出雲大社前からばたでんにのんびり揺られること約1時間、一畑電鉄の松江の玄関口である松江しんじ湖温泉駅に到着。駅からそう離れていないところに、煌めく宍道湖が広がっています。
宍道湖沿いの遊歩道を進み、大通りを松江城方面へ曲がります。途中には、水の都と言われる松江らしく、両岸に柳と松の並木が美しい風情ある運河が。近代的な建物と運河が違和感なくマッチするこの雰囲気は、今まで訪れた県庁所在地とはまた違った味わい。
程なくして、島根県庁の奥に松江城が姿を現しました。全国でも数少ない現存するお城からは、この距離でも力を感じさせるような、強い存在感が放たれています。
豊かな水を湛えた広いお堀から聳える、直線的で力強い石垣。この絵だけを見ると江戸時代にでもタイムスリップしてしまったかのよう。
石垣の間をぐんぐん登り、天守閣の麓へと到着。黒に白が映える凛々しい天守閣を、薄っすらと積もった雪が彩ります。
松江城は築城から400年余りと、現存するお城の中でも古いほうなのだそう。いわゆる天守閣、といったイメージの白いものとは違い、黒い板壁が際立つ渋い佇まい。
その武骨さの中に映える白壁と曲線を用いた美しいラインが、均整の取れ引き締まったフォルムの天守閣の中で一段と目を引きます。重厚で渋い。想像以上の力強い魅力に言葉も出ません。
天守閣下から望む、松江城下。無駄に高い建物が無いこの街は、空が広い。きっとお殿様も、これよりもっと広い空を眺めていたことでしょう。
印象深い天守閣を後にし、松江城山公園を散策。こちらの木造の洋館は興雲閣という100年以上も前に建てられたもの。時を経てもなお白亜を保ち続ける立派な建物には、細部にまで美しい装飾が施されています。
再び来た道を戻り、今夜の宿を目指します。途中には昔からの松江の街並みを感じさせる通りもあり、歩いていて飽きることはありません。
宍道湖から流れ出る大橋川に架かる松江大橋。その橋上からは、傾きかけた陽が宍道湖に伸ばす、輝きの帯を見ることができました。
初めての山陰、初めての島根。僕にとって未知なる土地であるこの地は、他とは違った独特な雰囲気をもって迎えてくれました。県庁所在地であるこの松江もそう。
無機質で画一的な都市化を目指したがる傾向にある地方都市の中で、ここは明らかに違う。適度に都会で適度に風情を残し、自然が溢れるこの街は、初めて訪れる僕にとって何もかもが新鮮。
いい意味でのんびり、いい意味で「地方都市」。他の真似ではない、独自の「色」というものをこの街には感じました。そんな風情溢れる松江の街を進み、今夜の宿を目指します。
コメント