止まぬ感動ヤーヤドー ~やっぱり逢いたい、ここの夏。4日目 ④~

弘前市役所横の洋館スタバ

武家屋敷から始まり、現存十二天守のひとつである弘前城、そして植物園に藤田記念庭園と、さまざまな見どころを辿ってきた弘前散歩も佳境へ。

6度目の弘前ですが、市内をしっかり歩いたのは最初に訪れた時以来。まだ見ぬこの街の魅力に、圧倒されっぱなしの一日。途中には、こんな洋館を利用したスタバを発見。新旧和洋の共存、融合が、この弘前という街を形づくるのかもしれません。

弘前ゑびすや履物店
半日を掛けてたっぷりと味わったお城エリアを離れ、次なる目的地へ。僕が今年もどうしても訪れたかった、『ゑびすや履物店』にお邪魔します。

去年思いつきで買ってみた津軽塗下駄。その後東京に戻り日々履いて過ごしましたが、その感触の心地良いこと。

白木には白木の良さがあるのですが、塗りの下駄には独特の肌当たりの良さがある。すっと吸い付くような感触は、素足にものすごくしっくりくるのです。

そして塗り独特の歩き心地。一枚の桐板から切り出した下駄は安心感があり、馬鹿塗とも称されるほど根気よく何度も塗を重ねる津軽塗だからこその、軽やかな着地と耳をくすぐる音。

もう本当に気に入ってしまい、去年買った下駄はけっこうちびってしまいました。そこで今年もひとつ買い、交互に履いて長く愉しもうという魂胆なわけです。

今年は暗く深い緑をした下駄を購入。去年の青い色もいいですが、何とも言えぬ渋い緑が、足元をきりりと目立たせてくれます。もう手放せない、津軽塗下駄。来年ももう1足、買いに来なきゃ!

弘前三上ビル
下駄を自宅に発送していただき、上機嫌で歩きます。交差点には、いつも目に留まる古いビル。三上ビルというこの建物は、昭和2年に建てられた弘前で2番目に古い鉄筋コンクリートの建物だそう。

いつもここを歩くときに気になっていたこのビル。1階に『時代屋』という喫茶店が入っていたので、ちょっとコーヒーブレイクを。といっても、スタバみたいなカフェばかり行っている僕。これぞ喫茶店、という雰囲気のお店にひとりで入るのは初めてで、内心ドキドキ。

ドアを開けると、店名のイメージ通りの渋い空間が広がります。店主は女性の方で、初めてながらすっとお店に入ることができました。良かった、カタブツ頑固な感じじゃなくて。

外の光が陰影を濃くする落ち着いた店内で待つことしばし、注文したコーヒーとアップルパイのセットが運ばれてきます。

こうした空間で飲むコーヒーはより美味しく感じる。お茶をするとは、空間や流れる時間を含め楽しむ行為なのでしょう。普段僕はただコーヒーを飲んでいただけなんだと、ハッと気づかされます。日常の中のこんな余裕、本当は持たなければいけないのかも。

そして弘前といえばりんご、りんごといえばのアップルパイをひと口。ほどよく温められたアップルパイは、さくっとしたパイらしい食感が美味しい。そしてなにより、やっぱりりんご!

中にごろんと入った大ぶりのりんごは、もちろんコンポートにはされてはいるんです。でもその煮方が絶妙。食感や酸味などは生のりんごの雰囲気を色濃く残し、そして必要十分な味付けのみがされています。

これはりんご生産量日本一の弘前が誇る名物だからこそ。りんごに自信がなければ、これほどりんごの美味しさを前面に出した洋菓子なんて作れません。

実は今日、アイス組合のアイスとアップルパイをおやつにしてやろうと、敢えてお昼ご飯は抜きました。結果大成功!弘前はアップルパイの街。のぼりをそこかしこで見かけるのですが、5年目にしてようやく味わうことができました。

ねぷた会場に向かう軽トラとねぷた
もう今日は朝からどれだけ弘前の新しい魅力に出会っているのでしょうか。正直6度目ともなると、ねぷたの時間までは近郊に出かけようかとも考えていましたが、今日はこうして一日中弘前で過ごしてみて大正解。もっともっと、好きになってしまうのです。

そんな弘前色に染まった僕の心を一層煽るねぷた。数々のねぷたが市内を会場まで移動する姿を見れば、今宵の華が一層待ち遠しく思われます。

弘前八坂神社鳥居
居酒屋が開きはじめるまではまだ少し時間があります。そこで今度は立派なお寺があるという方向を目指して歩いてみることに。するとお寺の手前に赤い鳥居を発見。お参りしていくこととします。

弘前八坂神社
こちらの八坂神社は、350年以上も前からこの地にあるそうで、赤い屋根のお社と、それを守るかのように立つ木々の緑が印象的。

弘前金剛山最勝院五重塔
続いてお隣の最勝院へ。立派な門には「卯歳一代様」と大きな幕が掲げられ、その門の手前には二体のうさぎが。初めて訪れたため、なにかうさぎにゆかりでもあるのかな?と不思議に思っていました。

帰ってきてから調べてみると、津軽地方には「津軽一代様」という、自分の生まれ年の干支を守り神として信仰する風習があるそう。そしてここが、卯年の守り神である御本尊がいるお寺なのだそう。

