錦零れる秋いわて ~いで湯ともみじに染められて 1・2日目 ①~

岩手県交通渋谷発盛岡行き夜行高速バスドリーム盛岡号

10月中旬、夜の渋谷。再開発著しいこの街で、どことなく取り残され感の漂う井の頭線側。そのホームの上に建つマークシティーの中に、隠されるようにひっそりと設けられたバスターミナル。知らなければ辿り着けない、秘密の玄関口。僕はここから、秋の懐へと旅立つことに。

ドリーム盛岡号車窓から覗く東京の夜景
今回利用したのは、『岩手県交通』の運行するドリーム盛岡号。この先東京、池袋、王子と経由し、岩手県都の盛岡へと走ります。22:20、バスは定刻通り渋谷を出発。消灯まではまだ長い道のり、閉められたカーテンの隙間から去り行く夜の東京の街を見送ります。

ドリーム盛岡号は一晩掛けて盛岡駅に到着
渋谷を発ち8時間、予定より15分ほど早い6:20に盛岡駅に到着。8ヶ月ぶりに見上げる駅舎に、再びこうして舞い戻ることのできた歓びを心の底から噛みしめます。

盛岡駅コンコースで旅人を出迎えるわんこきょうだい
わんこきょうだい、また来たよ!こうして岩手を訪れるのは、もう何度目だろうか。何度来ても、また来たくなる。訪れるごとに、その想いは一層深まるばかり。

秋の盛岡朝の開運橋
通勤通学のため駅を目指す人の流れとは逆行し、僕はひとり市街地へ。秋空の下佇む開運橋を眺めれば、この街へやってきたという実感が急激に膨らみます。

秋の盛岡開運橋から眺める雄大な岩手山
駅と街とを結ぶ古参の橋が越える、大河北上川。橋上からはその雄大な流れとともに、大きく裾野を広げる岩手山。優美に横たわる南部片富士は、この場所から見ても秋色をまとっていることが伝わるよう。

秋の盛岡昨夜の名残りを感じさせる繁華街
橋を渡り、盛岡の繁華街へ。両側に飲食店やカラオケの並ぶ商店街に漂う、濃厚な昨夜の名残り。夜から朝への切り替え。この移ろいの狭間、街の絶妙な素顔を見られるのも、夜行旅ならではの醍醐味。

秋の盛岡お堀沿いに色付く桜並木
商店街を抜け、岩手公園へ。盛岡城のお堀沿いには桜が並び、秋の始まりを知らせるかのようにほんのりと色付き始めています。

秋の盛岡櫻山神社にお参りを
朝の空気に包まれたお堀沿いをのんびり歩き、櫻山神社にお参りを。境内を守る立派な枝垂桜は緑でも紅葉でもない色を纏い、秋を迎える準備をしているかのよう。

秋の盛岡秋空を背負い建つ櫻山神社
秋の空を背負い、渋く佇む櫻山神社。天の高さと青さを仰ぎつつ、こうして何度もこの街へと戻ってくることのできるお礼を心の底から伝えます。

秋の盛岡石垣を抜け岩手公園へ
櫻山神社と烏帽子岩へのご挨拶を終え、岩手公園へ。今なお遺される盛岡城の重厚な石垣は、何度見てもその武骨な姿が美しい。

秋の盛岡色付き始めた盛岡城跡公園
太陽が昇るにつれ、高さと青さを増す秋空。胸のすくような爽やかさに見守られ、盛岡城跡を包む秋の彩もその鮮やかさを一層増すかのよう。

秋の盛岡岩手公園から望むビル越しの南部片富士岩手山
刻一刻と色合いを変化させる秋空の青さ。ビルの先には、盛岡の街を見守るように聳える岩手山。街と山とのこの距離感、何度見ても不思議な光景。独特な優美さを持つ南部片富士が、都市のもつ無機質、無表情から盛岡を守っているように思えて仕方がない。

秋の盛岡城跡公園から眺める川霧漂う街並み
城跡から俯瞰する、街の目覚め。深みを増す奥羽の山並みの秋色と、低く漂う北上川の生む川霧。その幻想的な移ろいを、しばし時を忘れ見つめます。

秋の盛岡朝日に染められる岩手公園桜並木
どんどんと力強さを増す朝日。その鮮やかな眩しさに透かされる木々の葉は、まるで秋色を秘めたレースのような美しさ。

秋の盛岡朝日に染まる大イチョウ
石垣の袂に生える大銀杏も、朝日を受けて黄金色に。街と山並み、木々と陽射しの織り成す光景に、放つ言葉すら忘れてしまう。

秋の盛岡城跡公園朝日に透かされる桜と苔
盛岡の街を染めあげる、輝かしい朝日。この温もりを浴びれば、自分の中に眠っていた生き物としての悦びが目覚めるよう。この旅の始まりを飾る壮大な幕開けに、早くも秋の岩手に来てよかったと強く強く感じるのでした。