のんびり街ぶらで1年ぶりの石垣の空気を噛みしめ、一旦ホテルへと戻ることに。それにしても、梅雨明け直後の八重山は暑い。一番最初に訪れたときのような澄んだ暑さを、今年は感じられそう。汗だくをシャワーでリセットし、今宵の酒へと備えます。
時刻も程よきところで、繁華街である美崎町へと向かいます。幾多もの飲食店が並ぶ美崎町ですが、今年は休業中のお店がちらほらと。そんな中元気に営業中だった『藁焼きと酒せんべろ風土』へと入ってみることに。
去年訪れたときにはなかったこのお店、まだ新しさを感じる店内で黒ラベルを喉へと流します。ちなみに生は黒ラベル、オリオンは瓶での提供。メニューも島の食材と内地の料理の両方がそろい、僕の慣れ親しんだ本州の居酒屋といった雰囲気。
窓際の席で珍しく静かな石垣島の夕景を味わいつつ待つことしばし、注文したおつまみが運ばれてきます。まずは欠かせない、島豆腐の冷奴。硬めの食感の中に詰まった大豆の風味をシンプルに味わいます。
そのお隣は、美崎牛のしぐれ煮。石垣島の銘柄牛である美崎牛を、しょう油ベースの甘辛い味付けでしっかり煮込んだもの。肉はほろほろとほぐれ、広がる脂がしつこくない。これ、酒のあてもいいけれど、熱々のご飯が欲しくなる旨さ。口中に広がる牛の香りに、思わず泡盛が進みます
続いては、店名にもなっている藁焼きを。魚をはじめ、牛や野菜と藁焼きメニューがたくさん。その中で今回は、藁焼きといえばのかつおを注文。藁焼きならではの焼き目と燻製感が香ばしく、塩で食べればここが石垣島だということを忘れてしまいそう。
続けて近海まぐろのお刺身を。石垣島はとにかく刺身が安くて旨いところ。これで確か、390円かそこら。さっぱり目で瑞々しい赤身の味わいに、石垣島までやってきた感がグッと高まります。
改めて石垣の刺身のコスパの良さを実感したところで、今度は美崎牛のメンチカツを。カリッと揚がった衣の中には、肉汁を湛えた美崎牛のミンチ。噛めばジューシーさと共に牛の香りと甘さが広がり、小ぶりながら肉々しさを味わえます。
そして〆は、相方さんリクエストのとり天。見た感じ、「鶏の天ぷら」ではなくきちんとしたとり天のよう。鶏肉にはしっかりと下味が付けられ、厚めの衣はカリ、サク、ふわっと。石垣島でとり天と再会できるとは思っていなかったので、ますます自分がどこにいるのか分からなくなってしまいそう。
舌で石垣島と内地を行ったり来たり。思わず進んだ泡盛に、ほろ酔い気分でお店をあとにします。宿への帰り道、灯りの少ない静かな道でふと夜空を見上げれば、雲の切れ間から覗く明るい星。その近さに、やはりここは石垣島なのだと我に返ります。
ホテルへと戻り、宴の続きを。この旅一本目の夜のお供にと選んだのは、八重泉樽貯蔵グリーンボトル。43度の泡盛を樫樽で寝かせたというだけあり、泡盛の麹の香りの中に洋の雰囲気がしっかりと溶け込んでいます。
とろりと広がる、43度。まろやかな八重泉を含みつつ眺める、港湾の灯り。こんな夜が、あと6回もあるなんて。初めての石垣7泊という贅沢に足を踏み入れ、明日からの八重山色に心を寄せつつ深い眠りへと落ちるのでした。
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