昨夜は濃厚なお湯をたっぷりと楽しみ、日頃の疲れもすっかり取れて気持ちの良い目覚め。格子窓の向こうには、今日も暑くなるぞ!と意気込むような夏の空が広がります。
目覚めのひとっ風呂で心地よい汗を流し、朝食を頂きます。今朝も廊下を眺める特等席。夏の朝の心地よい風を受けながらの、爽やかな朝食です。
テーブルにはたくさんの美味しそうなおかずたち。山女の甘露煮は骨までほろほろと柔らかく、シャキッとしたいんげんのごま和えも美味しい。
豆腐は珍しい牛乳豆腐で、しょう油ベースのたれやしょうがと合うのかな?と思いきや、さっぱりとほんのりクリーミーな美味しさ。秋田名物のばっけ味噌やいぶりがっこ、とんぶりもご飯との相性バッチリ。
作りたて熱々を持ってきてくれたのは、なすの田楽。揚げられてとろりとしたなすは、その食感とまろやかさだけでも十分なご馳走。その上に載せられたごま味噌が、とろけるなすに程よく絡みます。
そしてこちらはひんやりとしたお味噌汁、きゅうりもみ。所謂冷汁ですが、こちらには焼いた魚は入っていません。
この辺りは夏は暑いから、農家の人はみんなこうやって食べているんですよ、というこの料理。軽く塩揉みされたきゅうりは程よく食感が残り、冷たいお味噌汁に清涼感を与えます。氷が入っているので、最後まで冷たいまま。暑い夏を乗り切る昔からの知恵です。
きっかけは、立派なお屋敷に泊まりたいと訪れた、樅峰苑。建物もさることながら、お湯も、料理も、とても印象深く味わい深い宿でした。所謂「普通の田舎」にこんな名湯が隠れているなんて。何だか良いものを見つけた時のような嬉しさを胸に、宿を後にします。
帰りもご主人に送っていただき、峰吉川駅でしばし電車を待ちます。しばらくすると通過電車の放送が。やってきたのはあのE6系こまち。在来線を颯爽と通過する新幹線は、何度見ても新鮮で、何度見ても違和感があるものです。
峰吉川から奥羽本線に揺られること30分ちょっと、県都秋田駅に到着。この時期の秋田も夏祭り一色。いつかはこの眼で見てみたいと願う竿灯まつりを目前に控え、街に活気が溢れています。
そう言えば、秋田市に立ち寄ることはあっても、こうやって街をのんびり散策できるのは今回が初めて。意外にも吹く風が涼しいことと、すかっと爽やかな夏空も手伝い、開放的な気持ちでお堀端を歩きます。
現在は千秋公園として市民の憩いの場になっている、久保田城跡。そのお堀を埋め尽くすように、淡い桃色の睡蓮の花がたくさん咲いています。涼しい風に揺られる姿は、夏の日の一服の清涼剤。
そんな夏を彩るもう一つの清涼が、秋田名物ババヘラアイス。たくさんの蓮の花にも負けないパラソルといでたちで、アイスを求める人を待ち構えます。
初めてのんびり歩く秋田の街。まだ見ぬ景色に期待を膨らませ、久保田城址への坂を登ります。
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