初の黒島を大満喫し、涼しい待合室で日射疲れを癒すひととき。ぼんやりしたりウトウトしたりしていると、乗船予定の『安永観光』最終便が入港してくるのが目に入ります。
桟橋で列に並んでいると、見るからにほぼ満席状態の船が接岸。あれ?これ乗れねぇんじゃね?と思っていると、案の定満席とのこと。どうやら安永の最終便は西表からの経由便のよう。
んじゃ、どうするの?と思っていると、QRコード乗船券以外の乗客はこの後の八重山観光フェリーに振替とのこと。どうやらこのような場合は安永観光の乗船券を回収し、社間で精算している模様。だとすれば、以前みたいな共通乗船券に戻してくれると便利なんだけどな・・・。
まぁでもそうできない事情があるんだろうな、と想像しつつ結局今日も『八重山観光フェリー』にお世話になることに。10分後のサザンイーグルに乗船し、たくさんの濃い想い出をくれた黒島に別れを告げます。
船はエンジンを高鳴らせ、器用に旋回して港外へ。段々と上がりゆく速度、それに比例して遠ざかってゆく黒島。遠くには薄っすらと伸びる伊古桟橋が見え、この島での体験が走馬灯のように胸を駆け巡る。
波に揺られつつも、まったりとした時間の流れる船内。QRチケットと帰りの飛行機の時刻が迫っていた乗客以外、僕ら含め残された紙券の乗客はみんな「え?こんなこともあるんだね(笑)」みたいな感じで和やかな雰囲気に。この感じも、八重山の空気感溢れる良き思い出に。
同じ状況が東京で起きていたら、きっと怒号が飛んでいる。やっぱ必要なのは、心の余裕なんだよな。そんなことを思いつつあおい海をぼんやり眺め、30分で石垣港に到着。ささっとホテルに戻り、シャワーでさっぱり。これが気軽にできるのも、港の目の前に位置するミヤヒラだからこそ。
黒島で大量に掻いた汗をすっきり流し、夕飯を食べに石垣ヴィレッジへと向かいます。本当は去年訪れた石垣島の石垣さんちの石垣牛に行くつもりでしたが満席。運よく空いていたお隣の『せんべろ風土』に駆け込みます。
このお店にはせんべろセットなるものがあり、ドリンク3杯(生ビールは1杯まで)と小鉢で1,000円と嬉しい価格。もちろん頼まないはずがなく、まずはオリオン生で乾杯します。
黒島焼けした心身に冷たい刺激を流していると、オリオンに合わせて注文したカーリーフライが到着。絶妙な細さのカリホク感、少々濃い目の味付け。それにケチャップをちょんと付ければ、そりゃビールに合わない訳がない。
続いては、ジーマーミ豆腐の揚げ出し。火の入ったジーマーミ豆腐はとろんと柔らかく、より引き立つ落花生の風味が美味。地豆の香ばしさに誘われ、早速泡盛ロックに切り替えます。
こちらのお店では美崎牛の料理も出しており、たたきを頼んでみることに。赤身と脂のバランスがよく、しっかりとした肉の旨味の中に脂の甘味を感じます。
続いて、ミミガーぽん酢を注文。こちらのお店では柚子胡椒が添えられ、沖縄と九州の味の共演は、それはもう間違いのない旨さ。コリコリぴりり、柚子の香り。泡盛が否応なしに進んでしまう。
せんべろセットはシェアすることもできるそうで、各々3杯ではもちろん足らずもう1セット追加。それに合わせてさらにまぐろの刺身を注文。本当に、石垣島って外さない。瑞々しいおいしいまぐろがどこでも食べられるって、本当に嬉しい限り。
ビール1杯に泡盛ロック3杯を愉しみ、〆にと選んだのは美崎牛のメンチカツ。ザクっというほどしっかりと揚げられた衣の中からは、肉汁とともに溢れる牛の旨味や甘味。牛の香りをつまみに、最後の1杯を味わいます。
もっと本州寄りのメニューかと思っていたら、八重山の味をしっかりと楽しませてくれたせんべろ風土。大満足でお店を後にし、石垣島ヴィレッジの裏口から表へと出ます。
なんで裏口からって?それは喫煙所に行っていた相方さんが教えてくれたから。たばこ吸いながら空見上げてみたらさ、何となくすごくアジアンだったんだよって。
あぁ、確かに本当だ。南の島独特の湿り気のある夜の空気、音を立てて回る室外機。台風の爪痕が残る打ちっぱなしのビルの隙間からは、暗くなったばかりの狭い夜空。
7度目ながら、今年はたくさん新しい八重山に出会えているな。そんな充足感に満たされ、むわんとした夜風を肌にまとわせるのでした。
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