさもさることながら、このがっつりコンソメ感も捨てがたい。
そう思いつつ朝ごはんのコンビニサンドイッチを頬張っていると、通りかかったCAさんがさっとおしぼりを渡してくれる。この感じ、久しぶりだわぁ。圧が強くないのに、さりげなく親切。この適度な落ち着きと距離感、きっとこれが僕がJALを好きな理由のひとつなのかもしれない。
今回は往復とも乗継便、JALとJTAで計4便に搭乗しました。結論から言うと、僕にとってはやっぱりJALがしっくりくる。いや、毎年特別な地へと誘ってくれた青い翼ももちろん快適なのですが、係員の方や機内の雰囲気含め何となく落ち着いている感じがするのです。
15年近くぶりの搭乗となった、日本航空。飛行機自体しばらく乗らないうちに色々とありましたが、久々のJALは僕の良き想い出そのままに再び迎えてくれました。
1年ぶりとなる青き八重山、そして愛するその地への足として初めて選んだ赤い翼。もう間もなく、エアバス機は那覇の地を踏む。7回目となる本気の夏を目前に、早くも愉しさ全開で着陸の瞬間を待ちわびるのでした。
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