長崎浪漫 ~初夏色の肥前路へ 3日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

長崎浪漫 ~初夏色の肥前路へ 3日目 ②~

5月中旬初めての佐賀県西九州新幹線始発駅の武雄温泉駅 旅グルメ

長崎からかもめに揺られることあっという間の24分、西九州新幹線の現時点での起点である武雄温泉に到着。多くの人は対面に停車していたリレーかもめへと乗り換えますが、僕らはここで下車。

5月中旬初めての佐賀県の空気感を感じつつ歩く武雄温泉への道
バスツアーの途中で、お土産屋さんに立ち寄っただけだった佐賀県。そのため、僕のなかでは未踏認定していた県のひとつ。立ち寄りではあるものの、ようやくこうしてはじめて訪れることができた。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉の背後に聳える独特な形をした岩山桜山
はじめてとなる佐賀の空気感に感慨を噛みしめつつ歩いてゆくと、街の背後には独特な形をした岩山が。肥前国風土記に、「郡の西に温泉の出る巌有り」と記されたという武雄温泉。きっと、あの山のことを指しているのだろう。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉の象徴である辰野金吾氏設計築111年を迎えた楼門
桜山の威容を見据えつつ山手へと進路を変えれば、住宅地だと思っていたところに突如はじまる武雄の温泉街。大小の旅館を眺めつつ進んでゆくと、竜宮城を思わせる楼門が。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉の象徴である辰野金吾氏設計築111年を迎えた楼門格式高い折上格天井
武雄を観光温泉街として発展させるため、大正4年に建てられたという楼門。見上げれば、優美な曲線を描く折上格天井。築111年を経て、いまなお光る当時の宮大工の技。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉の象徴である辰野金吾氏設計築111年を迎えた楼門の隣に湧く第1源泉
荘厳さを放つ楼門の横には、ごぼごぼと音を立てて湧く第1源泉。その音に、これから入る湯への期待が自ずと高まってくる。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館
お湯を愉しむ前に、まずは正面に建つ優美な建築の見学を。楼門と同じく、大正4年に建てられたという武雄温泉新館。なんとも東洋的な情緒を漂わせる、見る者の目を奪う独特な佇まい。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館木材の温もりと種の鮮やかさの対比が印象的な1階廊下
楼門とこの新館を設計したのは、佐賀は唐津出身の辰野金吾氏。東京駅や日銀本店、岩手銀行本店本館と洋風建築のイメージがあったため、こんな和風の建物も設計していたとは驚き。ここに来なければ、きっと知らずにいただろうな。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館高い天井とレトロなタイルが印象的な浴室
公衆浴場として建てられたこの建物。昭和48年までは使われていたそうで、往時の雰囲気を色濃く残す浴場も。高い天井、レトロなタイル。浴槽には大理石が使われ、こんなところで湯に浸かったらと妄想が膨らんでしまう。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館うつくしい文様のマジョリカタイルが目を引く十銭湯
五銭湯とよばれるさきほどの大きな浴場のほか、十銭湯というお高めの浴室も。床には、高級品であるマジョリカタイルがびっしりと。当時のかけそば一杯分で、ちょっとした贅沢気分を味わったのだろう。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館2階へと上がる階段
大正時代の美意識が、いたるところに込められた新館。洋の風を感じさせる浴場に、落ち着きのある和風の館内。使い込まれた木の風合いに、これが現役のときに来てみたかったと叶わぬ願いを描いてしまう。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館2階の廊下
2階へと上がると、広々とした廊下沿いに連なる大広間。年季の入った木の色味、外柱からにじむ朱の鮮烈さ。そんな目の覚めるような対比を生む、あたたかさに満ちた初夏の陽射し。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館2階の重厚な大広間落ち着いた空間のここちよさ
現役当時は、ここは休憩室として使われていたそう。畳に座り、足を投げ出し火照った体を落ち着かせる。こんな空間で過ごす湯上がりは、それは至福のものであったに違いない。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉大正4年築辰野金吾氏設計の武雄温泉新館2階の華頭窓から望むうつくしい楼門の姿
竜宮城をモチーフに、温泉リゾートとしての開発が計画された武雄温泉。壮大な構想の中で実現されたのは楼門と新館の2棟ですが、それが完成していたら一体どんな姿を魅せてくれていたのだろう。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉現役の公衆浴場建築としては日本最古を誇る明治9年築の元湯
大正時代の夢の跡に触れ、いよいよ武雄の湯との対面を。いくつか立ち寄り湯はありますが、現役の公衆浴場建築としては日本最古を誇る元湯に入ることに。

