錦零れる秋いわて ~いで湯ともみじに染められて 4日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

錦零れる秋いわて ~いで湯ともみじに染められて 4日目 ③~

秋の夏油温泉元湯夏油で迎える夕暮れ 旅の宿

段々と山へと忍び寄る、夜の気配。本館の白猿の湯へと向かい、夕食前の一浴を。レトロな風情に包まれ味わう、夏油の湯。大きな岩が配された渋い佇まいの浴場は湯けむりで満たされ、野趣あふれる露天とはまた違った情緒が漂います。

夏油温泉元湯夏油1泊目夕食
早くも夏油の恵みに満たされたところで、お待ちかねの夕食の時間に。食卓には美味しそうな山の幸がずらりと並びます。

まずは前菜から。大好物の根曲がり竹は皮ごと香ばしく焼かれ、沢がにはカリッと風味豊か。柔らかい煮貝や焼き栗の美味しさも手伝い、早くも地酒が進みます。

舞茸の天ぷらはカラッと揚げられ、これまた大好物の行者にんにくのぬたも独特の風味が美味。煮物には鰊が使われ、じんわりと滋味深い旨味が染み出します。

焼き魚にはふき味噌が添えられ、一緒に味わえば山海の旨さが口の中で融合。しゃぶしゃぶには地元北上産の白ゆりポークが使われ、柔らかい食感とともに感じる白身の甘味旨味が印象的。

夏油温泉元湯夏油夜のお供に菊の司純米酒吟ぎんが仕込み
いい意味で、派手さはないけれど手作り感溢れる美味しい夕餉。〆のご飯までしっかりと平らげ、布団の上で溺れる食後の怠惰。ようやく満腹も落ち着いたところで、今夜のお供を開けてみます。まずは盛岡の菊の司純米酒吟ぎんが仕込みを。程よい酸味の中に日本酒の旨味を感じ、すいすいと飲めてしまう旨い酒。

夏油温泉元湯夏油独特の風情に包まれる夜の情景
ほんのりお酒の火照りを感じ始めたころ、今宵最後の露天を味わうことに。さすがは道も果てた奥羽の山中、外へと出ればひんやりとした空気が体を包みます。その心地よい肌寒さの中眺める、この情景。夜の夏油は、泊まった者だけに許される風情に溢れています。

秋の夏油温泉元湯夏油夜の静けさに包まれる真湯
長い階段を下るごとに近づく、せせらぎの声。夜の真湯は凛とした空気に包まれ、ゆったりと身を沈めれば夜の底へと溶けゆくような感覚に。熱くなったら岩に腰掛け、ぶるりときたら再びお湯へ。色彩を失う夜だからこそ味わえる、お湯と川音だけに向き合う贅沢。

秋の夏油温泉元湯夏油谷底から宿へと戻る長い階段
穏やかな湯浴みに身も心も溶かされ、程よく茹だったところで部屋へと戻ります。その道中、行く手を阻むこの階段。谷底に位置する4つの露天、往復するには長い石段の上り下り。この適度な運動込みで、夏油の湯の味なのかもしれない。

夏油温泉元湯夏油夜のお供に吾妻嶺
今夜最後の露天風呂を味わい、部屋へと戻り2本目のお供を。紫波町の吾妻嶺は、しっかりとした飲み応えと風味が印象的な美味しいお酒。

秋の夏油温泉元湯夏油部屋から見上げる月と夜空
旨い岩手の地酒に酔わされ、嶽館の小天狗の湯で今夜の〆を。天然記念物となる巨大な石灰華を造り上げる夏油の湯が溢れる床には、棚田のように連なる見事な析出物。その美しさを愛でつつ味わう湯の温もりは、肌を通して心の底まで温めてくれるよう。

岩手の山奥で過ごす、静かな夜。窓から外を見てみれば、夜空を染める月明り。散りばめられた星と大きな月をのんびり見上げ、地酒といで湯の余韻に穏やかに浸るのでした。

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錦零れる秋いわて ~いで湯ともみじに染められて~

2019.10 岩手
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●1・2日目(東京⇒盛岡⇒網張温泉)
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