石垣島で迎える静かな朝。ベランダから海を望めば、まもなくやってくるであろうスコールの気配。移ろう空色をぼんやり眺めていると、石垣港をひと跨ぎする大きな虹が。
きれいな虹に見とれていると、案の定サーっと降りだす南国の雨。朝から空の豊かな表情に触れ、お腹も空いたところで朝食会場へと向かいます。
もっちりとしたセーイカのお刺身、グルクンやもずくの天ぷら、ゴーヤチャンプルー。今日も八重山の味で一日の元気をもらい、日中の過酷な暑さに備えます。
先ほどさっと雨も降ったので暑さもマシかと思い、サザンゲートブリッジへ食後の散歩。そんな雨の効果もむなしく、今日も朝から暑さ全開。
それでもサザンゲートブリッジの上に立てば、全身を撫でる心地よい風。見渡す限り広がる碧い珊瑚礁は、何度訪れてもはっと息を呑むうつくしさ。
南ぬ浜町の埠頭に目をやれば、接岸する巨大な客船の姿。どうやら今日は、竹富島は混みそうだ。肌もなかなか危険なことになっているし、近場のビーチにでも行くことにしよう。
海風に吹かれつつ今日の行程の打ち合わせを終え、そろそろホテルへと戻ることに。橋の袂には、朝日に照らされ煌めく登野城漁港。おいしい魚がたくさん揚がる場所。
ということでバスターミナルで今日から有効の『みちくさフリーパス』を購入し、真栄里ビーチへと向かいます。
『東運輸』の4系統空港線に揺られること16分、八重山合同庁舎前バス停で下車。そこから歩いてインターコンチネンタル石垣リゾートを目指します。
ホテルの芝生の小径を通り木々の合間を抜ければ、真っ白な砂浜と真っ青な世界が映える真栄里ビーチに到着。市街地からアクセスも良く、人工のビーチとは思えぬ景色が魅力的。
ここは天気が怪しげなときに来ることが多かったため、ここまでの快晴は初めてかも。純度の高い夏空の青、陽射しに輝く白い浜。手前の浅瀬は碧く煌めき、リーフの外側には深さを感じさせる真っ青な海。
荷物をおろしTシャツを脱ぎ捨て、早速海へ。ここは外海に面しているため、水温がぬるくないのも嬉しいところ。陽射しに焦げたら海に入り、しっかりクールダウンしたらオリオンをプシュッ!
なんだろう、真栄里の生き物は人懐っこいのだろうか。海へと入り手足を伸ばせば小さな魚が集まり、ヤドカリも一瞬驚いて引っ込みつつもすぐに顔を出し寄ってくる。
陽射しに海にビールに海風。全力の夏景色を全身で受け止めていると、ジェットの音を響かせ飛行機が急上昇&急旋回。ふぅん、僕らがあれに乗るのはまだまだ先だぁ。そう思っていたこのときの僕は、バカだった。愉しい時間というものは、あっという間に過ぎてしまうものなんだよ。
強い風と心地よい冷たさの海に、気をつけないと長居をしてしまう。肩や鼻の頭、唇に足の甲。色々と危険な予感がするため、今日のところは早めにビーチを切り上げ近くの『ふるさと食堂』でお昼を食べることに。
ここは滞在中必ず一度は来たい、お気に入りのお店。カレーとそばのセットもいいし、野菜そばや車海老そばも試してみたい。メニューを見てそう逡巡しつつも、今回はゆし豆腐アーサそばを注文。
運ばれてきた刹那、鼻をくすぐる海の香り。たっぷりと載せられたアーサは海の香り豊かで、それでいて決して磯臭くないのが本当に不思議。アーサの風味や塩分が浸みだし、おだしはものすごく上品で深い味わいに。
そんな絶品のおだしとともに、ふるふるとしたゆし豆腐を。島豆腐ならでは、本州の寄せ豆腐には真似できない豆の濃さ。その豊かな風味に海の香りのおだしが合わさり、これだけで一品料理を食べているかのよう。
続いて麺を。八重山そばらしい黄色く食べごたえのある麺で、豆腐やアーサとともにわしわしと噛めば口中が幸せで満たされます。途中でピィヤーシとコーレーグースを加えれば、さらなる味の相乗効によりまた違った表情に。一口ごとに溜息をもらしつつ、あっという間に汁まで残さず完食。
やっぱりふるさと食堂は間違いない。旨いそばをこころに刻み、サンエーやマックスバリュを覗いてバスで港へ。ユーグレナモールやゆらてぃく市場に寄り、お土産候補を探します。
ホテルへの帰り道、旧石垣市役所の前を通るとすっかり更地に。去年訪れたときはまだ旧庁舎が残っていたので、これはこれでちょっと寂しく感じる。
揺れるヤシの木、広い空。遠くに並ぶコンクリートの建物に、どことなく海外にいるような不思議な錯覚が。数年後には、また違う景色になっているだろう。それだけ毎年石垣島に通うことができているという実感を胸に、今後も変遷を見守りたいと強く願うのでした。
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