宇都宮での充実した寄り道を楽しみ、いよいよ冬旅の舞台である福島駅に到着。久々に降り立つ福島駅に懐かしさを覚え、東北へまたこうして来ることができたことの悦びを噛み締めます。
メインである東口側でお酒を仕入れ、宿の送迎バスが発着する西口側へ。バスの時間までまだ余裕があったので、駅の周りをぶらぶら歩きます。
そこで見つけた、誰もまだ踏んでいない白い新雪。そうだよ!これだよ♪これを味わいたかったんだよ!!久々の純白との再会に、早くも冬の幸せに包まれます。
福島駅西口から無料の送迎バスに揺られること約40分、高湯温泉は『旅館玉子湯』に到着。10年以上焦がれ続けてきた宿に泊まる機会が得られ、もう気分も期待も絶好調♪本当に、本当に、来たかったんだ・・・。
チェックインを済ませていざお部屋へ。案内される途中に「露天風呂への出入り口のすぐ隣のお部屋ですから。」と言われ、はっと思い当たる節が・・・。もしかしたら、もしかするかも!?と期待して部屋に入ってみると・・・。
あぁ~。大袈裟ではなく、本当にこんな情けないため息がもれてしまいます。だって、このお部屋、一番の特等席ではないですか。
明治時代から続く歴史ある湯小屋と、それを飲みこまんと積もる雪。この宿の象徴ともいえる玉子湯と、雪に埋もれた庭園を一望できるなんて。そしてここに連泊できるなんて。
十年来の憧れの宿、それもこの宿で一番眺めのいいお部屋に連泊。この冬一番の幸せに、寒さも忘れて身も心も火照ってしまう。そんな昂る気持ちをようやく鎮め、お待ちかねの温泉へと向かいます。
出入り口から出ると、目の前に建つのが内湯の玉子湯。明治時代からの湯屋は黒々とした木の渋さを身にまとい、純白の雪との対比が絶妙。
玉子湯への入湯は後にし、まずは露天風呂へと向かいます。その道の両脇、いや、この谷全てを埋め尽くす白い雪。冬の早い夕暮れの気配が、モノクロームの世界をより強く演出します。
渓谷沿いの道を下り、茅葺の小屋に到着。天渓の湯、天翔の湯の2つの露天が左右に設けられ、日替わりで男女が入れ替わります。
時刻は夕刻、丁度チェックインが重なっているようで、お風呂には絶えず人がいたため写真は遠慮しました。でもあせらない、あせらない。これから二泊、時間はたっぷりあるのだから。ということでお風呂のご紹介はまた後ほどに。
長い間焦がれ続けてきたお湯との出逢い。これぞ温泉という色と香り、そして湯けむりに包まれ眺める雪。念願の雪見風呂を存分に愉しみ、部屋へと戻ります。
その道中、やはり目を引く玉子湯の茅葺湯小屋。この建物の放つ存在感は、経てきた時間の重さそのもの。大切に守られ続けた湯屋は、レトロ調ではない本当の歴史を感じさせます。
お湯だけではなく雪と風情に逆上せてしまいそう。部屋へと戻り、そんな火照った心と体を冷たいビールでクールダウン。と思ったのも束の間、やはりこの眺めにやられてしまう。苦いラガーを味わいながら眺める冬の玉子湯。あぁぁ、また情けないため息が漏れてしまう。
部屋一面に大きく取られた窓。そこに広がるのは、日本の冬という季節の贈り物。
僕の幸せは約束された。この眺めとあのお湯さえあれば、もう何もいらない。宿に着いてから何度嬉しいため息を漏らしただろうか。ここに連泊できる幸せとこれから流れる時間への期待に、早くも胸がいっぱいになるのでした。
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