すっきりとした爽快感を感じさせてくれる熱塩の湯を堪能し、一晩ですっかり疲れが取れて気持ちの良い朝を迎えました。
昨日以上に熱い朝風呂を愉しんだ後はお待ち兼ねの朝食。いつもなら朝食の写真をご紹介できるのですが、何を思ったか食堂へカメラを持参するのをすっかり忘れ、撮影することができませんでした。痛恨の極みです。
焼き魚などの純和風の献立で、昨日の夕食に続きホッとするような品々が並びます。特に印象に残ったのが源泉粥。
昨日の源泉豆腐を作った後に残るすまし湯で炊いたおかゆは、味付けが無くとも驚くほど旨味を感じ、この温泉の成分の濃さを舌でも感じさせてくれます。もちろん、白いご飯もあるのでご安心を。
のんびり話すおばあちゃんの熱塩の昔話に耳を傾けながら頂く朝食。いつも以上に体と心に沁みました。
観光地化されていない、ひっそりと佇む山里の温泉郷。そして無理に飾らない宿だからこそ味わえる素朴な温かさ。
熱塩温泉は、僕に会津の日常をちょっとだけ教えてくれた気がしました。そんな豊かな会津の山々に抱かれた山里の風景を今一度目に焼きつけ、胸に刻み込むのでした。
程なくして喜多方駅へと向かうローカルバス(廃止)がやってきました。平日に限っての運行ですが、チェックアウトに丁度良い、10時前のバスがあるので旅行者にも便利。
ただ、この路線は「生活交通路線」といって補助金の支えがあって運行されているそう。安泰な路線では無さそうなので、お出かけ前には必ず会津バスのホームページを覗いてみてください。(現在はバス路線廃止)
昨日てくてく歩いた道のりも、バスならあっという間。こうして流れる車窓を眺めると、やっぱり歩いて正解だと再確認します。時速5kmで感じる会津の秋。貴重な体験をさせてもらいました。
次の会津若松行きの列車までまだ時間があったので、手前のバス停で降りてまたまた喜多方散歩。昨日とは打って変わって抜けるような青空。雨の風情もありますが、やっぱり青空には心を晴れやかにする力があります。
それでは再び、喜多方の街を写真メインでお届けしたいと思います。
歴史のありそうな長屋風の商店が並ぶ一角。写っていない奥のほうまで続いています。
同じ蔵でも漆喰の塗ってあるものと土壁のものとでは表情が変わります。
表通りだけでなく路地にも蔵が点在しているのが面白いところ。長い間人々の生活に溶け込み、欠かせない存在であることを物語ります。
中には、それぞれ違う時代であろう住居に挟まるようにして一体化している蔵も。
通りを進むと、「おたづき蔵通り」と呼ばれる、蔵の並ぶ街並みが唐突に現れます。
この一角は道の両側に蔵や重厚な木造建築が並び、蔵の点在する喜多方の中で、最も「蔵作りの街並み」という観光客のイメージに近いものではないでしょうか。
まさにここだけ時が止まったかのような一角。それも敢えて残しているという感じを与えない自然さが、喜多方の魅力のひとつなのでしょう。
おたづき通りを抜けて駅へと向かう途中に、細かな装飾が美しいレンガ造りの蔵に出会いました。蔵の持つ和と煉瓦の持つ洋の魅力を融合した、モダンという言葉がぴったり当てはまる印象的な蔵。
2日目の記事でも書きましたが、ずらっと蔵が並ぶ街並みを期待して行くと、ちょっと違うかもしれません。ですが、それが喜多方の良さ、僕はそう感じました。
僕らにとっては珍しい蔵という建物が、喜多方の街全体にどれほど根付いているのか。その自然な街並みを見れば一目瞭然。
この街は、歩きや自転車などでゆっくり、のんびり散策することを強くお勧めします。きっと、作られていない蔵の街本来の空気を感じることができるでしょう。
散策には、『喜多方観光物産協会』のページが便利です。駅等で配布しているマップも手に入れることができるので、散策の下準備に参考にしてみては。
笑ってしまうくらい蔵の溢れる街、喜多方。そしてその奥にひっそりと佇む名湯、熱塩温泉。2日間を掛けてその魅力に触れたこの地を去るため、名残惜しくも駅を目指すのでした。
コメント