八幡平・乳頭湯けむり紀行 ~初秋の湯三昧 2日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

八幡平・乳頭湯けむり紀行 ~初秋の湯三昧 2日目 ③~

秋晴れの八幡平アスピーテライン 旅の宿

お湯に地獄にと、旅の始まりから八幡平の持つ力に圧倒されてしまいました。迫力のある景色と、そこが生んだ濃いお湯で楽しませてくれた後生掛温泉を後にし、今宵の宿へと向かいます。距離はたったの4km程度。バスを待つ間もなく、歩いて宿を目指します。

深い山に抱かれるアスピーテライン

アスピーテラインを延々と歩き、蒸ノ湯休憩所からそれる脇道へと入ります。どこまでも続く深い山々。その中に、今夜の宿がちらりと見え隠れ。その鄙びた姿を目にし、歩く足にも力が入ります。

秋田八幡平秘湯ふけの湯

後生掛温泉から山を分け入ること小一時間、どうしても来たかった『ふけの湯』に到着。後生掛とどちらに泊まるか最後の最後まで悩んだ挙句、選んだ宿。これからの一夜、どんな夢を見させてくれるのかと、期待がどんどん膨らみます。

秋田八幡平秘湯ふけの湯客室

帳場でチェックインを済ませ、部屋へと向かいます。重たいリュックを置き、そそくさと浴衣に着替えて息つく間もなく温泉へ。だって、もう凄いのが見えちゃってるんだもん・・・。

秋田八幡平秘湯ふけの湯地獄をひとり占め

宿の前に広がる地獄。そう、これがふけの湯の露天風呂そのものの眺め。これを見てしまったら我慢などできる訳がありません。

秋田八幡平秘湯ふけの湯広大な露天風呂

逸る気持ちを抑え、緩い坂道を下ります。左を見れば、すすき野原の先にぽつんと佇む混浴露天とオンドル小屋。昨晩の台風の影響で混浴露天はぬるいということなので、まずは男女別露天を楽しむこととします。

秋田八幡平秘湯ふけの湯荒涼とした地獄

左へ曲がり川を渡れば混浴露天へ。男風呂へはそのまま直進します。

それにしても、このロケーションは想像以上。宿のHPを見ても湯船のアップのみで、まさか地獄谷を独り占めするかのように湯船が設えられてるとは思ってもみませんでした。あぁ、入る前からもうくらくら来てる。贅沢すぎるほどの環境に、すでに心は逆上せ気味。

秋田八幡平秘湯ふけの湯男女別露天風呂

そして、待望のふけの湯とのご対面。地獄の中に、木の湯船だけを作りました。本当にそんな状態の露天風呂。浴衣を脱ぐのももどかしいほど、もう気持ちは制御不能状態に。

秋田八幡平秘湯ふけの湯生まれたての源泉が掛け流される露天風呂

後生掛温泉とはまた違った色合いを持つ、濃いにごり湯。灰色の湯にゆっくりと身を沈めれば、全身がまったり包まれるような感覚に。酸性もきつく無いようで、肌にピリピリくる感覚は全くありません。

滑らかな浴感に大きく息を付けば、思い切り感じる濃い硫黄の香り。やっぱりこれだよ、これ。硫黄の香りのにごり湯は、僕にとっての最高の湯の姿のひとつ。

秋田八幡平秘湯ふけの湯露天風呂に浸かりながら眺める秋景色

濃い成分を溶かし込んだかのように濃度を感じるまったりとしたお湯。どっぷりと浸かって右を見れば噴煙を上げる岩場、左を見ればすすきと紅葉。これ以上何があろうか。この瞬間を味わえただけでも、ここまで来た甲斐があったと言えるほど。

秋田八幡平秘湯ふけの湯男子用露天風呂

丁度よい温度に保たれた露天で出たり入ったりを繰り返し、心ゆくまで大自然に抱かれたロケーションを味わいます。

帰りがけに宿の中のお風呂も覗いてみることに。こちらは男子用の露天風呂。こちらも台風の影響でかなりぬるかった為、今回は入浴しませんでした。

秋田八幡平秘湯ふけの湯内湯

続いて男子用の内風呂。露天で逆上せ気味だったのですが、木造りの落ち着いた雰囲気に誘われ思わず入浴。こちらには更湯とシャンプー、ボディーソープが用意され、頭と体を流すことができます。

