この旅最大にして最後の目的が、今始まる。この祭りが終われば、僕の夏も終わってしまう。遠くから迫りくる津軽じょっぱり大太鼓の音が、今宵は何となく寂しく感じてしまう。そう思うほど、僕にとってのねぷたは、夏の中心。
今年は特にたか丸くんの姿を多く見かけます。むすび丸やくまモンに並び、僕のお気に入りのキャラクター。闇の中明るく浮かぶ姿は、かわいくもあり勇ましくもあり。
やーやどー!の声に合わせ、金魚ねぷたを高く掲げる子供たち。きっと大人になっても、このお祭りの経験は記憶に残り続けるのでしょう。
扇ねぷた中心の弘前ねぷたですが、今年は組ねぷたも多く見られました。中には、弘前城の下乗橋を渡る津軽のお殿様と、大きなりんごの組み合わせも。これぞ津軽弘前、インパクトがあります。
だんだんと大きなねぷたが多くなり、祭りの熱気も上がります。建物よりも高いねぷたと、それを曳き、そして回す人々。その迫力は、生でなければ絶対に味わえない。だからこそ、毎年こうして来てしまう。
表の鏡絵以上に、それぞれに違う個性を見せる見送り絵。もののあわれを感じさせるようなものもあれば、目を見張る鮮やかな美しさを持つものも。
その緻密で繊細な絵を見れば、このねぷたのためにどれほど前から準備を始めるか容易に想像がつきます。お祭りとは、その地域の人々の想いが詰まっているもの。観光用のために立ち上げられたフェスティバルとは一線を画す深みは、歴史を重ねたねぷただからこそ。
弘前の夏夜を幻想的に染め上げる、ねぷたの灯り。東京では味わえないからっと涼しい夜風とともに、来ては去ってを繰り返します。
またまた工事現場のたか丸くんが登場。ショベルカーに乗り、弘前城の石垣修復工事を手伝います。
たか丸くんや組ねぷたの多さも目立ちますが、このねぷた金魚の多さも、今年の印象に残ったもののひとつ。
ひと口にねぷた金魚といっても、そのタイプは様々。色々な姿の金魚ねぷたを見られて大満足。
次から次へとやってくるねぷたの行列。いつまでもいつまでも、こうやって見ていたい。この夜がずっと続けばいいのに。そんな叶わぬことを思ってしまう。
そんな願いは通じる訳もなく、2時間以上に渡ったねぷたの出陣もこれで終わり。3階建てに匹敵する高さのねぷたを力いっぱい曳く姿に、僕の夏の熱さを託します。
ついにやってきた、本日終了の文字。あぁ、これで僕の夏は終わった。楽しみにしてきたねぷたと共に、僕の夏が去ってしまうような寂しさに襲われます。
行く夏を捕まえるかのように、ねぷたの後を追って歩きます。すると、途中の曲がり角で帰ってきた金魚ねぷたと遭遇。あぁ、もう一度金魚ねぷたに会えた。
更に弘前の街を回り終えたねぷたが灯りを点したままいくつも戻ってきます。
こうして、僕の夏の夜の夢は終わりを迎えました。最後の最後まで、余韻で包んでくれた弘前のねぷた。終わった瞬間、また観たい。きっと来年も来たいと願うに違いない。宿と休みの確保に全力を尽くす決意を、力強いねぷたに誓うのでした。
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