盛夏万緑、みちのくへ。~ヤーヤドーに逢いたくて 7日目 ③~

キハ110陸羽西線快速最上川新庄行き

初の酒田で明治の風に触れ、海辺を離れ内陸へと向かうことに。酒田駅から乗車するのは、陸羽西線を走る快速最上川。ただでさえ列車本数の少ないこの路線、日に1往復だけ運転される快速列車は結構な混雑。運よくロングシートに席を見つけ、新庄までの時間を過ごすことに。

キハ48リゾートみのり仙台行き
最上川に寄り添い走る陸羽西線に揺られること50分ちょっと、新庄駅に到着。ここで陸羽東線を走る臨時快速、リゾートみのりに乗り換え。伊達政宗の兜や稲穂、紅葉といった沿線のイメージを取り入れた外観は、他のジョイフルトレインと比べても抜群の存在感に溢れています。(写真は降車時撮影)

小国川の刻んだ河岸段丘上を走る陸羽東線
先程乗車した陸羽西線の愛称は、奥の細道最上川ライン。それに対しこの陸羽東線は、奥の細道湯けむりライン。車窓に寄り添う川は清流として有名な小国川へと変わり、行く手を阻むであろう奥羽山脈を見据えどんどんと標高を上げてゆきます。

陸羽東線キハ48リゾートみのり車窓から望む清流小国川と簗場
河岸段丘上から見下ろしていた川や田んぼとの比高も縮まり、いよいよ列車は奥羽の山懐へ。眼下を流れる小国川には簗場が設けられ、その近くには釣りを楽しむ人々の姿。山形県内で唯一ダムを持たない天然河川であるこの川は、豊かな鮎の漁場として知られています。

陸羽東線キハ48リゾートみのり車窓から眺める瀬見温泉喜至楼の独特な姿
深い緑と清流の織り成す夏の車窓を楽しんでいると、まもなく瀬見温泉駅への到着を知らせる車内放送が。目を凝らして見てみると、瀬見の温泉街の中ひときわ目を引く喜至楼の姿が。もうあれから5年かぁ。あの旅も本当に夏だったけど、今辿っている旅路もものすごく夏。東北の夏を一度感じてしまうと、もうそれなしでは生きてはいけない。

陸羽東線キハ48リゾートみのり車窓に緑あふれる車内
毎年ねぷたに誘われ辿る、東北での夏の旅路。その思い出に浸っていると、一層鮮やかさを増す車窓を染める緑。大きくとられた窓は豊かな景色を映し、車内に並ぶ座席には有名な鳴子峡の紅葉が描かれる。まさに陸羽東線を走るために改造されたこの車両。国鉄生まれのキハ48は、いつまでこうして頑張ってくれるのだろうか。

陸羽東線キハ48リゾートみのり車窓を染める夏の田園
大きな車窓一杯に広がる、夏景色。青々とした田園の先に煙る、黒い山。9年前、この道を一緒に辿ったいとこももうすぐ成人。あの後震災があり、自分の中でも数々の変化が起き。でもこうして毎年東北の夏を浴びることのできる幸せ。この豊かな車窓だけで、何故か不思議と満たされる。

陸羽東線赤倉温泉駅
毎年積み重ねてきた東北での夏の記憶を回想しつつ列車に揺られること35分、赤倉温泉駅に到着。4年前のねぷた旅の幕を開けたこの駅も、この旅では最後となる宿泊地。始まりと終わり、その心持ちだけで印象が変わるのだから不思議なもの。今眺める姿には、達成感に交じりちょっとだけの感傷がちらつきます。

小国川支流の明神川を渡る橋にとまるトンボ
事前にお願いすれば駅から送迎して頂けるのですが、4年前と同様に山村の夏を浴びつつ歩いて宿を目指すことに。小国川の支流を渡る橋の欄干には、羽を休めるトンボの姿。僕の夏休みには欠かせない、季節を彩る名脇役。

赤倉温泉駅から長閑な道を歩き赤倉温泉へ
大きな国道から分かれた県道は、山手を目指し上り坂に。夏の暑さに汗が吹き出しますが、それすら心地よく感じてしまう。東京で感じる暑さ寒さは不快なのに、旅先で味わう季節というものは何故にこうも違うのだろうか。

山形県道28号線小国川の支流を渡ればまもなく赤倉温泉
もしかしたら、変わってしまったのは東京の街だけではなく僕自身なのかもしれない。今なお東京で暮らし働く僕は、いつしか故郷の季節を受け止める心を忘れてしまった。それを思い出したいからこそ、夏に冬にと、季節を極める土地へと旅に出るのかもしれない。

清流小国川沿いに建つ赤倉温泉三之亟
夏の暑さと勾配に汗を掻きつつ歩いていると、これからお世話になる宿の姿が。簗場が設けられるほど川幅のあった小国川も、ここまで来ればこの細さ。日本の背骨に近づいたことが伝わるよう。

奥羽山脈に抱かれる、静かな湯宿で過ごす時間。待ち構えるいで湯との戯れに心躍らせ、歩みは一層速まるのでした。

盛夏万緑、みちのくへ。~ヤーヤドーに逢いたくて~
青い田園の先に聳える岩木山
2019.7-8 青森/秋田/山形/宮城
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●1・2日目(東京⇒八戸⇒蔦温泉)
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●3日目(蔦温泉滞在)
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●4日目(蔦温泉⇒青森⇒弘前)
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●5日目(弘前・黒石周辺)
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●6日目(弘前⇒象潟)
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●7日目(象潟⇒酒田⇒赤倉温泉)
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8日目(赤倉温泉滞在)
●9日目(赤倉温泉⇒松島⇒仙台⇒東京)
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