濃密な夏で満たしてくれた小浜島から戻り、ホテルで一旦クールダウン。思いきり鮮烈な夏を浴びた分、肌にも宿る八重山の火照り。冷たいシャワーを浴びて、涼しい部屋でごろごろうとうと。この夕刻前の怠惰に、何とも言えぬ贅沢を感じてしまう。
実はこの旅に出る数日前に迎えた僕の誕生日。せっかくなので八重山で特別な時間を過ごそうと、相方さんが予約必須の三線ライブ居酒屋『うさぎや新館』を押さえてくれました。
まずは冷たいオリオンで乾杯。爽快な刺激に小浜の火照りを鎮めていると、島豆腐の冷奴が運ばれてきます。豆の味が濃く、凝縮感はあるのに嫌な堅さはない。この旨さを知ってしまうと、本州の冷奴では満足できない体になってしまう。
続いては、すっかりお気に入りとなった島魚の沖縄天ぷら。カリッと揚げられた少々厚めの衣、その中からはほっくほくの白身。ウスターソースをちょんちょんと付けて頬張れば、自ずと泡盛が欲しくなる。
お次も揚げ物、チーズタコス春巻きを注文。サクサクの皮にはたっぷりのタコミートとチーズが包まれ、全体的にまとまり感のある心地よいジャンキーさが堪りません。
ここでちょっと箸休めにと、ミミガーポン酢を頼みます。僕は好きなミミガーですが、相方さんは初体験。好き嫌いが多いのでいけるかな?と思いましたが、すっかり気に入ってくれたよう。
全く臭みのないミミガーは、コリコリとした軟骨の食感とじんわりと宿る豚の旨味が美味。ぽん酢と合わせることでさっぱりとした冷しゃぶのような雰囲気になり、より食べやすくなっているのかもしれません。
そしてやっぱり食べたい、マグロの刺身。もちもちとした瑞々しさを感じさせる身から溢れる、上品な赤身の旨味。毎度のことながら、八重山の刺身のおいしさに感嘆してしまう。
続いて注文したのは、パリパリヒラヤーチ。沖縄の郷土の味であるヒラヤーチはもっちりとした食感のようですが、こちらのお店のものはその名の通りパリッパリの心地よい食感。ソースとマヨベースのたれとかつお節の好相性に、ヒラヤーチと泡盛の往復が止まらなくなる。
旨い料理と地酒に愉しい時間を過ごしていると、もうすぐ三線ライブの始まる時間に。その前にもう一品、紅芋の天ぷらを注文。カリサクの衣、程よい甘さのホックホクの紅芋。この幸せな味わいに、泡盛が合わぬ訳がない。
ヒラヤーチや紅芋で島酒をグイっと味わっているうちに、ついに楽しみにしていた三線ライブが。生で聴く三線の調べと唄声に、何故だか胸の深い部分がギュッと熱くなる。
安里屋ユンタをはじめとする民謡や、沖縄をモチーフにした流行歌。三線独特のゆらぎある音色に心酔していると、今度は迫力あるエイサーの実演も。最後は豊年音頭のカチャーシーとオジー自慢のオリオンビールで〆て、熱気むんむん気分上々でお店を後にします。
あぁ、今日は本当に濃い一日だった。初めての小浜島に熱気に満ちた三線ライブを聴けるおいしい居酒屋と、全力全開本気の夏を全身に浴びた一日だった。
夢と飲むからおいシーサー!宵闇に浮かぶ入道雲を背負う南国の街並みに、今日という日の感動が熾火のように胸の奥底に刻まれゆくのを感じるのでした。
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