部屋と湯屋の往復をただただ繰り返していただけなのに、満たされた時間とは早く流れてしまうもの。あっという間に夕食の時間となってしまいました。今日はお昼を食べていなかったので、お腹の具合も丁度良い空腹感。今日もテーブルには美味しそうなお料理が並んでいます。
バイ貝や柿巻きなどの前菜や、新鮮なお刺身に牛のカルパッチョ、口をさっぱりとさせてくれるもずくとろろなど、新潟のお酒をより美味しくしてくれる品々。今夜のお鍋は豚しゃぶで、しっとりとした身と甘みのある脂身がごまだれに良く合います。
続いて運ばれてきた煮物。昆布巻きやすだれ麩と野菜がだしのきいた薄味で煮られており、素材の美味しさがじんわり、しっかりと口に広がります。
どうしてもこういう上品な煮物の味、自分では出せないんだよなぁ。美味しい煮物を食べる度に、自分の料理がまだまだであることを思い知らされます。やはりプロは凄い。基本があるからこそ、シンプルなお料理が美味しくできるのですね。
そして今夜もお楽しみの、炭でしっかり焼かれたホクホクな岩魚。随分前に旅先で、初めてよく焼いた岩魚を食べて驚いた記憶があります。
それまで、ふっくらジューシーな川魚の塩焼きしか食べたことが無かったので、何故そこまで時間を掛けてじっくり焼くのだろうかと、説明を受けた時には全く理解が出来ませんでした。
でも理由は食べて分かりました。じっくりしっかり焼くことで、川魚特有の小骨の多さが全く気にならず、骨ごとパクパク食べられるのですね。余分な油と共にクセも抜け落ち、これなら川魚が苦手な人でも大丈夫。
まさに先人の智恵、ふっくらジューシーなのも好きですが、良く焼いた岩魚にはしみじみと感じられる旨味があります。
続いて揚げたて熱々の天ぷらが登場。ふきのとうなどの山菜とえびがさっくり軽く揚げられています。これだけカラッと揚げられていると、天つゆで食べても重たさが無く、久々に天つゆで頂く天ぷらの美味しさを味わいました。
そして〆はやはり美味しいこしひかりをお漬物と共に。お酒と空腹のせいで美味しい美味しいとパクパク食べ、グイグイ飲んでしまったので、お腹はもう一杯。でも美味しいこしひかりは別腹。苦しいと言いながらもやっぱり食べきってしまうのでした。
ここのお料理は本当に美味しい。連泊しても飽きないよう、昨日とは全く違うラインナップにされた大満足な夕食を終え、部屋へと戻ります。
後はもう、お湯とお酒と本だけの時間。その相棒に選んだのは、長岡市は恩田酒造の、舞鶴鼓純米酒。一本〆という酒米を自ら育て収穫し、精米までして作られたという、手造りのお酒。甘味がありつつもすっきりとした後味で、ひと口、またひと口と飲みたくなるお酒。
あっという間の2日間。今夜の撮影はこれにて終了。最後の夜を静かにゆったり過ごすことに専念し、存分にお湯とお酒を味わうのでした。
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