ただ八重山に、居られるだけで。~2年ぶりのほんとの夏 1日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

ただ八重山に、居られるだけで。~2年ぶりのほんとの夏 1日目 ①~

6月中旬小雨の羽田空港第2ターミナル 旅行記

飛行機が、たくさんいる。子供の頃から羽田空港を知る僕にとって、こんな当たり前のことが嬉しく感じる日が来るとは。前回訪れたときには、行き場を失い駐機していた飛行機がたくさん眠っていた。あれから2年、以前ほどではないにしろ、それぞれの翼には飛ぶべき目的地が戻ってきた。

6月中旬雨の羽田空港第2ターミナル国際線仕様のANA787那覇行き
2年前は恐ろしいほど閑散としていたターミナルも、レストランには列ができ、お土産屋さんにもたくさん品が並び。同じく交通を生業に持つ僕にとって、おととしの惨状はあまりにも恐ろしすぎた。運ぶ人すらいない乗り物。それはもう、行き交うという使命すら奪われてしまうという現実を目の当たりにした。

6月中旬雨の羽田空港雨に濡れる滑走路
それぞれの目的地を抱き、活気を纏いつつ行き交う旅客。エプロンを離れ、滑走路を目指す銀翼たち。行くべき場所がある。人間のその欲求を満たしてきたからこそ、交通というものが発達してきた。その欲求が存在し続ける限り、列車は大地を駆け、バスは山河を越え、船は大海原を切り拓き、そして翼は大空へと翔けてゆく。

6月中旬雨の羽田空港雨に濡れる滑走路を加速しANA787型機は那覇へと向け離陸
交通がその欲求を叶えてくれるからこそ、僕らはこうして旅立てる。日常を捨て去り、新たな夢を見させてくれる。だからこそ、僕は乗って出かけたい。物心ついたころから交通を愛する者として、そしてそれに携わり支える者として。

6月中旬ANA787型機那覇行き梅雨空の中時折見える青空
2年ぶりとなる高揚感を青い翼は乗せ、梅雨空のなか南国目指してひたすら翔けてゆく。分厚い雲の合間にときおり姿を見せる青空に、僕の心にしまったはずの青さが久々に熱を帯びてくる。

6月中旬全日空787那覇行き機窓から望む青い海
この便は、国際線仕様の787型機による運航。海外旅行を全くしない僕にとって、国際線は未知なる領域。同じエコノミーといっても、座席の掛け心地から足元の余裕まで国内線とは全く違う。そんな快適な空の旅を味わっていると、いつしか眼下の雲も薄くなりパステルの海原が見えてきます。

6月中旬ANA787那覇行き機窓にのびる沖縄本島
本島はまだ梅雨真っただ中。僕らの目指す目的地はそこから更に400㎞離れているとはいえ、天気はどうだろうか。そんな心配をしていましたが、どうやらこちらは晴れていそう。快適な空旅も終わりに近づき、気づけば眼下に本島の島影がのびています。

6月中旬ANA787那覇行きまもなく着陸
長い長い本島に寄り添い、ふらりふらりと高度を落とす飛行機。あぁ、近づいてゆく。2年ぶりの沖縄が、もう目の前にある。その事実だけでも、幸せを感じるにはもう充分。

6月中旬ANA787那覇行き一点を見定め意を決したように着陸
早くも夢見心地の僕を乗せ、意を決したように一点を目指し降下する787。青い海との距離がどんどんと縮まり、それすら見えなくなったかと思った刹那、飛行機は轟音とともに那覇空港に着陸。何度味わっても、この瞬間は堪らない。

6月中旬梅雨の晴れ間の那覇空港ANA737石垣行き
ボーディングブリッジへと出た瞬間、むわんっと全身を包む南国の空気。言葉では伝えることのできない質量と香りを伴うあの空気を浴び、ようやく沖縄へと戻ってくることができたのだと実感します。

6月中旬梅雨の晴れ間のANA737石垣行き那覇空港を離陸
そんな感慨に浸るのも束の間、すぐさま737型機に乗り換え僕らの目的地を目指します。直行便は便利だけれど、乗継便のこのワンクッション、意外と僕は好き。また那覇の街も歩きたいなぁ。そんなことを思いつつ、あっという間に本島に別れを告げます。

6月中旬梅雨の晴れ間のANA737石垣行き大きく旋回し眼下には黄金色に輝く海
小さな737は器用に旋回し、眼下に広がる一面の大海原。午後の陽を受けた海は穏やかに煌めき、その美しく繊細な紋様は極上のちりめんを広げたよう。

6月中旬梅雨の晴れ間のANA737石垣行き穏やかな青い空と青い海
刻一刻と、そして着実に近付きつつある地上の楽園。今日は明けで3時半起き。本当ならば眠くなってもおかしくないはずですが、眼前に広がる柔らかな青さを浴びればもうそれどころではなくなってしまう。

6月中旬ANA737石垣行き雲間を石垣に向け降下開始
湿った空気が山にぶつかり、雲を生む。離島が点在するこの空路では、そのメカニズムが面白いほどに手に取るようによく解る。一際分厚い雲が現れ、そこへと向け降下を続ける小さな飛行機。その雲を生む島の黒い影が、突如雲間から姿を現します。

6月中旬ANA737石垣行き機窓から眺める石垣島平久保崎
島の生み出す雲の下へと入り、ようやく全貌を現した平久保崎。本当に、本当に来ることができたんだ。2年ぶりとなる宝のようなあの島との再会に、大袈裟でもなんでもなく涙が溢れてきそうになる。

6月中旬ANA737石垣行きから眺める雲のかかった石垣島
来たくても、来ることのできなかった地上の楽園。それが今、もう手の届くところにあるというこの幸せ。悦びが爆発するというよりも、切なさにも似たしみじみとした嬉しさがこみ上げる。

6月中旬ANA737石垣行きから眺める頭を隠した於茂登岳
早く降りたい!一刻も早く、石垣の地に立ち空気を吸いたい!そんな僕の逸る気持ちを知ってか知らずか、737は器用に体勢を整え一点を捕えたかのように地上を目指します。

6月中旬ANA737石垣行き南ぬ島石垣空港に着陸
そしてついに訪れた、この瞬間。足元から伝わる振動や耳に届く轟音もどこか他人事のように、僕の心はふらふらと浮ついたまま。

ようやく、ようやくこの時を迎えることができた。もう僕は、八重山なしでは生きられぬ体になってしまった。喉から手が出るほど欲してきたこの空気感と、もうまもなく触れ合えるというこの上ない幸福。その瞬間を控え、ベルトサインが消えるのを今か今かと待ちわびるのでした。

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