阿仁マタギから急行もりよし号に揺られること約40分、角館に到着。ここに来るのは今回で二度目。前回は秋だったので、まだ見ぬ夏の角館の景色を楽しみにしつつ歩きはじめます。
角館からのんびり歩くこと20分、角館といえば、の武家屋敷通りに到着。黒塀を彩る盛夏の濃い緑がまぶしく、秋に来たときの印象とは全く違うことに驚き。
そしてこちらも角館といえば、の枝垂れ桜。たっぷりと葉を茂らせた枝が重そうに垂れ、歩道に木陰という一服の清涼を与えてくれます。これが桜の花だったらと思えば、春の美しさは想像に難くありません。
桜と共にこの武家屋敷通りで目立つのが紅葉の木。夏の紅葉は若々しい緑に溢れ、強い日差しを一身に受けて輝いています。これが色づく秋も、やはりきっと美しいことでしょう。
前回もその雰囲気が強く印象的だったこの垣根。武家のお屋敷を仕切るその姿は、昔話の世界からそのまま飛び出してきたかのよう。箒で掃き掃除をしつつお隣とご挨拶。そんな光景が目に浮かぶようです。
眩い緑と黒塀の対比を楽しんだところで、『安藤醸造花上庵』にお邪魔することに。このお店は醤油味噌を始めとした発酵食品を造るお店で、前回は生醤油を買いその美味しさに驚きました。
なので今回も何か買おうと中へと入ってみると、たくさんの品揃えに迷う迷う。お醤油もお味噌も捨てがたかったのですが、今回選んだのはいぶりたくあんとごま味噌だれ。
いぶりたくあんは余計な甘さは全くない、すっきりとした僕好みの味。このブログでもたびたび姿を変え、レシピとして登場しました。
そして感動的旨さだったのが、ごま味噌だれ。店頭で試食して思わず衝動買いしたほどの美味しさ。コク、塩分、甘味、酸味のバランスが絶妙で、麺類や冷しゃぶ、カルパッチョなど何にでも使えてしまう万能だれ。
あっという間に使い切ってしまい、もっと買って来れば良かったと後悔。きっとこれからの冬の時期、しゃぶしゃぶをこれで食べたら美味しかったんだろうなぁ。お取り寄せ、しちゃおうかなぁ。
江戸時代から時が止まったかのような角館の武家屋敷通り。道幅も当時から変わらず、並ぶお屋敷も侍が住んでいた時の様式そのまま。
先ほどは桜の春や紅葉の秋もきっと美しいだろうと書きましたが、この盛夏の緑溢れる姿もまた、ものすごく美しい。屋敷林の勢いのある緑が一斉に夏の日に照らされ、通りの黒塀を鮮やかに彩る。この活き活きとした美しさは、この時期ならでは。
武家屋敷通りで歴史を感じた後は、角館グルメを楽しむことに。今回も『食堂いなほ』であの美味しさを味わうこととします。
前回食べてその美味しさに感動したがっこ懐石を今回も注文。今回は夏ということで、前回とはまた違ったラインナップにワクワク。
トマトの寒麹漬けやピクルスのゼリー寄せ、長芋の土佐酢和えは夏らしい爽やかな味わい。なすの味噌煮やいんげんのごま和えといった夏野菜も旬らしい素材の力を活かした美味しさ。
そしてやっぱり旨いのが、いぶりがっこの天ぷら。ほどよく熱の通されたいぶりがっこは適度に柔らかくなり、香りと旨味が凝縮されて倍増。一緒に頼んだ秀よし生酒がいくらあっても足りません。
いぶりがっこは甘露煮にも姿を変えています。柔らかく煮られ味付けしなおされていますが、その燻製感は健在。漬物をよく食べる土地ならではの美味しい食べ方。
そして僕の好物である角館納豆はそのままのいぶりがっこと共に味わいます。ひきわりは普段好んで食べないのですが、この角館納豆の香りの良さはどんぴしゃ、僕好み。いぶりがっこの香ばしさと合わせればもう無敵の旨さ。
お漬物の色々な美味しさをちょっとずつ楽しめるがっこ懐石もさることながら、感動ものの旨さなのが、このいぶりがっこの卵とじ丼。
卵丼に細切りのいぶりがっこが入っているのですが、その味わい深さは抜群。お肉が使われていないとは思えない食べ応えとコク、旨味があり、もう本当に惚れ惚れする味。この食べ方を考えた人は、間違いなく天才です!
一緒に出されたお吸い物には刻んだ白菜漬けが使われ、その旨味がじんわりとおつゆにしみ出てホッとする美味しさ。きりたんぽはもちもちで、その美味しいおつゆを程よく吸っています。
前回の秋とはまた違った品々で楽しませてくれたがっこ懐石。春夏秋冬、それぞれの時期に味わってみたい。また角館に来たときは、きっと訪れてしまうことでしょう。旨かった!満足満足♪
角館の味に舌鼓を打ち、再び街をのんびり散策。立派な蔵に誘われ、西宮家にお邪魔してみます。
この立派な蔵は米蔵だそうで、中には布や食器、樺細工などの雑貨がたくさん並んでいます。僕もここでお皿をひとつ衝動買い。旅先でのこんな出会いもまた、楽しいものです。
米蔵を出て先へと進むと、建物に囲まれたところに古い井戸が。昔は釣瓶で、その後は手押しポンプで使われていたのでしょう。浮いた錆が、その味わいを一層深いものにしています。
古き良き建物が並ぶ西宮家を出て、更に南へと歩いてみることに。この辺りは古いお屋敷が多く、塀からはみ出す屋敷林がその歴史を感じさせます。
お屋敷が途切れたところで道を変え、駅の方面へと戻ります。この立派なレンガ蔵は、先ほど武家屋敷で訪れた安藤醸造の本店。前回はこちらのお店に立ち寄りました。
レンガ蔵の重厚な作りに見とれていると、入り口の横に湧水を発見。このお水で醤油や味噌を仕込んでいるそう。ひと口飲んでみると、まろやかで優しい口当たり。夏の乾いた喉に、すっきりとした嬉しい清涼感を連れてきてくれます。
夏の角館。盆地のこの地はやっぱり暑い。その暑さに負けじと茂る、枝垂れ桜の豊かな緑。前回訪れた秋の郷愁を誘う風情もさることながら、今回もとても美しい姿を魅せてくれました。
春夏秋冬、それぞれの良さがある。一度訪れた場所でも、季節が違えば表情が違う。そのことを今一度実感し、旅の欲求は一層深まるばかりなのでした。
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