先程の小川の流れる小路は裏通り。ここでUターンし、古い街並みが美しい表通りを進みます。
味のある建物に掛かる、味わい深い看板たち。
整然と並んだ格子戸が美しい造り酒屋。
渋い木の風合いと、黒い壁が印象的なしょう油屋さん。
低い2階建ての家並みが続きます。軒下には立派な看板が掲げられ、雰囲気を一層渋いものにします。
味わい深い木造建築の並ぶなかで、ひと際目立つ洋館風の建物。重厚でありながら華を感じさせる佇まいは、和の街並みにしっかり溶け込んでいます。
それぞれ高さの異なる家々と、昭和の香りの赤いポスト。
鈍く光る赤瓦に積もった雪が、冬の山陰路を感じさせます。
小京都と呼ぶに相応しい街並み。雪国山陰の渋さが、ここにしかない美しさを形作ります。
白亜のこの建物は、旧銀行の建物だそうで、登録文化財にしていされているそう。和洋折衷の土蔵造りが印象的。
街歩きで程よくお腹が減ったところでお昼ご飯。お土産屋さんの2階にある『打吹庵』にお邪魔することに。
今回僕が頼んだのは打吹そば。温かいおそばにしめじ、海老、かまぼこ、海苔が載っています。
まず驚いたのはだしの色の薄さ。東京の黒いつゆに慣れている僕にとって、この薄い色のだしのおそばはビックリもの。そしておそばの太さ。僕の好きなごんぶと田舎そば、といった見た目です。
薄い色のおだしを一口すすると、塩分控えめながらしっかりだしの味を感じる丁度良い濃さ。ゆずと青ねぎの香りがいいアクセントに。
かなり太めのそばを啜ると、硬さは無くもちもちした歯ざわり。地元鳥取産のそば粉を使っているとのことで、ほんのり香るそばのいい香り。そばの香りを壊さない薄いだしと相まって、全体的に上品なおいしさ、という印象でした。
三朝行きのバスまでまだ時間があったので、再び倉吉散策。白壁土蔵群から近い、倉吉線鉄道記念館へと向かいます。
この記念館には、昭和60年に廃線となった倉吉線の現役当時の写真や、鳥取県に関する鉄道記念物が展示されており、無料で見ることができます。
館内で在りし日の倉吉線に想いを馳せ、隣で保存されているSL、C11へ。白い雪に漆黒のボディーが映えます。
野ざらしにしては保存状態も悪くなく、運転台まで入ることができます。倉吉線ではC11形が活躍していたようで、この保存機もこの地で列車を引いていた一員なのでしょうか。
まだまだ時間があったので、鉄道記念館からパークスクエアまで再び散策。
倉吉の街は、まさに昭和レトロを体現したかのような街並み。確かに、シャッターの閉まったお店や潰れたデパートが目に入りましたが、昭和時代をそのまま残したかのような市街地は、歩くだけでも楽しい街。
無理に都会化せず、ずっと残されてきた街並みは、歩くものに心地良さを与えてくれる。この数時間で、僕はすっかり倉吉の街を好きになってしまいました。
パークスクエア近くのバス停から『日ノ丸自動車』三朝方面へのバスに乗車し、三朝温泉に到着。古きよき、味わいのある温泉街をのんびり歩き、チェックインの時間までを過ごします。
世界屈指のラジウム泉である三朝温泉との出会いまで、もうまもなく。タグの付いた憎いヤツとの対面も控え、テンションは絶好調で歩くのでした。
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