今年も良い席を用意して頂いた弘前国際ホテルに感謝しつつ、チェックアウト。軒に吊るされた金魚ねぷたに見送られ、来年の再訪を誓うのでした。
弘前を発つまでまだ少し時間があるので、弘前の街をのんびり散歩することに。まず訪れたのは弘前城のすぐ近く、立派な佇まいを見せる『青森銀行記念館』。
その重厚な建物は、3年前に初めて弘前を訪れた際、僕にとって弘前という街を印象付ける存在のひとつでした。
今回は、ねぷた期間中ということで入館無料。せっかくなので中を見学してみることに。1階には、明治期からの紙幣や銀行関連を中心とした展示がずらり。
特に印象に残ったのが国立銀行紙幣というもの。日本銀行券しか知らない僕にとって、各地の銀行が紙幣の発行を行っていたということに驚き。 その他にも近代化を感じさせる展示物がたくさん。あまり展示資料を見ない僕ですが、思わず時間を掛けてじっくり見てしまいました。
玄関の横には、黒光りする立派な階段が。この階段は曲り階段と言われ、デザインとスペースを両立すべく工夫して造られたものだそう。欅の木が使われており、当時は大株主しか使えない貴賓階段だったとのこと。その優雅さが今でも滲み出ています。
気分だけ大株主で曲り階段を上ると、2階には荘厳な空気に包まれた、大きなホールが広がっています。どこまでも磨き上げられた板の間は、モダンなデザインの窓から落ちる光を受け、歴史に裏付けされた輝きを一層増しています。そして天井には、繊細な装飾と美しいシャンデリア。
先ほどの大ホールの天井は、貴重な金唐革紙というものが張られていましたが、こちらの部屋は鮮やかなスカイブルーに塗られ、また違った印象に。
明治時代に、青森県で初めての銀行として誕生した、旧第五十九銀行。その本店として建てられたこの建物や、展示された品々の歴史ある姿に、弘前が青森県の中心であったことを強く感じます。
今でこそ県庁所在地は青森ですが、ここ弘前は古くから津軽のお殿様の御膝元、城下町として栄え続けてきた歴史があります。そんなお城を久々に見るため、今回も追手門より城内へと入ります。
深い緑に包まれた公園を進み、姿を現す弘前城天守。その足元には足場が組まれ、どうやら工事のためにお城が動かされるよう。だからあれ程ねぷたの題材になっていたのですね。
現存12天守のひとつである弘前城。そんなお城を曳家で移動させる。文字通りの一大プロジェクトに間違いありません。その後ニュースで無事に移動が完了したことを知り、東京の地でホッと胸を撫で下ろしました。
石垣の修理が完成するまで、お堀と石垣、下乗橋との共演はお預けとなる弘前城。しばらく見ることが出来ないその雄姿を目に焼き付け、お城を後にします。弘前を離れるまであと少し。最後の弘前グルメを味わうため、今回も弘前中央食品市場に立ち寄ります。
大通側の入口から入るとすぐそこにある、『山田商店』にお邪魔し、中華そばを注文。去年は朝早くて開店しておらず、悔しい思いで弘前を去ったので、今回は絶対に食べるぞと意気込んできました。
待ちに待った、久しぶりのこの中華そば。前回と同じく、薄い色で澄んだとてもきれいなスープが張られています。まずはそのスープをひと口。しょう油感は控えめで、その分だしの味わいが広がる優しいスープ。食道から伝わりお腹の芯へと染みてくるような、深い穏やかな味わい。
麺は細い縮れ麺で、つるしこの食感と小麦粉感のバランスが丁度良い。縮れているので、啜るごとにスープをドンピシャな分量で口へと連れて来てくれます。無駄に柔らかくない昔ながらのチャーシュー、懐かしいなるとと素朴なメンマ、そしてざっくりと切られたたっぷりの長ねぎと相まって、本当に旨い一杯であると再確認。
派手さは無いけれど、本当に美味しい。素朴な弘前の味の余韻を残し、弘前を発つ時間となりました。
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