あれ?これは前回新旧道の分岐点として登場した看板では?
そうです。僕はここでまんまと道を間違えてしまったのです。新道からこの看板まではそれなりの距離があり、それが僕には地図上の旧道へ入る丁字路に思えてしまったのです。そして、一旦地図をそう見てしまうと、逆方向への道がぴったりと地図上の土湯方向へと重なっていたのです。
今考えれば、旧道のヘアピンカーブを新道が突き抜けている形になるので、新道の右側へ行かなければならないのはよく分かるのですが・・・。まぁ、早とちりですね。
そんなこんなで、この回は迷い込むように誘われた、燃える山に抱かれる旧道の美しい風景をご紹介します。
旧道は新道と離れ、すぐに標高を上げ始めます。
訪れた時点では、震災や豪雨の影響なのか、通行止めになっていたため、車は入ってきません。僕のためだけに用意された、ワインディングロード。
カーブを抜けるたびに刻一刻と違う姿を見せる風景。標高も上がってきたため、紅葉はより鮮やかに。紅葉が身を赤く染める過程を見せてくれました。
道はぐんぐん登り、空がだんだんと近くなってきました。ここまで来ると、色づいた木々の割合が一気に増します。
太陽に照らされ煌めく木々。この景色を独り占めできる贅沢を噛みしめながらのんびりと歩きます。
正面に捉えていた山々がぐっと迫り、さらに登ったことを教えてくれます。
アップダウンとカーブを無数に繰り返す旧道。トンネルと橋梁で一気に貫く新道も、安全性と冬季交通確保という面ではもちろん必要ですが、ドライブしていて気持ちの良い道は、きっとこんな道なのではないでしょうか。この道の美しさは、ドライバーのみに許された特権です。
もうあたりは一面の紅葉に包まれています。先程道の駅から眺めた色とりどりの山。まさに今、自分はそこに抱かれているのです。
すぐ近くに迫る青空に透かされる紅葉たち。自然の作り出した、人には真似のできない色彩のコントラスト。
これから数枚は同じような写真ばかりになってしまいますが、360°どこを見てもあまりに美しく、これでも悩んで選んだ数枚ですので、どうぞお付き合いください。
森の奥の奥まで色づいた山。この福島の秋の恵みを独り占めできる幸せ。言葉を失うとは、このようなことを言うのでしょう。
そして突如現れた、青看板。道の行き先を見た瞬間、呆然としてしまいました。
土湯温泉の標高を知らなかったとはいえ、ぐんぐん登る道に少し疑いは持ってはいましたが、その予感が的中してしまいました。
が、がっかりするとともに思わずひとりでに笑いがこみ上げてきました。それは、自分の馬鹿さ加減に対するものでもあり、もし間違えなければこの旅一番の紅葉を見ることはできなかったんだろうかという、なんとなくちょっとラッキーなような気分も混ざったものでした。
客観的に見れば、この行動は決してほめられたことではありません。まず第一に、通行止めの道への進入。歩行者であれ、通行止めの道には進入してはいけません。
でも、ここまで歩きで来てしまった歩行者がバイパスを通れないとなると、もはや旧道を歩くほかありません。ですが、その判断もあくまで自己責任。
そして、秋の旧道ひとり歩きという行為。ベアベルを付けてはいましたが、草むらで鳥がガサゴソするたびに、熊ではないかとビビッていました。
結果としては、思いつきで行動した僕の判断ミス。熱塩までのように事前から歩く予定で下調べしておけば、旧道に出会って戸惑うことも、道を逆に進むことも無かったことでしょう。これは今後絶対に気を付けなければならない点として肝に銘じなければなりません。
ただ、僕個人の結論としては、この景色を見ることができて本当に良かった。免許を持たない僕としては、こんな機会が無い限り、ずっと目にすることはできないような光景でした。頑張って登って結局間違い、というオチと共に、ずっと忘れることのできない想い出になりました。
でも、良い子のみんなは間違えないでね!!山の日暮は早い。体力消耗・熊・日暮れの三大危険と隣り合わせです。はい、反省しています。
このあと来た道を頑張って下り、往復11km、2時間ちょっとのきつ~い寄り道はなんとか無事に終了。でも、疲れた以上に目に焼きついた美しい風景の数々は、一生忘れることは無いでしょう。
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