窓から差し込む眩い朝日に起こされ迎える朝。外を眺めれば爽快な青さに満ちた夏空と、その色を映して輝く青い海。すでに今日の鮮烈さが約束されたかのような空模様に、自ずと気持ちが昂ります。
寝起きの視界に飛び込む青さに心身共に目覚め、お腹もすいたところで朝食会場へ。今朝も美味しそうな品々が並ぶ中、選んだのはこのおかずたち。大好物のもずく海苔やもちもちの麩が美味しいフーチャンプルー、こんがり焼けたスパムなど。好物ばかりを選ぶので、結局いつも同じようなメニューになってしまいます。
案の定じゅーしーまでおかわりし、大満腹。お腹を落ち着け、船の時間に合わせて離島ターミナルへと向かいます。乗船券や竹富の入島券、そして島での昼食を買い込み桟橋へ。相変わらず晴天に輝く具志堅さんも、今年はマスクをしています。
恒例となったブロンズ具志堅さんへのご挨拶を終え、『安永観光』のうみかじ号へと乗り込みます。
船はまばらな乗客を乗せ、定刻通りに竹富島に向け出港。港外へと出て加速したと思ったのも束の間、あっという間に船窓には竹富島の端っこが。市街地に泊まり、竹富島に通う。この近さだからこそできる、いいとこどりの贅沢です。
高速船に揺られること15分、1日ぶりの竹富島に上陸。いつもなら下船客や迎えの車で賑わう岸壁も、今日もやはり静けさに包まれています。この姿が、本来なのかもしれない。ふとそう思うと、僕らが訪れることがいいのか悪いのか。そんなことが頭をよぎります。
例年も決して騒いだり迷惑を掛けているつもりはないけれど、違う土地に住む人が来訪するということは、違う習慣や感覚が持ち込まれるということ。
東京に生まれ育ち暮らす僕にとって、生活と隣り合わせで日々感じるその肌感覚。今年はより一層きちんとしなければ。静まり返った集落の姿に、今一度この時期に来させてもらうという意識を強く心に刻みます。
これまで旅の恥はなんちゃら、なんて思ったことすらないけれど。でもやはり今年の旅には、楽しさの中にちょくちょく自戒の念が顔を出す。それはきっと、最近旅することに慣れてきた自分に与えられた、この趣味と向き合ういい機会なのかもしれない。
同じ時季、同じ場所を訪れても感じることは都度変わる。まさに今年はその最たるもので、だからこそ今感じていることを忘れずにいたい。全身に降り注ぐ南国の陽射しの熱気とともに、旅に出られることの貴重さを今一度胸へと刻みます。
粗く積まれた珊瑚の石垣に映える、鮮やかなブーゲンビリア。島全体が豊かな緑に覆われる竹富島は、集落内も植物園のよう。進むごとに歩みを止めさせる美しさが、この島の至るところに溢れています。
ただ目を開くだけで、視界を染める豊かな色彩。石垣の黒さに、白砂の道。家屋の穏やかな木の風合いを彩る、赤瓦と白漆喰。人工物に埋もれて暮らす僕にとって、この光景は何度見ても鮮烈さを失わない。
旺盛な木々の緑に、鮮烈な色彩を放つ幾多もの花々。そのすぐ隣に溶け込む家並みに、それら全てを強烈に照らし上げる真夏の太陽。自分に降り注ぐ八重山の漲りを、今はひたすら浴びていたい。
総天然色に彩られる、美しい島。今年しか味わえないであろうこの静かなる豊かさに、ただただ夢見心地で染まってゆくのでした。
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