長閑な雰囲気に包まれた、のんびりとした佇まいの深浦駅に到着。次の列車まで2時間半、適当にぶらぶらしてみようと、ほとんど下調べせず、まさにぶらり途中下車の旅状態。さて、これからどんな景色との出会いが待っているのでしょうか。
駅を出ると、目の前に海が広がっています。空はすっかり晴れ渡り、陽気はまさに夏そのもの。いくつになっても、この夏のじりじり感を体で味わうとワクワクしてきます。
駅の地図である程度の情報を確認し、国道へと出ます。右手を見ると、海に浮かぶ大きな岩が。大岩海岸というようで、ひとまずそちらへ向かってみることに。
駅から海沿いをのんびり歩くこと10分足らず、大岩の入口へとやってきました。ここから海の中へと続く歩道で、あの大きな岩山まで行くことができます。
まさに海中歩道、海の上を渡る感覚を味わえます。暑いくらいに照りつける日差しですが、海風は湿度もなくからっと爽やか。東京では絶対に味わえない「夏」に、すでに心は日焼けしそう。
下を見ればとてもきれいな海。透き通る海水の下には、柔らかく揺れる海藻の姿も。
こちらには、小さい魚の大群が、右へ左へと泳いでいます。
海を渡る潮風を味わいながらのんびりと歩き、大岩のふもとまで到着。大岩には階段状のトンネルが開けられ、そこを上るとより雄大な日本海を楽しむことができます。なんとなく、サスペンス。な雰囲気も。
風に吹かれる草と、マリンブルーの水平線。この日の海は本当に穏やかで、白波ひとつたっていません。それでも、太平洋とはどこかが違う、日本海の青さ。
今まで接することのなかった夏の日本海の青さに感動を覚え、しばし立ちつくし、全身で海風を受けます。
深浦漁港方面の眺め。あの山の向こうには、日本海に沈む夕日と、それに負けないくらいの黄金色のお湯が沸く、不老不死温泉が。いつかは泊まってみたい、憧れの宿のひとつ。
じりじりと肌を焼く太陽と、それを撫でる涼しい海風。夏が凝縮されたかのような爽快な眺めを満喫し、漁港方面へと歩きます。
駅前の道に並ぶ、個人商店の数々。のどか、という言葉がこの上なく似合う、ほっとする温かみのある街並み。
駅から15分程歩き、深浦漁港に到着。穏やかな港内にはたくさんの漁船が並び、漁から帰ってくる時間帯はそれは賑やかなことでしょう。今はその出番の時を、静かに待っています。
岸壁でなにやら作業をする人。よく見ると何かの海藻をたくさん広げて乾かしています。この光景は五能線の車窓からも見られ、この地域の特産品なのでしょうか。
深浦港のすぐ先にある円覚寺にお参り。帆船であった北前船の風待ち湊として栄えたというこの深浦で、船乗りや商人から厚い信仰を集めたお寺だそう。
海のすぐそばに建つ、静けさに包まれた古刹。蝉の声の響く境内は、北前船の浮かぶ時代から変わっていないことでしょう。歴史に詳しくなくとも、古き良き日本の夏の風情が、これでもかというほど伝わります。
円覚寺からは国道を外れ、古くからの街並みの中をのんびり引き返します。建ち並ぶ店や家並みのそれぞれが味わい深く、穏やかな時が静かに流れます。
途中にはこんな小さなトンネルも。これが旧国道のトンネルだそうで、昔はこのすぐ横まで海だったそう。荒れる海沿いを走る細い国道と細いトンネル。以前はきっと交通の難所だったことでしょう。車社会となった今ではにわかに信じがたい光景です。
のんびり散策すること約1時間半。列車までの残りの時間を、海をぼ~っと眺めて過ごします。
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