新年や人生の節目など大切な時、自分がお参りすべき寺社が、干支によって決められている。この地を訪れなければきっと知らずにいたことでしょう。

弘前金剛山最勝院本堂
桜の葉が鮮やかな仁王門と五重塔。夏の美しさもさることながら、春の花の季節へと思いを馳せたところで、本堂にお参りします。

弘前金剛山最勝院五重塔
江戸時代にはこの地の1,133社を治めたというこのお寺。歴史の深さと規模の大きさが、この立派な五重塔から伝わってきます。

国の重要文化財にも指定されているこの塔は、450年も前に建てられたものだそう。津軽の厳しい冬に耐え、長い年月を経てなおこの美しさ。見上げるほどに高い立派なその姿は、東北随一の美しさを持つ塔と称されています。

弘前吉井酒造煉瓦倉庫
歴史あるお寺を後にし、今度は中央弘前駅方面へ。以前から気になっていた大きなレンガ造りの建物を、初めて間近に見てみることに。

弘前吉井酒造煉瓦倉庫
明治40年に酒造工場として造られたというこの巨大なレンガ造り。その後酒造会社の倉庫として使われ、今ではアーティーストの作品が一角で展示されています。

弘前吉井酒造煉瓦倉庫と木の電信柱
重厚な煉瓦の風合いを眺めつつ建物の裏へと回ってみると、そこには示し合わせたように古い木の電信柱が一本だけ立っていました。

赤煉瓦、木の電信柱、黒い板塀。奥のマンションさえ視界に入らなければ、ここだけが時代に取り残されたかのような錯覚に陥りそう。

弘前けん太居酒屋
午前中から歩きはじめ、もう時刻は夕方に。いやぁ、歩いた歩いた。そしてこれほどまでにまだ見ぬ見どころがあったとは。凄すぎる、弘前。好きすぎる、弘前。

今日はどれだけ弘前を満喫しただろうか。そんな弘前とも明日にはお別れ。そこで今夜は、僕的にここに行っておけば間違いのない、『けん太居酒屋』に入ります。

弘前けん太居酒屋津軽郷土料理盛り合わせ
こちらのお店には数々の津軽の味があるので、メニューを見てどれにしようかと迷ってしまいます。そこで見つけたのが、この盛り合わせ。津軽の郷土料理を少しずつ五種類味わえます。

下のふたつは、細さと食感、そして濃い風味が美味しい大鰐そばもやしと、僕の大好物ミズの水物。もうこのふたつだけでも呑めちゃうんですけど。

上の左のものは、身欠きにしんのねぎ味噌。干物にされて旨味を増した身欠きにしんが、ねぎ味噌で和えられているんですよ!?こんな旨いもん、酒のみを殺しに掛かっているとしか思えない。

中央の白いものはカドのすくめ。カドとはもうかさめのことで、その頭をほぐし大根おろしと一緒になますにしたもの。お店の方が好き嫌いがあるかもしれませんが、と言われていましたが、ハイ!好きです!!と宣言したくなる旨さ。

サメというと鮮度がよくないと臭くなるイメージの、僕にとってはあまり馴染の無い魚。でもこのすくめは全く臭くない。ほんのりと感じるサメの肉質と淡い旨味、そして程よい酸味がものすごく美味。豊盃、おかわり!

そして右は清水森ナンバのさもだし。ナラタケというきのこを程よい辛さの清水森ナンバ(唐辛子)で味付けしたもので、これまたお酒で火照った口につるんとたまらない旨さ。

弘前けん太居酒屋ミズの炒め物
お次ははい、出ました、またまたミズですよ。僕の死ぬほど大好物のミズを、今夜は炒め物で味わってみます。

豚肉としらたき、ミズを、シンプルにしょう油味で炒めたもの。そのシンプルさがたまらない。素材の持つ旨さや食感を、邪魔せず飾らず食べさせる。やっぱり青森の食は潔い美味しさだ。

これまでミズは水物や漬物、お浸しで出てくることが多かったので、お店の方に一般的な食べ方なのかと聞いてみました。すると、炒め物にして食べる方がご飯のおかずとしては多いかもしれないとのこと。ちょっと、ミズの美味しい食べ方をまだ隠し持っていたなんて。東北ずるいぞ!

弘前けん太居酒屋嶽きみの天ぷら
来シーズン、ミズを見たら絶対に豚と炒めてやる!そう決心しつつ、旨いつまみと旨い酒を愉しむひととき。

続いて注文したのは、嶽きみの天ぷら。ものすごい甘さが特徴の嶽きみは、衣サクッと、中ぷちっと。噛んだ瞬間溢れる甘いジュースは、夏のこの時期ならではの幸せ。

弘前けん太居酒屋田子にんにくの丸焼き
そして今年も弘前最後の〆は、田子産にんにくを。去年はから揚げを食べて感動した田子のにんにく。今年は丸焼きでいただきます。

まるごと火を通されたにんにくは、ほくっとした食感と強い甘味、口どけの良さが絶品。添えられた味噌を適量付ければ、もういくらでも食べられそう。どうして青森はこうも素材が素晴らしく旨いのだろうか。もう青森県、大好きだよ!

また今日も旨いつまみのオンパレードで危うく目的を忘れそうに。飲み過ぎると後に控えたねぷたに障るので、心を鬼にして日本酒のペースを調整します。

絶対弘前へは違う季節に来てやろう。予定を気にせず飲んだくれてしまいたい。昨日のお店もここのお店も、そんな衝動を呼ぶような美味しさで、僕を潰そうとしてくるのでした。

止まぬ感動ヤーヤドー~やっぱり逢いたい、ここの夏。~
2016年、ねぷた終了。
2016.7-8 青森/秋田/岩手
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