僕らも『水牛車』に乗り込み、いざ出発。水牛は満員の牛車をゆっくり、ゆっくりと曳いてゆきます。またこれが揺れるのなんの。砂地の海底には凹凸がたくさんあり、進むごとにいろいろな方向に大きく揺れます。これはこれですごく楽しい。
文字通り水牛車に揺られることあっという間、島全体が植物園となっている由布島に到着。到着後1ヵ所に集められて説明を聞き、その後自由行動となります。
お昼の時間を過ぎていたため、僕らは真っ先にレストランへと向かうことに。ここが由布島では唯一のレストランとなっています。
さまざまなメニューが並ぶ中で、やっぱり選んだのは八重山そば。もう僕はきっと八重山そば以外のお昼を食べることはないのではないか。そう思うほど。やっぱり、やっぱり、八重山そば♪
他のメニューに比べてお値段も手頃だし、まぁ観光地のレストランだから。そう思いつつ食べてみると、意外(失礼!)にきちんと美味しくてビックリ。
だしは優しい穏やかな味わいで、麺も程よい柔らかさ。載せられた三枚肉の煮物も丁度よい濃さで、八重山かまぼこがまた美味しい。最強コンビであるコーレーグースを加え、汗だくで一気に平らげてしまいました。
あぁやっぱり八重山そばは旨い。その余韻に浸りつつ、島内の散策へと繰り出します。以前は学校や公民館ができるほど人口があったようで、所々に基礎や井戸などその痕跡が残っています。
時折現れる人々の暮らしの名残に触れつつ歩くと、マンタの浜とよばれる海辺に到着。そこには見たことのない美しい花が咲いていました。多分八重咲きのハイビスカスではないかと思いますが、この花の疎さはどうにかならないものだろうか。自分でも呆れます。
目の前に広がる大きな海。残念ながら雲が多く出始めましたが、白い砂と珊瑚の散らばる浜辺には、波の音がからからと心地よく響きます。
ぽつぽつと雨が降り始めたので、水牛車のりばへと戻ります。のりば近くには、ふたつの水牛池が。ひとつは業務中の休憩用、もうひとつは非番やこども、ご隠居用なのだそう。
その非番用の池には、ちびっこ水牛の姿がちらほら。その中でもひとり、ずっと僕を見つめてくるものすごくかわいい子が。どうしよう、目が離せない。
雨足も強まり始めましたが、どうしよう、やっぱり立ち去り難い。あんなつぶらな瞳で見つめられては、離れられるわけがありません。
仔水牛への未練を断ち切り、後ろ髪を引かれつつのりばへと向かいます。すると出番用の池からは、これから仕事へと向かう水牛が曳かれてゆきます。分かるよ、僕にはわかるよ、そのドナドナ感。
はぁ、これからまた出番かぁ。水牛の背中に僕の気持ちをついつい重ねてしまいます。
帰りの水牛車では、三線の生演奏が。がったんごっとんと揺られ、緑と海を愛でつつ聴く三線の音色。竹富島でも思いましたが、この景色、この空気に包まれて聴くその音色は、ただの楽器とは思えない。
一年振りに耳にした、独特の音階を持つ三線の響き。去年は初めてというスパイスがありましたが、僕にはやっぱり南国属性がありそうだ。逞しい水牛の背中を見つめ、この瞬間、この幸せを噛み締めるのでした。
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