盛夏万緑、みちのくへ。~ヤーヤドーに逢いたくて 1・2日目 ②~

JRバス東北おいらせ号

八戸の祭りの賑わいに触れ、『JRバス東北』のおいらせ号十和田湖行きに乗車。ここから一路、奥羽山脈の懐へと向かいます。

JRバス東北おいらせ号車窓に広がる東北の夏
バスは市街地を抜け、青々と広がる田園へ。風に撫でられ、しなやかに揺れる若い稲。繰り返し柔らかくなびくその様子は、風という見えないものの姿を見せてくれているよう。東北の夏、好きだなぁ。何度見ても心焦がれる、僕にとっての原風景。

JRバス東北おいらせ号十和田湖温泉郷バス停
十和田市の中心部や緑豊かな車窓を愛でること約1時間半、十和田湖温泉郷バス停に到着。ここから焼山に向け、大小さまざまな温泉宿が建ち並びます。

十和田湖温泉郷食堂上髙地
これから向かうは蔦温泉。本来ならば一つ先の焼山バス停で乗り換えるところですが、食べたいものがあったため手前で降り『食堂上髙地』へとお邪魔します。

十和田湖温泉郷食堂上髙地牛バラ焼定食
その食べたいものとはもちろんこれ、十和田のご当地グルメである牛バラ焼。県産牛を使っているようで、見るからに美味しそうな牛肉が焼く前から食欲をそそります。

十和田湖温泉郷食堂上髙地牛バラ焼定食
お店の方に教えてもらった通り、焦がさないよう混ぜつつ焼くことしばし、お肉も玉ねぎも程よきところで火を止めます。辺り一面に漂う、牛とタレの甘く香ばしい香り。もうこれ、食べる前から旨いやつ。箸をつける前から、そう確信します。

程よく脂ののった牛は甘味があり、柔らかすぎず固すぎずの丁度良い食べ応え。たっぷり加えられた玉ねぎも、辛みが全くなく瑞々しい甘さと食感。そして何より、それらをまとめるタレが絶品。にんにくが香る甘辛しょうゆ味なのですが、この絶妙なバランスこそが十和田の牛バラ焼の魅力なのでしょう。

ご飯を食べるために創られた地元の味。そんな素朴ながら絶対に自分では真似のできないような美味しさに、ホカホカの白いご飯が止まらない。焼きたて熱々の牛バラ焼とご飯の往復に、日本に生まれてよかったと改めて幸せを噛みしめます。

十和田湖温泉郷から蔦温泉へと向かう道に咲く大輪のあじさい
ご当地グルメは、やっぱりその地で食べるに限る。初の十和田バラ焼に大満足し、旨さの余韻に酔いつつ蔦温泉へと歩き始めます。道端には、勢いよく咲く大輪のあじさい。生命力あふれる見事な姿に、この地が高地であることを実感します。

夏の青森豊かな緑の中歩く国道103号線
今日はこのまま歩いて蔦温泉を目指すことに。夏真っ盛り、繁る豊かな緑に包まれつつ歩く国道103号線。バスでは味わえない木漏れ日も、葉擦れの音も心地良い。

国道103号線沿いに姿を現す蔦川
先ほどまで木立越しに川音を届けていた蔦川が、視界が開け目の前に。汗ばむ陽気の中、さらさらと流れる水音と川を渡り頬を撫でる風に一服の清涼を得ます。

夏の青森国道103号線沿いの立田の滝
川風に吹かれ爽快さを味わいつつ歩いてゆくと、道沿いにさらさらと落ちる立田の滝が。滑らかな岩肌を絹のように落ちる繊細な姿に、歩きだからこそ味わえる楽しみというものを今一度実感します。

夏の青森国道103号線沿いの立派な柱状節理
その先には、見上げるほどの立派な柱状節理が。十和田湖や奥入瀬渓流を創りあげた火山の力は、こんな目立たたない場所にもその力強い美しさを宿しています。

夏の青森国道103号線昭和9年竣工の通天橋
川沿いを進む道はその先で二手に分かれ、見るからに古そうな通天橋で蔦川を渡り山へと挑み始めます。銘板を見てみると、竣工はなんと昭和9年とのこと。観光や静養の地として、いかに古くから人々に愛されてきたかが伝わるよう。

夏の青森山を連続カーブで登る国道103号線
通天橋を越えると、国道103号線はついに本格的な山岳路線へと変化。連続するカーブと勾配に汗をかきつつも、鮮やかな緑に包まれるという非日常が歩きを一層楽しいものに。

出発点である食堂上髙地から蔦温泉まで、約6㎞。続く勾配に息を切らせながらも、その分東北の夏を胸の奥から吸収できる。豊かな木々の優しさに守られつつ、蔦へと続く道を歩いてゆくのでした。