旅行での楽しみといえば、やはり美味しいご飯。前回訪れた時は、ほんの数組しかいない静かな食卓でしたが、今回は広い宴会場に一杯のお客さん。震災直後とは違い、にぎやかな雰囲気での食事は楽しいものです。
今回も、テーブルに並ぶ色々な山の幸。きのこや根曲がり竹、わらびなどがしみじみとした美味しさを楽しませてくれます。左に写るは、熱々の肉団子鍋。秋真っ盛りとはいえ肌寒さを感じるこの季節には嬉しいひと品です。
そしてやっぱり美味しい、ミズのてんぷら。何故こうも、僕はミズが好きなのでしょう。前世は山で暮らしていた動物だったりして。そう思うほど山菜、特にミズは大好物。
部屋へと戻り、この旅最初の夜のお楽しみタイム開始。最初のお酒に選んだのは、久慈は福来の「鐡の道」特別純米酒。
何?鐡の道って。そう思って手に取ったお酒ですが、どうやら日本全国に点在するローカル私鉄を応援するために設けられた、全国共通の銘柄だそう。
ローカル私鉄を沿線の酒造会社が応援するということで、売り上げの一部は社団法人を通して鉄道支援や地域振興に使われるとのこと。なんだよ、鉄で飲兵衛のおっちゃんはいくらでも応援しちゃうよ♪
久慈の酒造会社が造っている、ということは地元三陸鉄道を応援するお酒。大震災で相当な被害を受けた三陸鉄道ですが、可能な部分で開通し、運転を再開しています。
残念ながら未だ一度も乗車したことはありませんが、以前から一度は乗ってみたい、そう思っていた鉄道。雀の涙ほどではありますが、そんな三陸鉄道をこのような形で応援できるとは嬉しいことこの上なし。旨い酒を飲んで鉄道を応援できる。これから旅に出るたび、地元のローカル線を応援する鐡の道を探してしまいそう。
ずっと乗ってみたいと思っている三陸鉄道。そう思わせるのは、やはり目を見張るほどの風光明媚な沿線風景。美しい車窓を妄想し、お酒をひと口含みます。すっきりと辛口ではありますが、旨味がしっかり詰まった美味しいお酒。岩手の酒は本当に美味しいですね。
本を片手に酒を飲み、時折まだ見ぬ三陸の景色を思い描く。そんな静かな夜にすっかり酔いしれてしまいました。
翌朝、朝風呂で頭をすっきりさせて向かった朝食会場。前回宿泊した際は和定食でしたが、今回は宿泊者が多いためかバイキング形式になっていました。
煮物や魚、炒め物やたらこなど、好みのものを選べる和のバイキング。自分の腹具合に合わせて量を調節できるのも嬉しいところ。
チェックアウト客もいなくなり、静かな中楽しむ露天風呂。この穏やかさを味わえるのは連泊客ならでは。
そんな贅沢な湯浴みを愉しみ、お昼をとるため手こね亭(閉店)にお邪魔。こちらは前回もお昼を食べたお店で、昭和館という旅館がやっているお店。
湯上りと言えば、やっぱりビール。酵母の香りが鼻をくすぐる、岩手の銀河高原ビールをぐいっといきます。昼から浴衣で味わうビール。こんな贅沢を味わえるのも連泊してこそ。
キリリと旨い地ビールを楽しんでいると、お待ちかねの手こねうどんが運ばれてきました。手こね亭の名の通り、こちらのメインは手こねの名の付くもの。ひとつは川魚を使った手こね寿司、そしてこちらの手こねうどん。
川魚好きの僕としては手こね寿司もとっても気になるのですが、麺喰いの僕は結局うどんにしてしまいました。前回も頂いたこのうどん。丁度よい濃さのだしに、つるつるとした食感が心地よい、細めのうどん。
太いうどんも好きですが、するすると食べられる細うどんもまた大好き。載せられたきのこと共につるつる食べれば、体の芯から温まります。
予定も何もない、湯と本を楽しむだけしかない昼下がり。部屋でうだうだ、露天でぼけ~っと。あぁ、本当の贅沢とはこんなことを言うのかなぁ。早くも連泊の魅力にやられてしまっています。
そんな夏油での時間もあと少し。2泊目の夕食の時間が来てしまいました。こちらの宿は連泊客も多いのか、内容もしっかり変えられています。写真には写っていませんが、今夜も熱々のお鍋が用意され、こちらも内容が違っています。
てんぷらの代わりにと並べられていたのは、帆立焼き。わかめの風味も心地よく、酒が進んでしまうこと請け合いです。
夏油で過ごす最後の夜。連泊などしなければ毎回当たり前のことですが、2泊目となると何となく寂しくなるもの。特にここ夏油は初めて訪れて感動して以来の再訪なので、その思いもひとしお。
そんな夜のお供にと選んだのは、やっぱり南部富士。初めてここの売店で買って以来のファンとなった南部富士。このお酒にとどまらず、桜顔酒造のお酒とは相性が本当に良いみたい。
桜顔との出会いのきっかけとなったこのお酒をちびちび味わい、部屋とお風呂を行ったり来たり。この時間がいつまでも続けばいいのに。そう思わずにはいられないほど、この静かな夜が愛おしい。
滞在して、よりその魅力に気づかされた夏油温泉。かけがえのない時間を、静かに、ゆっくりと味わい尽くすのでした。
コメント