錦零れる秋いわて ~いで湯ともみじに染められて 6日目 ⑤~ | 旅は未知連れ酔わな酒

錦零れる秋いわて ~いで湯ともみじに染められて 6日目 ⑤~

秋の厳美渓雨に濡れる紅葉 旅行記

初の達谷窟でしみじみと秋の風情に酔いしれ、再び『岩手県交通』のバスに乗車。あっという間の5分程で、この旅最後の目的地である厳美渓に到着します。

秋の厳美渓雨に濡れる岩肌と紅葉
雨の夕刻、弱まる色味。今日の厳美渓は、ちょっと怖い。水量を増した磐井川は水煙と白波を立てつつ勢いよく流れ落ち、程よく色づいた木々も、一層の侘しさを添えるよう。

秋の厳美渓足元に注意しつつ眺める雨の光景
雨に濡れ、つるつると光る岩盤。足元に最大限の注意を払いながら、岩場の先まで進みます。雨の染みた岩肌には独特の文様が浮かび、その荒々しさをより強調するかのよう。自然の造り上げる強烈な造形に、いつも以上に畏怖の念を抱いてしまう。

岩手県交通バスの車窓から眺める雨に濡れた岩手の田園
3年ぶりに訪れた厳美渓。この時期に訪れるのは初めてだったため、天候のせいもあり今までとはまた違った表情を垣間見た気がする。心にほんのりとしたぞわぞわ感を残しつつ、『岩手県交通』で駅へと向かいます。

夕闇に浮かぶ一ノ関駅
最後の岩手の田園を愛でつつバスに揺られること約20分、一ノ関駅に到着。いやぁ、今回も濃厚な岩手だった。訪れるごとに好きになる岩手という地。再びの訪問を固く誓い、改札口へと吸い込まれます。

東北新幹線E5系はやて号東京行き
待つことしばし、僕を東京へと連れて帰るE5系がホームへと入線。行きは夜行バス、帰りは新幹線。日勤勤務となった今、これが僕の一番のお気に入りの移動手段。旅先での時間を、余すことなく最大限に楽しめます。

東北新幹線E5系はやて号東京行きの車内であさ開純米酒おちょこ付きボトル缶を
はやて号は、定刻通りに一ノ関を発車。車窓を包むのは、漆黒の夜闇。見える灯りもまばらで、あとはもうこの旅の記憶と酒に酔うばかり。そんなお供にと選んだのは、お気に入りのあさ開純米酒。わんこきょうだい、今回も本当に楽しかったよ。毎回毎回、良い岩手路をありがとう。

一ノ関駅弁あべちう平泉義経
仙台を過ぎたところで、この旅最後の岩手の味を。今回は一関のあべちうが調製する、平泉義経という駅弁を購入。掛け紙の中尊寺が、旅の余韻を駆り立てます。

一ノ関駅弁あべちう平泉義経中身
蓋を開ければ、ぎゅっと詰め込まれた岩手の恵み。鶏の照り焼きは、脂を程よく残しつつ香ばしく焼かれています。平泉名物のお餅には鶏そぼろが絡められ、旨味を纏ったお餅の甘味と食感が美味。

カツは鮭のメンチとなっており、魚の素朴な旨さをぎゅっと凝縮。魚のすり身揚げには枝豆がたっぷりと加えられ、適度な歯ごたえと広がる風味があさ開を誘います。煮物も濃すぎず薄すぎずの丁度良い塩梅で、弁慶のほろほろ漬けやごま寒天といった嬉しい脇役も。

ご飯は二色となっており、黒米入りの方は独特の風味ともっちりとした食感が旨い。くるみご飯はお米の甘味とくるみの油分や香ばしさがよく合い、おかずや漬物とも相性ピッタリ。

E5系はやぶさエンブレム
秋色を求めて、辿った岩手路。初めて訪れた網張で硫黄の香りに包まれ、谷底に佇む夏油では湯と紅葉に染められて。何度通っても、岩手は良い。いい意味で派手さはないが、色々なものを解いてくれる。

錦秋、古の人はなんと的確な言葉を生み出したのだろうか。赤一色でも、黄一色でもない、錦のように色付く木々。この旅で幾度も目にした秋色を、心ゆくまで触れた湯のぬくもりを、そして舌で愉しんだ岩手の味を。それらの錦を心に刻み、これからまた頑張ろう。そう素直に思わせてくれる輝きを、秋の岩手がくれたのでした。

錦零れる秋いわて ~いで湯ともみじに染められて~

2019.10 岩手
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