入浴料500円を支払い、いざなかへ。脱衣所から浴室へと足を踏み入れれば、むわっとした熱気とともに迎えてくれる渋い空間。あつ湯とぬる湯、ふたつの浴槽に満たされるのは無色透明のアルカリ性単純泉。肌あたりがよく、とろりとしたやわらかな浴感が心身をほぐしてゆく。

ぬる湯といっても、42~3℃とちょっとばかり熱め。静かに沈んでしばらく湯の熱さを噛みしめ、縁に座って小休止。額の汗をぬぐって見上げれば、明治9年から浴客に愛されてきた木造の空間美。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉渋い情緒の温泉街
長湯厳禁。やわらかながらしっかりと温まる武雄の湯と戯れ、汗を引かせたところで駅方面へと戻ることに。それにしても、昨日も今日も陽射しがすごい。すっかり焼けた肌からは、はやくもあらたな汗が噴き出してくる。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉人生初の佐賀ご飯は元祖後楽園で佐賀ラーメン
温泉とともに、武雄で楽しみにしていた人生初の佐賀ご飯。九州まで来たんだから、ここはやっぱりラーメンでしょう。ということで、今回は『元祖後楽園』にお邪魔することに。

5月中旬初めての佐賀県武雄温泉人生初の佐賀ご飯元祖後楽園ラーメンに生玉子トッピング
すでに先客で賑わう店内。どうやらちゃんぽんを食べている人も多いようだが、ここは邪念を振り払って初志貫徹でラーメンを。佐賀では生玉子をのせることが多いそうなので、郷に入ってはでトッピングで追加。

福岡大分熊本と、これまで九州3県のラーメンは経験がある。さてさて、佐賀はいったいどんな感じなのだろう。そうワクワクしつつ待っていると、お待ちかねの丼が運ばれてきます。

見た瞬間、これまで出逢ってきたものとは一線を画するものであると直感。さらに高まる期待に胸を膨らませつつ、まずはスープをひと口。

うわぁ旨ぇなぁ、これ。これまで食べたとんこつとはまったく異なる、じんわりと広がるやさしさ。しっかりとしたコクや旨味がありながら、すっと五臓六腑へと沁みてゆく。あっさりといえばあっさり、でも確かにとんこつラーメンではあるという不思議な感覚。

つづいて、ちょっとばかり太さのある麺を。これがまた、これまで九州では体験したことのない食感。やわらかいという表現ではしっくりこない、なんとも言えぬもちもち感。とんこつラーメンといってイメージする、あの小麦粉感が主張しない。

これ、やばいやつ。しゅるしゅるともち肌麺を啜り、するっとスープで追いかける。とんこつと合うのか?と思っていた玉子を割ってみれば、よりまろやかな味わいに。

旨いよ旨い。一緒に頼んだライス片手に箸が止まらず、気づいたら一滴のこらずあっという間に完食。これまでの濃厚なとんこつも最高だが、場所が違えばこんな進化のしかたがあるのかと脱帽。

はじめて自分の意志で訪れることのできた佐賀。ちょっとこれは、次は泊まりで来ないといけなくなったな。とろりとした湯とやさしいラーメンにすっかりこころを射抜かれ、近いうちに再訪せねばと強く強く誓うのでした。

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