秋田八幡平秘湯ふけの湯冷たいビールでクールダウン

あまりの衝撃的なお風呂に、もう放心状態。それほどのインパクトが、この宿にはあります。

部屋へと戻り、すっかり茹った体を冷たいビールで落ち着かせます。窓の外には露天を有する地獄谷。この一軒宿がこの全てを独り占め。こんなことってあるのでしょうか。

秋田八幡平秘湯ふけの湯地獄の中のオンドル小屋

やっと落ち着きを取り戻したところで、混浴露天へ繰り出します。途中には囲われたオンドル小屋。ござを敷いて寝転がれば、全身で地熱のエネルギーを頂けるというもの。今回は滞在時間が短かったため見合わせましたが、今度は連泊してじっくりと味わってみたいものです。

秋田八幡平秘湯ふけの湯手付かずの自然の中佇む混浴露天風呂

そしてこちらが混浴露天風呂。大きな浴槽が上下2段作られており、上の段が熱め、下の段がそれよりもぬるめになっています。

最初は下段に入りましたが、やはり台風の影響で底は水状態。すでに秋の空気になっていた八幡平ではぬるすぎたため、上段へと移ります。

上段は結構熱めになっており、自然のままの温泉を扱うというのはかなり大変そう。途中で宿の方が来て、温度を測ったり湯量を調整したりと、色々加減していってくれました。

夕暮れの秋田八幡平秘湯ふけの湯

一番広い混浴露天も気持ち良いのですが、僕の一番のお気に入りは最初に入った男女別露天。地獄と紅葉、両手に華状態をもう一度味わおうと再び向かいます。

そこで2人組の男性とお知り合いに。趣味の山登りをきっかけに、数十年来の付き合いをしているそう。思わず話し込んでいるうちにあたりは暗くなり、そろそろ夕食の時間であることを思い出して宿へと戻ります。

秋田八幡平秘湯ふけの湯夕食

今日は温泉三昧プラス歩きで、もうお腹はペコペコ。地元鹿角のお酒を注文し、早速山の幸を頂きます。

目の前に並ぶ数々の美味しそうな品々。好物の岩魚の塩焼きやますの刺身をつまみに、地酒をクイッと味わいます。てんぷらはこれまた大好物のミズの他に、大輪の菊も。一輪まるごとの菊のてんぷらは初めて食べましたが、ふんわりとした食感とほんのり香る花の風味が良く、これは旨い。

根曲がり竹とニシンの煮物はシンプルな味付けで素材本来の旨さを感じられ、岩魚の南蛮漬けは説明不要の酒にバッチリの美味しさ。他にも山菜の豚巻きフライやふき、ミズやふきのとうの珍味など、山の幸のオンパレード。どれを食べても本当に美味しく、お酒がどんどん進んでしまいます。

秋田八幡平秘湯ふけの湯豚しゃぶと山菜ご飯

これだけでも結構なボリュームですが、豚しゃぶと山菜の炊き込みご飯まで用意され、もう大満腹確定状態。それでも美味しいから食べてしまう。腹十二分目、味覚もお腹も心も大満足な夕餉でした。

秋田八幡平秘湯ふけの湯夜のお供に純米吟醸原酒冬樹

食堂には先ほどの2人組がご機嫌に晩酌をされていて、挨拶をして部屋へと帰ろうと思ったら「ちょっと飲んでいけ」との嬉しいお誘い。初めての経験で、どちらかと言えば人見知りの強い僕ですが、旅の解放感からかすんなりお言葉に甘えてみることに。

旅先で偶然出会った人と酌み交わす旨い酒。すっかり話し込んでしまい、お部屋にお邪魔して更に飲みなおすことに。そこで、手土産にと今晩のお供として購入した地酒2本を持っていきました。こちらは大仙市の福乃友酒造の純米吟醸原酒冬樹。

秋田八幡平秘湯ふけの湯夜のお供に秀よし純米生酒

そしてこちらは何度か飲んでいる、大仙市は鈴木酒造店の秀よし純米酒生。

どちらも美味しかったということは覚えているのですが、ひとりでじっくり飲んだわけではないので細かい味は覚えていません・・・(泣)これはまた秋田訪問の際に確かめてみなくては。

秋田地酒を片手に、人生の先輩の話を聞いて過ごす、八幡平での夜。ひとり本を片手に静かに過ごす夜とは180°違いますが、こんな経験は初めて。予想外の展開と楽しい時間に、またひとつ、旅の新しい魔力を感じるのでした。

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八幡平・乳頭湯けむり紀行~初秋の湯三昧~

秋田八幡平秘湯ふけの湯露天風呂に浸かりながら眺める秋景色
2012.9 岩手/秋田

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●1日目(東京⇒盛岡)
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●4日目(藤七温泉⇒田沢湖⇒孫六温泉)
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●5日目(乳頭湯めぐり⇒東京)
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