雨に濡れ、しっとりとした情緒に包まれる毛越寺浄土庭園。優美な流れをみせる遣水の周りには、彩りを添える艶やかな紅葉たち。
海に見立て造られた大泉が池。山からの水を引くための遣水が池へと注ぐ姿は、まさに河口のよう。庭園という限られた場所に表現された水と草木の織り成す光景は、自然の情景を見事に凝縮しています。
雨に打たれ、さざ波立つ大泉が池。その浜辺に大きく枝を広げる色づき始めの紅葉が、分厚い雲に覆われるモノトーンの空に色味を与えます。
紅葉の奥にひっそりと佇む、常行堂。茅葺の渋い色味に映える色付く木々が、濃厚な秋の気配を漂わせます。
進むごとに、様々な表情を見せる浄土庭園。先ほど眺めた遣水も、こうして見れば山から流れ来る美しい小川の姿に。
茅葺の鐘楼を染める秋の彩り。雨のこの時期だからこそ味わえる侘びと寂びが、濃厚に充満するかのように漂います。
立派な紅葉を染めあげる、緑から赤へのグラデーション。葉の一つひとつをもって秋の深まりを表現するかのような色合いに、四季のある地に生まれて良かったと素直に思えてしまう。
優美な海岸線を思わせる、美しい曲線を持つ洲浜。覆う芝生には秋色が宿り、枯色を経てやがて雪に白く染められる季節を待つかのよう。
どんよりとした空に、鈍い色味を添える立派な紅葉。しとしとと降り続く雨が葉を濡らし、しっとりとした情緒に包まれます。
繊細なレースのように、葉のシルエットを広げる大きな紅葉。視界のすべてに宿る、秋の気配。錦に染まる盛秋にはないもの寂しさが、見る者の感傷を誘うかのよう。
秋の装いに染まる洲浜越しに眺める、常緑樹の深い緑と色付く木々。落ちる雨粒が、大泉が池に幾重もの文様をもたらします。
さざ波の立つ大泉が池を彩る、荒磯の情景。浜辺があったかと思えば、岩の連なる荒々しい姿。凝縮された様々な表情が、庭園歩きを一層味わい深いものとします。
初めて訪れた、秋の毛越寺。これまで味わったことのない渋い装いに、雨でよかったとすら思えてしまう。心の底から秋の感傷にどっぷりと浸り、旅の終わりの気配に心酔するのでした。
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