今年も全力のあおさで包んでくれたコンドイビーチ。ここでしか逢うことのできない豊かな時間に、また次があると信じつつもやはり後ろ髪を引かれてしまう。去り際にもう一度だけ振り返り、地上の楽園のあおさを心に灼きつけます。
帰りは港までのんびり散歩。集落へと向かう緑豊かな道を歩いていると、僕らを先導するかのように戯れつつ飛ぶ2匹のリュウキュウムラサキ。漆黒の翅に浮かぶ優美な紋様に、思わず目が釘付けに。
海水浴と日焼けの甘美な気怠さを感じつつ、のんびり歩く静かな集落。街に溶け込むように寄り添う、南国らしい豊かな緑。人のくらしと自然の近さに、毎度のことながらこころを奪われてしまう。
夏空に、珊瑚の石垣、赤瓦。何度竹富島を訪れても、全く色褪せることのないこの感動。それどころか、逢瀬を重ねるごとに一層好きになる。この空気感、世界観に出逢えなければ、もしかしたら今の自分とは全く違う自分になっていたかもしれない。
6年前、35歳。人生半ばにして知ることのできた、新たな自分。それから仕事でも環境でも色々なことがあったけれど、それを越えるごとに少しずつながら自分を肯定できている。それまで混沌の想いの中にいた自分にとって、今思えばあの旅はきっと大きな転機になったに違いない。
見上げる空も、吸っている空気も、僕の生まれて暮らす東京と繋がっている。それなのに、あまりにも違うこの世界感。平等に流れる時間すら、同じものとは思えない。
去年はおあずけを喰らったけれど、今年もこうしてまた来ることができた。いつもいつも、生きる元気と勇気をありがとう。これでまた次来るときまで、頑張れる。輝く円らな牛の瞳に見送られ、この島で得た希望を胸へとしまいます。
何度も歩いたこの道も、今年は最後と思うと切なくなる。その気持ちは、それほどまでにこの島での時間に満たされたという揺るぎない証。だから絶対、来年も。青く輝く海を見据え、再訪を強く強く誓います。
今年の竹富は、いつも以上に表情が豊かだった。ここで体感した季節の変わる瞬間を、きっと忘れることはないだろう。待合所で眺める絵に描いたような夏色に、この旅で出逢えた色彩の数々を思い出す。
今年も、本当に良い時間だった。2年ぶりに染まることのできた竹富島の記憶を胸へと刻み、あおい眩しさに目を細めつつ静かに船を待つのでした。
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