雪に抱かれ、湯に溶かされ。~春の奥湯沢で過ごす時間 2日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

雪に抱かれ、湯に溶かされ。~春の奥湯沢で過ごす時間 2日目 ①~

雪解けの奥湯沢目の湯貝掛温泉池を泳ぐ錦鯉 旅の宿

奥湯沢の雪に包まれた一軒宿での、静かで清らかな目覚め。3月とは思えない空気の冷たさを味わいながらの雪見露天は、まさに贅沢そのもの。

そんな贅沢を、温泉が掛け流された池に泳ぐ鯉たちも、ゆったりのんびり楽しんでいる。その姿をぼぉーっと眺めていると、日常の凝りが解れていきます。

奥湯沢目の湯貝掛温泉1日目朝食

ぬる湯で体と頭の芯まで溶き解され、お待ちかねの朝食の時間。食卓には美味しそうなおかずがたくさん並びます。

新潟名産の車麩の煮物はジューシーで、温かい餡の掛かった豆腐は優しい美味しさ。朝から贅沢なのどぐろの干物やひじき、温泉卵も、ご飯をより美味しくしてくれます。

でも、一番の主役はやっぱりこのご飯。ブログ用に写真の解像度を落としてしまっているので伝わるか分かりませんが、お米一つひとつの艶と粒の立ち方が違います。

本当に今まで食べたことの無い食感のお米。口へ入れると一粒ひと粒が個々を主張するかのような、しっかりとした食感。でもご飯としてのまとまりもある。本当に美味しいご飯をおかずと共にお腹一杯食べられる幸せ。これだけでも新潟に来た甲斐があります。

奥湯沢で味わう冬将軍純米にごり

こしひかりをたらふく食べ、心地よい満腹感に浸る朝の時間。お腹が落ち着いたところで、お湯とお酒と本だけの、何もしない、をする贅沢な秘湯での連泊時間が始まります。

ここは新潟、酒処。ぽん酒館の利き酒コーナー越の室で新潟の酒の旨さを再認識した僕は、昼下がりの雪見酒用にしっかりと仕入れてきてしまいました。

焦らずとも時間はたっぷりある。まず始めに開けたのは、小千谷市の新潟銘醸、冬将軍純米にごり酒。その見た目の濃さに惹かれて購入しましたが、ひと口飲んでみるとその期待を裏切らない濃厚さに早くも満足。

にごり酒といっても味や濃度は様々ですが、これはどぶろくに近いんではないかという程の濃厚さ。どろっとした口当たりは、米のエキスそのものといった印象。甘酸っぱく、お米のふくよかさが全て溶かされています。<でも、後味はくどくなくすっきり。これは危ないお酒。放っておけばいくらでも飲んでしまいそう。小瓶にしておいて正解です。

奥湯沢目の湯貝掛温泉味わい深い部屋と本の数々

本を片手に美味しい酒をちびりちびり。気が向いたら誰もいない静かなお風呂へ。そんな往復の際にふと立ち寄った、自室の向かいのレトロな部屋。中には古い調度品が置かれ、様々な本がずらりと並んでいます。何泊かしてこの古い本を読んで過ごすのも楽しそう。

雪解けの奥湯沢目の湯貝掛温泉雨の午後

天気予報は雨の予想。その予報通り、午後には雨が降り始めました。いつもならば鬱陶しいと思う雨でも、こんな午後には風情を与える存在に。静かな部屋に響く雨音。それを聞きながらの読書とお酒は、晴れの爽快さとは違った落ち着きがあります。

奥湯沢で味わう越後鶴亀純米吟醸

今日はお昼を食べずに、だらだら過ごすと決めました。そんな昼酒2本目は、新潟市の越後鶴亀純米吟醸。以前寺泊で飲んだワンカップと同じ蔵元のお酒。

お米の甘味旨味を含んだお酒は口当たりが良く、程よい酸味が後味をすっきりとさせてくれます。新潟のお酒ってこんなに美味しかったっけ。これまで積極的に飲んで来なかったことを今更ながら後悔します。

絶品の新潟限定サラダホープ

朝食から帰ってくると、部屋には新しいお茶菓子が用意されていました。それは、亀田製菓のサラダホープ、新潟限定のお菓子です。

テレビやお土産屋さんでこの存在を知ってはいたものの、これまでただのサラダおかきだと思い買うことはありませんでした。そんな僕は大ばか者と言いたいほど、これ、旨すぎるんです。

サラダせんべいにありがちな油っぽさは全くなく、非常に軽く口どけの良い食感。絶妙と言いたくなる塩加減と、お米の甘味を引き出すシンプルな味付け。お腹にもたれずいくらでも食べられてしまいそう。東京で売っていないことが悔やまれる、本当に美味しい米菓に出会ってしまいました。

奥湯沢目の湯貝掛温泉雪を解かす春の雨

新潟に来てからお米の力に圧倒されっぱなし。美味しいこしひかりに、旨い酒。そのお供にピッタリの、お米が美味しく変身したサラダホープ。こんなに近場なのに贅沢すぎる。またひとつ、日常からの駆け込み寺を見つけてしまった。僕にとっては危ないことです。

静かな豊かさに包まれ過ごす、貝掛での昼下がり。サラダホープを齧って越後鶴亀をちびり。本から目を窓へとやれば、外は雨に打たれる雪景色。

こうやって、少しずつ雪解けが進み、春が来る。その過程の真っただ中に居ることができる幸せを噛み締め、ゆっくりと流れる時間と程よい酔いに身を任せるのでした。

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雪に抱かれ、湯に溶かされ。~春の奥湯沢で過ごす時間~

奥湯沢目の湯貝掛温泉清らかな源泉で眼を洗う
2015.3 新潟

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●1日目(東京⇒貝掛温泉)
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●2日目(貝掛温泉)
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