碧の八重山、至極の夏。~2日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

碧の八重山、至極の夏。~2日目 ②~

西表島仲間川マングローブクルーズ船 旅行記

石垣から西表までの航路は2つ。今回は大原港到着の便を選択。というのも、この港からお目当ての船が出るから。今回西表島を訪れた目的のひとつ、『仲間川マングローブクルーズ』です。

船から降りてすぐ目の前の「ショップじゅごん」でチケットを購入。このときに西表島島内のバス一日乗車券を見せると割引になるので、やっぱり今回買ったセット券はかなりお得。

仲間川マングローブクルーズ船マヤプシキ号に乗って出港!
小さい船に乗り、いざ出港!大原港をゆったりと進み、仲間川河口へと向かいます。それにしてもこの晴天。視界のほとんどが青と緑で占められるという、何とも言えぬ爽快感が風と共に体の中へと沁みてきます。

仲間川を疾走するマングローブクルーズ船
仲間川は上流から河口までほとんど高低差のないという特殊な川。干潮になると船は上流へと進めなくなるため、時刻によって折り返し地点が変わるそう。HPで運行予定が載っているので、要チェックです。

このときは丁度潮の引き始め。急がないと水深が浅くなり船が戻って来られなくなるということで、スピードを出せる部分では想像以上の速さでグイグイ進みます。

西表島仲間川ヒルギの深い森
僕はここで初めて知ったのですが、マングローブとは木の名前ではないのだそう。潮の干満の影響で水位が頻繁に変わる「潮間帯」という場所に生える木全般を指すとのこと。

この仲間川では、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、マヤプシキなど数種類の木が群れとなり森を形成しています。なぜそれらの木が群れとなるのか。それはそれぞれ好む塩分濃度が違うからだそう。自然って、本当に不思議でよくできています。

西表島仲間川のリアルジャングルクルーズ
そんな分かりやすい説明を聞きながら進む船。上流へと進むにつれ川幅は狭くなり、森が一層身近に感じられる距離に。抜けるような青空と人跡未踏とも思える深い森。これこそリアルジャングルクルーズ。

地面に刺さっているだけのマングローブ
ちなみに、発達した根の不思議な形に目が行くマングローブ。これだけ根が多いのだから、きっと大地にしっかりと根を張っているのだろう。そう思っていました。

ですが実際は、地上と水中とを繰り返す脆弱な地盤にただ「刺さって」いるだけなのだそう。だからこうして根を支柱のように四方八方へと張り巡らせ、倒れないように支えているのです。

それでも台風に晒されたり、成長しすぎて自身を支えきれなくなったりすると倒れてしまいます。実際に倒れた幹をたくさん見かけました。

でもそれも必要なことなのだそう。大きく成長した木が倒れれば差し込む光が増し、そこから新しい芽が出るのです。こうして世代交代をし、豊かな森を守り続けています。

石垣島仲間川上流の熱帯性植物
更に進むと森の雰囲気が変わってきます。上流では塩分濃度が薄まり、川が蛇行している部分では外側は淡水の影響が強くなるそう。なので内側はマングローブ、外側は熱帯性植物といった具合に、それぞれ性質の異なる森ができるとのこと。

西表島仲間川マングローブクルーズ終点のサキシマスオウノキ
手付かずの深い森に圧倒されつつ進むこと30分ほど、このコースの折り返し地点に到着。上陸して木道を進むと、目の前には不思議な姿をした巨木が現れます。

この木はサキシマスオウノキ。特徴的な根は板根と呼ばれ、この衝立のような根で大きな幹を支えているのだそう。ちなみにこの木は日本で最大とのこと。干潮時には来ることができないので、今回は本当に運がよかった。

沖縄といえば海のイメージ。僕は勝手にそう思っていましたが、ここ西表島の大半は手付かずの熱帯雨林。その深い森は、美しさを越えて畏怖の念すら抱くほど。

豊かな自然の中を進む、本当のジャングルクルーズ。同じ国とは思えない絵に描いたような熱帯の姿に、また新しい八重山の魅力を感じるのでした。

碧の八重山、至極の夏。
由布島へ向かう水牛車と青い空
2017.7 沖縄
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