円通院で緑に満ち溢れた世界を楽しみ、続いてすぐ隣にある瑞巌寺を訪れます。こちらも伊達家ゆかりのお寺だそうで、国宝に指定されています。
参道をまっすぐ進むと、大きな本堂に突き当たります。こちらは写真撮影不可なので、外観のみ。この本堂、圧巻のひと言。伊達家ゆかりというだけあり、内部には豪華絢爛な装飾が施されています。
特にふすまや壁には金箔が多く用いられ、それぞれの部屋は花や鳥といった個々のテーマにそった絵が描かれており、その姿は圧倒的。将軍家の力がひしひしと伝わってきます。松島に行ったら、ぜひぜひ見ていただきたい。見ないともったいない、そう言いたくなる程の世界感。
写真でお伝えできないのが歯がゆい程の荘厳な本堂を後にします。途中の木には、和蘭のひとつ、セッコクが咲いていました。
松島のセッコクは乱獲によって絶滅の危機に瀕していたそうですが、ここ瑞巌寺の木に咲いていた原株を元に増殖させ、今では販売できるまでになったそう。瑞巌寺の参道にも、大きいものから小さいものまで、様々なセッコクが売られていました。
可憐なセッコクを横目に進むと、とても大きな建物が。こちらは庫裡、いわゆる台所です。裾野を大きく広げる屋根の上に、更に乗る煙出し用の屋根。これほど大きな屋根が木で支えられているなんて。木造建築を見る度に、日本の古くからの技術の高さに脱帽します。
宝物館を見学し、そろそろ海へと歩き出します。瑞巌寺から海までの道には、延々と連なる岩窟が。もちろんその中には仏様が祀られています。
自然のものでは無い、明らかに人の手で掘られた洞窟の数々。その壁面にはさらに塔婆や五輪塔が掘られ、手作業で掘るしかない時代にどれだけの時間を費やして作られたのかと思うと、気が遠くなるほど。
僕はこれまで、松島=松島湾と浮かぶ島、くらいの認識しかありませんでした。今回初めて海沿いでは無いところを歩いてみて、ここが古くからの大切な霊場であることを知りました。やっぱり旅って面白い。こうして実際に訪れてみることが大切なのだと、今一度思い知らされます。
緑豊かな寺町を抜け、穏やかな松島湾へと出ます。そこに浮かぶ、松島のシンボルとも言える五大堂にお参りすることに。
五大堂といえば、この印象的な赤い橋。透かし橋と呼ばれるこの橋は、その名の通りはしご状の下が透けて見える橋。現在は踏み板が2枚渡されていますが、昔はそれすら無かったそう。島へと渡る橋なので、当然下は海。この目の粗いはしごを渡る、昔の人は背筋を冷やしながらお参りしたに違いありません。
木の渋い佇まいが印象的な五大堂。こちらも瑞巌寺の一部なのだそう。これまで幾度も地震や津波に襲われつつも、政宗公が建てたこのお堂は今もこうして建ち、松島の海を見つめ続けています。
その五大堂からの眺め。穏やかな水面に無数の小島が浮かぶ姿は、ここ松島ならでは、独特のもの。
日本三景のひとつに数えられる松島。2010年に訪れた時は天気が良く、松の青さまで伝わってきました。今日は一転曇り空。このモノクロームの世界もまた味がある。天候や季節によって姿を変える、だから何度も来たくなるのです。
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