盛夏万緑、みちのくへ。~ヤーヤドーに逢いたくて 4日目 ②~

夏の青森優美な姿を見せる八甲田丸

青森ねぶたの予熱に触れ、そのまま海沿いを進むことに。眼前には、だんだんと大きくなりゆく黄色い船体。かつて海峡の女王と呼ばれ、本州と北海道の大動脈を担ってきた八甲田丸。いつ見てもその優美さは色褪せることなく、今にも函館へと向け出港してゆくかのような錯覚すら感じてしまう。

夏の青森可動橋越しに八甲田丸の船尾を眺める
船底に列車を載せるために数々の工夫が施された、青函連絡船。陸と海を繋ぐという大切な役割を果たし続けてきたこの可動橋も、今はただ接続することのない八甲田丸へと向け静かに横たわるのみ。

夏の青森波の鼓動に合わせ動く八甲田丸を係留するロープ
その優美な姿から、長年にわたり海峡の女王として君臨してきた青函連絡船。特にこの津軽丸型と呼ばれる最終期を彩った船たちは、その俊足さから海の新幹線との異名も。廃止から三十余年、時に荒れ狂う津軽海峡に立ち向かうという凛とした表情を浮かべ、今も遠く函館を見つめています。

夏の青森青函連絡船八甲田丸と津軽海峡冬景色の歌碑
上野発の夜行列車おりた時から・・・。ここへ来たら必ず聞かなければいけない、僕にとっての大切な儀式。幼心に強烈に刻まれた青函航路への憧れは、ついに叶うことなく消え去ってしまった。あと十年早く生まれていれば。この趣味を持っていると、そんな叶わぬ想いと否応なしに付き合っていかなければならないのです。

夏の青森電車待ちのホームで青森りんごのチューハイを
青森の地を訪れたら避けては通れない感傷を噛みしめたところで、駅へと戻ることに。その途中、ふらりと入ったお土産屋さんで美味しそうなものを発見。青森産りんごのストレート果汁を使用したチューハイは、これまで飲んだことのないような爽やかな自然な風味。さすがは青森、りんご製品は間違いありません。

奥羽本線普通列車で青森から弘前へ
ホームでのいけない昼酒を堪能し、奥羽本線の普通列車に乗車します。これから向かうは弘前。僕の夏には欠かせない、8年連続で通う愛する街。

夏の弘前駅で旅人を出迎える津軽三味線生演奏
701系の長閑な列車に揺られること約45分、弘前駅に到着。改札へと向かう階段を上ると、何やら耳に心地よい音が聞こえてきます。やった!津軽三味線の生演奏だ!久々に味わう力強い音色に、僕の血が途端に滾るのを感じます。

ねぷた開幕を控えた夏の弘前駅
心を揺さぶる強烈な三味の調べ。バチを打ち付けるような激しさがあったかと思えば、津軽の冬を思わせる悲しげな音色も。だめだ、やっぱり泣いてしまいそう。津軽三味線を耳にすると、何故か自然と胸が苦しくなってしまう。

夏の弘前津軽藩ねぷた村
1年ぶりとなる弘前の街の空気を胸いっぱいに補給し、お城のそばに位置する『津軽藩ねぷた村』までのんびりお散歩。ここは7年前、僕に津軽という地を教えてくれた大切な場所。ここへ来ていなければ、こうして毎年ねぷたを見ることもなかったのかもしれない。

耳奥に蘇る、熱い太鼓とヤーヤドー。さあこれからが本番だ!毎年こうして夏の弘前を訪れることのできる幸運に、祭りの前から心は高揚しっぱなしなのでした。