冬を求めて津軽路へ ~ランプのゆらぎ、千の夢。3日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

冬を求めて津軽路へ ~ランプのゆらぎ、千の夢。3日目 ①~

冬のランプの宿青荷温泉夜明けの部屋を照らすランプの淡い灯り 旅の宿

ほんのりとしたランプの温もりに溶けた夜。気付けば深い眠りに落ち、ふと目覚めるともうあたりには朝の気配が。夜明けの部屋を弱く照らす、ランプの淡い灯り。漆黒の闇から僕を守ってくれた小さな炎が、太陽の明るさにバトンを渡すときを待つかのように揺れています。

冬のランプの宿青荷温泉青く染まる早朝の青荷川
思い切って窓を開ければ、部屋へと一気になだれ込む冬の朝の空気。その凛とした冷たさが心地よく、薄青く染まる雪深い青荷川の流れをしばしぼんやりと眺めます。

冬のランプの宿青荷温泉露天風呂で朝風呂を
朝の空気を思い切り吸い込み、冷えたところで朝風呂へ。まだ誰もいない、大きな露天風呂。岩で設えられた浴槽へとゆっくり浸かれば、あたかも自分が解凍されるかのように穏やかな温もりがじんわりと沁みてゆきます。

冬のランプの宿青荷温泉1泊目朝食
朝から静けさが支配する時間に身を委ねていると、いつしか朝食の時間に。大広間へと向かえば、美味しそうな山の幸が並んでいます。

岩魚の甘露煮はギュッと凝縮された食感と旨味が美味しく、蕗の炒め煮や長芋の千切りといった名脇役も熱々の白いご飯にぴったり。火のついている陶板は青森の郷土料理である貝焼き味噌のような卵とじで、ご飯にかければとめどなく食べ続けたくなる旨さ。

冬のランプの宿青荷温泉雪に埋もれたランプ小屋
素朴ながら滋味深い山のご馳走についつい食べすぎ、ようやく満腹を落ち着かせたところで再びお湯へ。その道中、雪に埋もれるようにひっそりと佇むランプ小屋。一晩この宿を守ったランプたちが、もうまもなくここへ帰ってくることでしょう。

冬のランプの宿青荷温泉チェックアウト時間を過ぎ静寂に包まれた健六の湯で午前の湯浴みを
チェックアウトの時間も過ぎ、しばしの静寂が訪れる一軒宿。慌ただしく発つ人々の気配を見送り、静けさの中ぼんやりと噛みしめる午前の湯浴み。この贅沢を知ってしまうと、連泊という甘美からはもう逃れられなくなってしまう。

冬のランプの宿青荷温泉湯上りに午前のビールを
部屋への帰り道に売店でビールを買い、いけない午前の愉しみを。部屋に溢れる雪の明るさを浴びつつ飲む、湯上りの冷たい刺激。ほろ苦い味わいともに、この季節の持つ白さが心身を引き締めるかのように染みわたります。

冬のランプの宿青荷温泉昼食のイガめん
ただひたすらに、ランプと白銀に揺蕩う時間。そんな怠惰の極みを存分に噛みしめていると、あっという間にお昼どきに。フロントで注文し隣の広間で待つことしばし、お待ちかねのイガめんが到着。

見ての通り、郷土料理のイガメンチがのったおそば。結論から言いましょう。これ、全国のおそば屋さんに広がって欲しい。そう思うほど、一瞬でファンになってしまいました。

カリッと揚げられたイガメンチからつゆへと広がる、香ばしさと油のコク。そのイガメンチが時間の経過とともにつゆを吸い、ほろりとろりの食感に変化。味わいのグラデーションや増してゆく一体感は、まさに絶妙のひと言。

天ぷらそばでもコロッケそばでもない、第3の揚げ物そばとして定着するべき。ただ単に郷土料理をのっけただけなのですが、そのベースとなるイガメンチがとてもおいしいからこそなせる技。猫舌なのも忘れ、汗を掻きつつ一気に平らげてしまいました。

冬のランプの宿青荷温泉昨日より雪深さが増す
満腹感と満足感に満たされ、部屋へと戻る帰り道。昨夜から降り始めた雪は辺りを白銀に染め、広がる景色は水墨画のよう。これを味わいたいがために、ここまで来た。自分の求めていた冬の姿に触れ、思わずひとり嬉しくなってしまいます。

冬のランプの宿青荷温泉部屋の前に配給される新しいランプ
あぁ、冬だなぁ。そんな感慨に浸りつつ部屋へと戻ると、入り口には新しいランプが配給されていました。そうか、不在時はこうして置いておいてくれるのか。こんな光景に出会えるのも、連泊ならではの贅沢。

冬のランプの宿青荷温泉昼下がりのお供に中村亀吉酒造の亀吉特別純米辛口酒を
あとはもう、何もない世界に溶けるだけ。そんな昼下がりのお供にと、今日は早めにお酒を開けることに。黒石のこみせ通りに蔵を構える中村亀吉酒造の、亀吉特別純米辛口酒。その名の通りすっきりキリっとした味わいですが、嫌な辛味や酸味はなく適度な甘味や旨味を感じる美味しいお酒。

冬のランプの宿青荷温泉連泊で味わう翳りゆく部屋
飲んで寝て、気が向いたら湯屋へと向かう。そんなことしかできないはずなのに、あっという間に時間は過ぎてゆく。気付けば山深い一軒宿には早くも夜の気配が忍び寄り、だんだんと翳りゆく様をただただぼんやりと見つめて過ごすのみ。

電気も電波もない、ランプの宿。当初抱いていた、不便を楽しむという気持ちはどこへやら。ここでしか味わえない貴重な瞬間は、刻一刻と過ぎ去ってゆくのでした。

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