昨晩は、夜のジャングル探検を楽しみぐっすりと眠れました。探検&湯浴み、最高のひと言。そんな個性溢れる混浴を持つこのお宿ですが、温泉に来たらやはり入りたい露天風呂も。岩風呂には女性専用の時間帯が、露天風呂は時間帯により交互に男女専用となります。
今朝はそんな露天風呂で目覚めの時を味わうことに。小国川を渡ってきた朝の空気は、盛夏というのにひんやりと心地よい涼しさ。コンクリートジャングルの東京では、この時間には既に灼熱地獄。これが自然の本来の姿なのです。
小国川の流れる音と朝の風を浴びながらの湯浴みは、泊まった者だけに許される贅沢。朝風呂の心地よさがあるからこそ、温泉は泊まって味わう物なのです。
朝風呂で頭も目覚めたところで朝食の時間に。テーブルには美味しそうな山の幸が並びます。特に印象に残ったのは、山形の夏野菜の美味しさ。
太いインゲン豆は炒め煮に、茄子とピーマンの素揚げには甘辛い味噌が掛かっています。お味噌汁に入るさやえんどうも、豆の存在感がしっかり。野菜だけでこの贅沢さ。だから東北はやめられない。
そして僕の好物の納豆や、木綿のしっかりした冷奴、丁度良い塩気の鮭もお供に、お腹一杯美味しいお米を平らげました。
帰り際にもう一度、江戸発祥のジャングル風呂に別れを告げ、三之亟を去ることに。インパクト満点のお湯もさることながら、美味しいご飯でも山形を味わえる。またひとつ、また来たい宿が増えてしまいました。
帰りは宿の方に送って頂き、ちょっと早めに赤倉温泉駅に到着。陸羽東線、別名奥の細道湯けむりライン。その名の通り、こんなに良い湯が沿線にゴロゴロとあるとは。
有名な鳴子温泉郷はもちろんですが、山形側の赤倉、瀬見も魅力たっぷり。お湯のインパクトは鳴子程では無いかもしれませんが、三之亟にしても、喜至楼にしても、忘れえぬ湯屋の感動を味わえる。陸羽東線だけで一週間や二週間は軽くいけますね。
列車を待つ静かな時間。昔ながらの木の枕木と犬釘を見ていたら、こんなことをしたくなってしまいました。と言っても、これは線路側ではなく、以前使っていただろう、線路が撤去された副本線側なので大丈夫。
既に空気を焼きはじめた、山形の夏の陽射し。その感触を頭や背中に浴びながら、ホームに腰掛け足を投げ出す。少年の頃には味わえなかった、少年のような夏休み。
麦わら帽子に西瓜気分でいると、遠くから鉄路を伝うリズムが響いてきました。去年に引き続き味わえた、山形の素朴な自然と湯の恵み。再訪を誓い、ディーゼルカーに乗り込みます。
夏が過ぎ風あざみ・・・。ベタだけれども、少年時代のメロディーと歌詞が自ずと湧いてくる、そんな夏の車窓。エンジンの心地よいBGMに載せ、夏の光と緑がこれでもかと車内に広がります。
鉄道の原風景とも言える、田園に包まれた車窓。これを味わいたいから、夏に鉄道で旅をする。そんな僕の欲求を存分に満たしてくれた陸羽東線も、終点の新庄駅へと到着。
去年訪れた時は空腹に悩まされ、辛い記憶の残るこの駅。でも大丈夫、今回は名物をしっかりと食べてやります。
その名物に会うためにやってきたのは、新庄駅から歩いて7~8分程の場所にある、『一茶庵支店』。事前に情報を知らなければ、旅行者にはここに名物が隠れているとは分からない、町の普通の食堂といった佇まい。
早速中へと入ると、まずそのメニューに驚き。ラーメン屋さんなのですが、熱いの他に、冷たいが。さすがは冷やしラーメンの本場、山形県。でもそんなのでは驚きません。何に驚いたかと言えば、熱い、冷たいの間に、「ぬるい」というジャンルがあるのです。3つの温度帯で繰り広げられる、それぞれのラーメンたち。生まれて初めて目にする光景に唖然。
その注文システムも独特で、どうやら注文時には名前を告げるみたい。僕は旅行者と分かってくれたらしく、何も知らずに注文しても大丈夫でした。そしてアルコール類だけ、何故か前払い。
このお店ルールとメニューをつまみに、冷たい瓶ビールを楽しんでいると、お待ちかねのラーメンが到着。新庄名物、もつラーメン。僕は「熱い」を注文しました。
澄んだスープの上には、砂肝やレバー、きんかんといった鶏のもつが載っています。麺は白く透き通るような独特の麺で、つるつると優しい食感。
メインのもつ自体はそれほど濃く味付けされておらず、ダイレクトに鶏もつの風味が伝わります。スープ自体もだしは効いていながら優しい味わいなので、全体としては文字通り鶏のもつのラーメンという印象。
何と言えばいいのでしょうか、本当に独特の美味しさ。でもきっと、鶏もつが苦手な人は食べられないかもしれない。そう書くと誤解を生みそうなので言っておきますが、決して臭みが強い、というのでは無いのです。でも鶏もつの独特な風味が全体に染みだしている、何とも言えない旨さ。
もつの部位によって変わる味わいや食感を楽しみつつ、つるんとした食感の麺や澄んだ優しいスープを味わう。全体的に穏やかな一杯の中にインパクトを残す、鶏もつの存在感。好き嫌いは分れるかもしれませんが、僕は大、大、大好き。
ガツンと来る強さを持つ名物では無いかもしれませんが、食べている時から感じる、じわじわと来る旨さ。初めての新庄の味に、大満足なのでした。
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