冬を求めて津軽路へ ~ランプのゆらぎ、千の夢。1・2日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

冬を求めて津軽路へ ~ランプのゆらぎ、千の夢。1・2日目 ①~

夜のバスタ新宿旅立ちの地 旅行記

歳を重ねるごとに増す、四季折々への憧憬。それなのに、反比例するかのように失われつつある日本の季節。すでに春と秋は滲んでしまい、暑さ寒さも強烈か微妙かの二択しかない。

そんなとき、僕は無性に旅に出たくなる。暑い夏には陽射しを楽しみ、寒い冬には雪に埋もれたい。灰色一色の東京をかすかに彩っていた季節というものが感じられなくなった今、僕は四季を求めて旅へと出るのです。

岩手県北自動車夜行バスMEX青森号
ということで、今回も旅の出発点はバスタ新宿。座る場所がないほど賑わうターミナルで幾多もの行き先のバスを見送り、ついに僕を津軽の地へと連れて行ってくれるバスが入線。今回は岩手県北自動車が運行する『MEX青森号』に乗車します。

車内はおもしろい造りとなっており、前方は4列シート、後方は3列シートという座席配置。座席は合皮張りですが嫌なすべり感はなく、なにより好きな位置に挟める腰当のクッションが絶妙。このクッションのおかげで、ずいぶん快適に過ごすことができました。

雪のない冬の弘前駅城東口
快適なバスに揺られること9時間半、弘前駅に到着。今年は雪がない、雪がないとは聞いていましたが、これほどまでに何もないなんて。10回目にして、初めてとなる冬の弘前。白銀の化粧を施した街を期待し旅程を組んだため、思わずちょっと拍子抜け。

雪のない冬の弘前イトーヨーカドー前から望む美しい岩木山
半年ぶりの訪問となる、弘前の街。ねぷたの熱気が、つい昨日のことのように鮮明に思い出されます。あぁ、今年もねぷた、来られるかなぁ。なんて妄想しつつ歩き慣れた道を進むと、眼前には白く輝く雄大な岩木山。そういえば、雪をかぶった津軽富士を見るのはこれが初めて。優美なその立ち姿に、思わず軽い身震いすら覚えてしまう。

雪のない冬の弘前薄く結氷した弘前城のお堀
なんだろう、回を重ねるごとに岩木山は美しい姿をはっきりと見せてくれるようになっている。冬の弘前、雪は少ないけどいい風情だなぁ。肌に感じる心地よい冷たさにウキウキしつつ歩いてゆくと、薄く結氷した弘前城のお堀が。

雪のない冬の弘前お堀の土手に佇む美しい白鷺
そのままお堀に沿ってゆくと、土手に佇む美しい白鷺の姿が。首を縮め、寒さに耐えているのだろうか。それとも息を殺して、獲物でも狙っているのだろうか。

雪のない冬の弘前飛び立つ美しい白鷺
そう思ったのもつかの間、純白の羽を大きく広げ飛び立っていってしまいました。残るのは、薄く積もった雪だけ。その白さが、白鷺の余韻を映すかのよう。

雪のない冬の弘前結氷した弘前城のお堀の先に聳える岩木山
半年前、ねぷた村でお土産買ったなぁ。などと懐かしみつつ歩いてゆくと、白い氷に覆われたお堀の先にいきなり姿を現す岩木山。感動、その二文字しか今は浮かばない。東北の山々は、何故にこうも気高く美しいのだろうか。訪れるごとに、その想いは強まるばかり。

雪のない冬の弘前仲町武家屋敷の街並みと岩木山
時刻はまだ9時過ぎ。人通りも少ない街を進み、武家屋敷が残る仲町伝統的建造物群保存地区へ。渋い板塀に、冬色の生垣。それらを見守るかのように裾野を広げる、津軽富士。かつてのお侍の気配が、なんとなく感じられるかのよう。

冬の弘前蕾の固いお堀の桜
初めての弘前の冬に心躍らせ、再び弘前城のお堀端へ。無数に連なる桜の枝には、まだ固いとはいえいくつもの蕾が。あと数か月後には、これらが一斉に解き放たれる。桜色に染まる弘前もいつかは見てみたい。何度も通う口実を、こうしていつも見つけてしまうのです。

冬の弘前お堀端の純白の雪
あぁ、来てよかった。確かに雪は少ないけれど、初めての僕にとってはこれでも充分。これまで味わったことのない弘前の冷たい風を浴び、心は一気に冬色に染まるのでした。

冬を求めて津軽路へ ~ランプのゆらぎ、千の夢。~
青荷温泉のロビーを彩るいくつものランプ
2020.2 青森
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5日目(酸ヶ湯温泉滞在)
●6日目(酸ヶ湯温泉⇒青森⇒東京)
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