2日前に通った道を下ること2時間、田沢湖畔バス停に到着。今宵の宿のある乳頭温泉郷へは、ここでバスを乗り換え。その間、しばし田沢湖畔でのんびりすることとします。
田沢湖畔にある大きなレストハウスのひとつ、『田沢湖共栄パレス』でお昼ご飯。今回注文したのは、ハタハタてんぷら入りの稲庭うどん。
ハタハタのてんぷらは初めて食べましたが、淡白な身がホクホクとし、意外とうどんと相性良し。ほんのり香る魚の風味を楽しみながらつるしこの麺をすすれば、体の芯からぽかぽかしてきます。
こちらのレストハウスの裏手には、秋田犬と秋田三鶏(比内鶏、声良鶏、金八鶏)が飼育され、間近でその姿を見ることができます。
忠犬ハチ公で有名な秋田犬は、日本犬の中で唯一の大型種。見た目としては見慣れた柴犬と似通った雰囲気がありますが、その大きさはやはり実際見てみると迫力があります。
そんな立派な秋田犬3頭も、今はお昼寝の時間。すやすやと寝息を立てて気持ちよさそうに寝ています。
僕は小さい頃から柴犬や秋田犬が大好き。愛らしい表情や、忠誠心の強さがにじみ出るような凛々しさは、日本犬ならではとも言えます。やはり生で見るとかわいい。犬って本当にかわいいですね。(こんなこと書くと中国犬のうちの子がやきもち焼きそう!?只今膝の上でブゥブゥいびきかいて寝ていますが。)
こちらは秋田三鶏のうちのひとつ、比内鶏。艶やかな羽と伸びた背筋から威厳すら感じさせる、立派な立ち居振る舞い。
でも、でもですよ。あの足の付け根やぁ、翼の内側に付いたお肉がぁ・・・。とか、骨から出るエキスがぁ、なんて頭をよぎったことなんて、絶対内緒なんですからね。
レストハウスを後にし、目の前に広がる田沢湖へと足を進めます。今年は異常に雨が少なく、田沢湖も渇水のためだいぶ水位が下がっています。以前にバスから見た田沢湖よりだいぶ砂浜が広くなっています。
ここ田沢湖は、乳頭温泉郷への行き帰りに何度も通過しましたが、立ち寄るのは実は今回が初めて。カルデラ湖特有の山に縁どられた湖には、静かに波が立つばかり。静寂が辺りを包み込みます。
この田沢湖は深さ日本一の湖で、そのうち170m以上が海面下に相当するとのこと。その部分を潜窪というそうで、その深さも日本一。そんな未知なる深さを秘めているとは思わせないほど、湖面は穏やかに空の色を映しています。
かつては日本屈指の透明度を誇り、魚もたくさんいたという田沢湖も、強酸性の玉川の水が導かれてしまったことにより、ほとんどの魚が死んでしまったそう。
現在では玉川の水の中和作業がだんだんと行われ、ウグイやコイ、フナくらいは住んでいるようです。清く美しかった湖をたった一つの河川事業で壊してしまった。文字通り、取り返しのつかないこと、です。
それでもこのきれいな水が寄せては返す姿を見ていると、いつかは魚のたくさんいる豊かな湖に戻ることを期待せずにはいられません。
田沢湖周辺にはいくつか見どころがあるようですが、どれも湖畔に点在し、車がないとなかなか見て回ることはできません。
ということで、バスの時間まで湖畔でのんびり過ごすことにします。爽やかな風を浴びながらの読書。お供には、地元の美味しいお酒、秀よしのワンカップ。あれもこれもと見て回らずとも、のんびりと湖畔でぼんやり過ごすのも有意義な時間の過ごし方のひとつ。
昼下がりの秋の陽を受け、ちりめんのような光と水の模様を浮かべる田沢湖。その穏やかな美しさを目の当たりにし、「白砂青松」の文字が頭にふっと浮かびます。
田沢湖は深い湖ということは先ほども触れましたが、湖底へと落ちる斜面の急峻さもかなりのものだそう。それが示す通り、砂浜の終わったすぐ先からは、底の見えない深い紺碧が広がっています。
きらきらと輝く湖面と、それを渡ってきた清々しいそよ風。穏やかなことこの上ない田沢湖畔ですごす午後は、静かにゆっくりと流れてゆきました。
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