温泉宿での爽やかな目覚め。谷底の露天風呂は朝の冷たい空気に包まれ、川音を聞きながら濃厚な湯に浸かれば、頭の芯から目覚めてゆきます。
醍醐味ともいえる朝風呂を楽しんだ後は、お待ちかねの朝食を。鮭や湯豆腐、とろろやしらすおろしなどの和の定番が並びます。本当に落ち着く。旅の朝には、やはりこのような美味しい和朝食が良く似合います。
大地の力を思い切り感じさせる濃厚な湯と、それに負けない山の湯の風情を存分に楽しませてくれた明賀屋本館ともお別れの時。
灯台下暗し。塩原にこんな良いところがあったなんて。近いから来ようと思えばすぐ来ることができる。温泉好きの僕にとって、危ないところを見つけてしまいました。
塩原温泉郷を貫く箒川の景色を目に焼き付け、『JRバス』で駅へと向かいます。道は箒川と寄り添うようにくねくねと山を下り、下りきったと思ったら大きな牧場の近くを走る。どこまでも長閑な景色を楽しみます。
塩原塩釜バス停から約40分、東北本線の西那須野駅に到着。塩原温泉へのバスの多くはこの駅始発となるため、実質的にはここがJRでの玄関口と言えます。
振り返れば、浅い春を感じさせる抜けるような青空と、くっきりと浮かぶ那須の山々。そう言えば、那須も塩原も泊まったことが無く、今回が初めての滞在。いつもは新幹線の車窓から眺めるこの景色も、一夜を明かした思い出とともに眺めれば、また違うように映ります。
西那須野から東北本線に乗車し、一路北を目指します。やってきたのは、以前京葉線で活躍していた通勤電車。メルヘン顔と呼ばれるそのマスクは、山手線を代表とするあのグループの中でも印象的でした。
山手線、総武線、埼京線・・・。国鉄末期から走り始めたこの形式も、今では各地に散らばりのんびりと余生を過ごしています。
黒磯駅で直流電車から交流電車に乗り換え、いよいよ東北入りを果たします。といっても、ここ新白河駅は福島の南の端、栃木県からあっという間に着いてしまう近さ。
白河と言えば、有名なのが白河ラーメン。ラーメン好きの僕としては食べない訳にはいきません。ということで、新白河駅前にある、『手打ち中華 せきた』にお邪魔することに。
席へと着き、手打ち中華とビールを注文。すると、おつまみにどうぞと、枝豆やチャーシューの切落としが運ばれてきます。更にもうひとつ、ボリュームのあるお皿が登場。
スープ作りに使ったガラにチャーシューだれを掛けたものですが、これがもうビールにピッタリ。全く臭みが無く、ちょっと残ったお肉をほじってたれに付けて食べれば、鶏のほろほろとした食感とじんわりとした旨味を楽しめます。
そして肝心のラーメン。スープは鶏ガラベースの澄んだきれいなしょう油スープ。まさに中華そばのお手本と言いたくなるような、素朴でしみじみと広がる旨さ。
麺はさすが手打ち、ぷりっぷりのつるっつる、もっちもち。太めですが縮れているので、スープを適度に運んで来てくれます。この麺は本当に美味しい。このような麺こそが白河ラーメンの特長のようです。
初めて降り立った新白河で、期待以上に美味しいラーメンに巡り合い、早くもご機嫌に。久々の東北、久々の福島。これから2泊3日、思いっきり福島を満喫してやります。
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