濃厚チカラ湯、ほくほく泉。~秋のはじまり松之山 1日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

濃厚チカラ湯、ほくほく泉。~秋のはじまり松之山 1日目 ①~

10月上旬晴天の東京駅赤レンガ駅舎 旅行記

10月上旬、僕はまた東京駅の前に立っていた。去年ほとんど旅に出られなかった反動で、今年に入ってから過去最高の頻度で旅に出ている気がする。どうしよう、やっぱり行きすぎかな。そう思いつつも、胸の奥底から湧き出す旅の衝動は抑えきれない。

10月上旬東京駅E7系とき号新潟行き
今回の目的地は、初となるほくほく線沿線。まつだい駅のその先には、どうやらすごい湯が湧いているらしい。まだ見ぬお湯に誘われるかの如く、ふと思い立ち今回の旅を決めました。

10月上旬E7系とき号新潟行きサッポロ黒ラベルと上越新幹線開業40周年弁当
平日の昼間だというのに、思いのほか混雑しているとき号。席に着き荷物を片付けていると、程なくしてE7系は新潟目指して静かに発車。すかさず金星をプシュッと開け、旅立ちの悦びをひとり静かに味わいます。

10月上旬E7系とき号新潟行き車窓に広がる荒川
3時半起きの体に沁みる苦さと刺激を噛みしめていると、いよいよ荒川を越えて東京脱出。ビールの隣にスタンバイしていた駅弁を早速開けます。

10月上旬E7系とき号新潟行き上越新幹線開業40周年記念弁当中身
越後への道中の供にと選んだのは、新津駅の神尾弁当部が調製する上越新幹線開業40周年記念弁当。正直に言いましょう。もうこの駅弁は、ジャケ買いですよ。中身が何かより、上越路を彩った歴代の想い出の車両たちに一発でやられ、気づけば手に取っていました。

ふたを開けると、上越新幹線の目指す新潟らしい分厚い鮭がどどんと鎮座。3切とも一見同じように見えますが、塩鮭に新潟産醬油漬け、越後味噌漬けと三種の味を楽しめます。

見るからにほくほくの鮭をひと口。すると途端に広がる、鮭の風味と脂の旨味。正直もっともそっとした食感をイメージしていましたが、しっかりと脂がのり冷めていてもこんなにおいしい鮭は初めて。

鮭の旨味を支える白いご飯も、これまた新潟らしくもちもち甘うま。シンプルな塩、滋味深さを感じさせる醤油、そしてコクと香りを纏う味噌。それぞれの味の違いを楽しみつつ、あっという間に平らげてしまいました。

10月上旬E7系とき号新潟行き車窓から望む薄曇りの群馬の山並み
こんな駅弁の鮭は食べたことがない。大げさではなくちょっと感動するレベルの鮭の旨さの余韻に浸っていると、いつしか車窓に迫る関東平野の縁。このギザギザの山並みを見ると、群馬まで来たと一気に実感が湧いてきます。

10月上旬初秋の越後湯沢駅
とき号はついに上越国境の山に挑みはじめ、いくつかトンネルを抜け上毛高原に停車。発車したかと思えば、分水嶺を貫く大清水トンネルに突入。ひたすら続く漆黒の車窓に光が溢れたその刹那、もう僕は越後の人に。

10月上旬初秋の越後湯沢駅ぽん酒館の酔っ払い人形
東京駅からあっという間の1時間20分、列車の乗り継ぎ駅である越後湯沢に到着。直近で乗り換えられる列車もありましたが、敢えて1本ずらしお気に入りのここへと立ち寄ります。このマネキン、妙に親近感湧くんだよな。

10月上旬初秋の越後湯沢駅ぽんしゅ館唎酒番所
越後湯沢といえばの、『ぽんしゅ館』。地酒や食材、調味料からお菓子まで、広い店内は新潟のもので溢れています。そんな中で一目散に向かったのが、唎酒番所。一度知ってしまうと、立ち寄らざるを得ない夢のような場所。

10月上旬初秋の越後湯沢駅新潟県内全ての酒蔵が揃う唎酒番所の自動販売機
中へと入ると、出迎える圧巻のこの光景。ここには新潟県内の全ての蔵の日本酒が集結しており、入口で500円と引き換えに受け取った5枚のコインで試飲を愉しみます。

これだけの種類が並んでいると、何を飲むかと考えるだけで嬉しくなる。まずはフルーティーで甘酸っぱさを感じさせる越の鶴Premiumから始め、上善如水湯沢限定原酒に鮎正宗、山古志に高千代と、気になった銘柄をちびりちびりと味わってゆきます。

10月上旬初秋の越後湯沢駅E129系上越線普通列車長岡行き
気をつけないと、コインをもう5枚追加してしまいそう。そこをグッと我慢してホームへと向かい、ほろ酔いの頬と同じく朱鷺色を纏った列車に乗り込みます。

10月上旬初秋の上越線E129系普通列車長岡行き車窓に広がる刈り取られた田んぼ
大きな窓を流れる、蒼い山並み。秋晴れの空の下には、枯色と畔の緑の対比が美しい秋の田園。米どころらしい長閑な美しさに、新潟までやってきたという実感が。

10月上旬初秋の六日町駅北越急行ほくほく線HK100ゆめぞらⅡ
越後湯沢から上越線に揺られること約20分、六日町に到着。ここで『北越急行』ほくほく線に乗り換えます。今回乗車したのは、日曜日にはイベント列車として運行されるHK100形ゆめぞらⅡ。イベント時にはトンネルに入ると天井に映像が流され、トンネルの多いほくほく線での乗車体験を楽しめるようになっています。

10月上旬初秋のほくほく線HK100形車窓に広がるのどかな田園風景
21年ぶりの乗車となるほくほく線。前回は記念すべき二十歳の金沢ひとり旅でスノーラビットに乗車したので、こうして普通列車に乗るのは今回が初めて。

掛け心地の良い転換クロスシートに腰掛け眺める車窓。流れゆく田園を見つめていると、慣れないグリーン車にはしゃぎつつ北陸の地へと気持ちを昂らせていたはたちの僕が甦る。

もうあれから、21年か。長いようで、あっという間。あのときの僕は、今これほどまでに旅に出られているとは思うはずもなかった。でも今の自分を間違いなく形作ったのは、あの加賀への旅だった。

久方ぶりに乗るほくほく線。時の流れのはやさとこれまで重ねた旅の記憶に思いを馳せ、これから出逢うであろう力強い個性的な湯へと期待を高めてゆくのでした。

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