濃密な昭和の船旅に触れ、気分は津軽海峡一色。そんな津軽海峡の恵みを味わおうと、駅前のビル、アウガの地下にある新鮮市場へ向かうことに。
エスカレーターで地下へと下り、一歩足を踏み入れれば、そこがビルの中であることを忘れるようなにぎやかな市場が広がっています。
数々の北国の魚を眺め、空腹が限界に達したところでお昼を食べることに。いくつかある食堂の中で今回選んだのは、『魚っ喰いの田』。青森銘酒、田酒の文字につられてしまいました。(現在はワ・ラッセに移転)
田酒をちびちびやりながら、首を長~くして待っていると、ついにお目当てのアイツが登場。大間の本まぐろ丼、1,800円也。高い大間のまぐろですが、思いのほかまぐろが乗っかっているので思わずびっくり。
さて、田酒のあてに一切れ食べるか、と箸でつまんでみたところ、これが畳んで載せられていたのです。つまり、まぐろの量はこの見た目の約2倍。これ、安すぎでしょう。
写真に撮るとなんだか白っぱしく写ってしまいましたが、実際はもっと濃いピンク色。赤身といっても中トロに近いほど脂が載っており、頬張ればまぐろの旨味と香りが口中に広がります。理屈なしにやっぱりまぐろは美味しいなぁ。田酒と大間のまぐろ、日本人に生まれて本当に良かったと思える瞬間です。
旨いまぐろと地酒を堪能し、のんびりぶらぶら歩くことに。駅近くの広場では、青森のご当地グルメを集めたイベントが開催されており、津軽三味線の生演奏を聞くことができました。ギラギラと輝く太陽の下で聞く津軽三味線。心の火照りがまた蘇ります。
橋の上から眺める、海に浮かぶ八甲田丸。この姿だけ見ていると、今にも函館へ向けて出港していきそう。きれいに保存されているだけに、その引退が悔やまれて仕方ありません。
ここ青森も、ねぶた祭りの真っ最中。弘前ねぷたとはまた味わいの違う、勇壮な組ねぶたがいくつも並んでいます。
美しい絵を描いた扇ねぷたが粛々と隊列を組み進む弘前ねぷたが「静」とするならば、こちらの青森ねぷたは「動」といった雰囲気。初めて青森ねぶたを間近で眺め、その雰囲気の違いに驚きます。
夜になれば灯りが点り、弘前よりもテンポが速く威勢の良いお囃子に乗って練り歩くことでしょう。今度は青森ねぶたも見に来なければ。また新しい宿題を抱えてしまいました。
港で目を引く三角の高い建物、青森県観光物産館アスパムに到着。1階には青森県内の物産がずらりと並ぶお土産コーナーが広がり、一番上の13階には展望台が併設されています。
400円の入場料を支払い、いざ展望台へ。どこまでも広がる穏やかな陸奥湾の先には、雲の隙間から薄らと黒く見える津軽半島が。
ぐるりと移動し、市街地方面へ。青森の街並みの奥に聳えるは八甲田山。残念ながら雲に阻まれ全貌を望むことは出来ませんが、八甲田山とそれに延々と連なる黒い山々を見れば、その山深さが伝わってきます。
爽快な青森の眺めを満喫し、地上へと戻ります。青森を離れるまであと少し。先ほど美味しいまぐろを食べたばかりですが、やっぱりまぐろ以外の青森の幸も食べたいと、先ほどのアウガ裏手にある『青森魚菜センター』にお邪魔することに。
こちらは「のっけ丼」が名物。まずは入り口のカウンターで500円または1,000円の食券を購入し、数店で売られているどんぶりご飯を買います。
そのご飯片手に市場を練り歩き、気に入った具材が見つかったらお店の人に食券を渡し、その具材をご飯に載せてもらいます。
具材は青森の新鮮なお刺身から漬物、お惣菜まで様々。100円から数百円のものまでお値段も様々で、選ぶ楽しみを存分に味わえます。
そうして出来た、僕のオリジナルのっけ丼。ぼたんえびやほたてはプリプリで甘く、そいはコリッコリで適度な脂が美味。大好物の筋子は欠かせないメンバーで、北国の郷土料理切り込みは、麹で引き出された魚の旨味がご飯にベストマッチ。
まぐろもいいけど、地魚もね。この欲張りのおかげで、僕のお腹は徐々に成長しつつあるのです・・・(汗)
青森を体で、心で、舌で味わい尽くし、間もなく帰京の時間。それまでの間、名残を惜しむかのように青森の街をぶらぶら歩くのでした。
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