みちのく民俗村で秋の里の風情を思い切り満喫し、お昼を食べるため北上駅へと戻ります。
朝には幻想的な霧に包まれていた河川敷も、ご覧の通り爽やかな秋晴れに。桜の枝葉越しに浴びる、燦々と輝く陽射し。ほんのり温かい秋の陽に照らされれば、自分の心も紅葉のように色づくかのよう。
秋特有の高い空の下、煌めきながら流れる北上川。その穏やかな川面は、鏡のように浮かぶ雲までをも映します。
何とも言えぬ、穏やかさに包まれた北上での午後。みっちり観光地巡りをしていたのでは味わえない贅沢。知らない土地へ行き、未知との遭遇を楽しむ。そんな旅ももちろん楽しいですが、一度訪れたことのある地を何をするでもなくのんびり歩く。そんな旅の良さも、最近判るようになり始めました。
北上駅周辺をうろうろとし、見つけたお蕎麦屋さんで昼食をとることに。グリーンホテルの1階にある、『みどり庵』にお邪魔します。
お昼時を少し過ぎていましたが、店内は結構な混雑。地元の方が多いようで、きっと美味しいおそばが出てくるだろうと期待して待ちます。
そして運ばれてきた、二子里いもそば。冷たく締められた喉越しの良いおそばを、北上特産の二子里芋のたっぷり入った、具だくさんな温かいつゆに浸けて頂きます。
特産品の里芋は、これまで体験したことのないねっとり、ホクホクの食感。まったりと咀嚼すれば、これまた里芋では経験したことのない濃い甘さ。いやぁ、二子いも美味しすぎます。
さといもの他にも、大根、にんじん、きのこなどたっぷりの具。このボリューム感は驚きで、その上きっちりおいしいのが嬉しいところ。見つけてたまたま入ったお店だけに、期待以上の美味しさに大満足の昼食となりました。
昼食後、腹ごなしに北上の市街地をのんびり散歩。そこで見つけたさくらの百貨店で、これから2日間の物資を買い込みます。
これからお邪魔するのは、自炊部の宿。2食付のプランですが、その他に必要と思われるものを色々チェック。旅先でスーパーを訪れるのも、その土地柄を垣間見ることができて楽しいものです。
北上から東北本線に乗車し、花巻を目指します。来た列車には、かわいいキャラクターのラッピングが。この年の春先に行われていた岩手デスティネーションキャンペーンに使用されたキャラクターです。
そばっち、もちっち、うにっち、こくっち、とふっち。お椀に入った岩手の特産品から名付けられているこのキャラクター、密かに僕のお気に入りでもあったりします。
そばっち電車に揺られることほんの少し、あっという間に花巻駅に到着。いやぁ、花巻、また来てしまいましたよ。もうすっかりこの地の虜。これから6泊7日、思う存分名湯を楽しんでやります。
花巻駅から『無料送迎シャトルバス』に乗車し、一路今宵の宿へと向かいます。目指すはあの初恋の宿。僕をこの世界に誘った、魅力的で妖しいあの雰囲気を思い描くだけで、この胸は高鳴ります。
西へと傾き始めた太陽に照らされ、宿の到着を今か今かと待ちわびる。でも、焦ることはあるまい。これから2連泊、存分に楽しめるのだから。
これから過ごすであろう濃厚な湯治部体験に思いを馳せ、バスの車窓に流れる田園風景を楽しむのでした。
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