岩手の秘湯で何想う ~節目の鄙び旅 5日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

岩手の秘湯で何想う ~節目の鄙び旅 5日目 ①~

八幡平松川温泉雨の目覚め 旅の宿

屋根を叩く雨音を聞きながらの起床。窓の外へと目をやれば、濡れた緑が何とも瑞々しく艶やか。晴れもいいですが、雨には雨の美しさがあります。

今日の予報は曇り時々雨。その予報の通りに雨は断続的に降っています。起きたときはしっかり降っていたので、朝風呂は再び内湯を楽しむことに。静かな環境の中入る朝風呂はまた格別。頭も体もシャキッと目覚めさせてくれます。

八幡平松川温泉松楓荘朝食

静かな朝に相応しい素朴な朝ごはん。卵に鮭、海苔と日本人のソウルフードとも言える品々が並びます。油揚げの煮物にはぎっしりと山菜が詰められ、中からはじゅわっとおだしが染み出てきます。これぞ山の宿ならではの贅沢。

朝食後は再び部屋でゴロゴロし、雨が止んだ隙に最後のお風呂へ。もちろん最後は洞窟風呂へと向かいました。これがこの旅最後の一浴。何度旅をしても、この瞬間は寂しいものです。

岩手県北バス盛岡バスターミナル行き

八幡平の大自然に抱かれた松川温泉。まさに秘境の宿といった雰囲気の松楓荘は、岩手の大自然という大切な想い出を僕にくれました。

また1軒、好きな宿を見つけました。ありがとう、松楓荘。そんな思いを抱きつつ、後ろ髪を引かれながらも『バス』に揺られ里へと下ります。

幻想的な霧に包まれた松川温泉からの帰り道

延々続く坂道を下ってゆくと、車窓は濃い霧に包まれ始めました。雨に濡れて艶めく木々と、それを優しく包む深い霧。その幻想的な風景に、しばし言葉も忘れ見とれるのでした。

乳白の霧に包まれた幻想的な八幡平

バスはなおも下り続け、八幡平の麓を目指します。途中ふっと視界が開けたと思ったらこんな風景が広がっていました。

若い緑の溢れる谷を、まるで松川の湯のごとく青白く光る乳白の霧が支配する。その光景は神々しさすら感じさせます。八幡平の大自然は、最後の最後まで、僕にその美しい姿を惜しみなく見せてくれました。

盛岡冷麺盛楼閣

麓へ下りると、あの神秘的な雨や霧が嘘のような天気。松川での2日間が、あたかも幻であるかのような錯覚を覚えます。

この旅も、残すところあと数時間。最後のグルメを堪能すべく、文字通り駅前に位置する、『盛楼閣』へお邪魔することに。こちらは地元の方にも大人気の有名店。もちろん、お目当ては盛岡名物冷麺です。

盛楼閣の盛岡冷麺

時刻は丁度お昼時。サラリーマンから主婦まで、店内は地元の方で大賑わい。観光客の方がまばらな状況の中で、本当に盛岡の人はお昼から焼き肉や冷麺なんだなぁ、などと感心することしばし、お待ち兼ねの冷麺が運ばれてきました。

もう一目見ただけでインパクト大。こちらの麺はまるでパスタのような見た目と太さで、今まで慣れ親しんできた冷麺とは一線を画すもの。

見たことのない麺に期待を膨らませつつ口に運べば、なんとも初めての食感。見た目では噛みずらそう、そんな印象を受けますが、実際は硬すぎず柔らかすぎずの丁度良い弾力で、太さのためか心地良い歯ざわりを楽しむことができます。

スープは一見濃そうに見えますが、決して塩辛いわけではなく、太い麺にも負けないしっかりしたダシの風味が印象的。キムチと合わせて頬張れば、口いっぱいの幸せを感じることができます。

盛岡で冷麺を食べるのはこれが3度目。以前ご紹介したぴょんぴょん舎以外のお店は初めてでしたが、大満足、納得の味でした。盛楼閣もぴょんぴょん舎も、それぞれ個性のある違った美味しさがあり、甲乙つけ難い。地元の人に人気があるのも頷けます。

冷麺にじゃじゃ麺と、盛岡の麺料理の奥深さを思い知らされました。お店ごとに違った味がある。当たり前のことですが、なかなか来ることができない僕にとって、次回盛岡に来たときはどのお店に入るか、嬉しい悩みに頭を抱えること必至です。

盛岡の名物に舌鼓を打った後は、表情豊かな盛岡の街をぶらぶら散策することにします。

岩手の秘湯で何想う~節目の鄙び旅~
新緑の夏油湯上がりに最高のビールを
2011.6 宮城/岩手
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1日目(東京⇒仙台)
●2日目(仙台⇒夏油温泉)
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●3日目(夏油温泉⇒大沢温泉⇒鉛温泉)
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●4日目(鉛温泉⇒盛岡⇒松川温泉)
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●5日目(松川温泉⇒盛岡⇒東京)
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