石垣島で迎える静かな朝。今日はちょっとばかり早起き。まだ6時前の港湾には人の気配も船の往来もなく、ひっそりとした空気に包まれています。
急いで身支度を整え、朝食の時間が始まるとともに会場へ。サクッと揚げられたグルクンの唐揚げや、シャキッとした中に爽やかな苦みが美味しいゴーヤーチャンプルー。それらと一緒にじゅーしーを頬張れば、今日の元気の源が体の中から湧いてくるよう。
美味しいご飯をパパっと平らげ、急いで離島ターミナルへと向かいます。なぜ今朝はこんなに急いでいるのか。それは竹富島に渡るため。このときは減便ダイヤで運航されていたため、この船に間に合うようにと急いでいたのです。
桟橋で検温を受け、『八重山観光フェリー』のちゅらさん2へと乗り込みます。大きな船はまばらな乗客を乗せ、定刻通りに竹富へと向け出港。1年ぶりに眺める青い海と石垣の島影に、感慨深く思わず目を細めてしまう。
眩さに彩られた船窓を楽しむのも束の間、あっという間の15分で竹富港に到着。1年ぶりに港へと降り立ち、心の中で深呼吸。いつもならお迎えのワゴン車で賑わう岸壁も、今日は朝日と穏やかな波の煌めきが満ちるのみ。
下船した人々も散り散りに別れ、いつしか道を歩くのは僕らだけ。そんな静かな道路を陽射しに耐えつつ歩いてゆくと、ふわふわの毛をした仔牛のきょうだい。穏やかに流れる親子の時間に、見ているこちらまでなんだかのんびりしてしまいます。
いつもなら迎えのワゴン車や自転車が行き交う港への道も、今日は風が草木を揺らす音が響くのみ。これまで感じたことのないような静かな竹富島の姿に、太陽が肌を灼く音さえも聞こえてきそう。
静かだなぁ、暑いなぁ、静かだなぁ、暑いなぁ。汗をぬぐいつつ港から続くゆるい坂を登ると、いつもの交差点に牛の姿が。まだ朝だというのに強まる陽射しが、容赦なく牛の背中を焦がします。
牛もきっと暑いよなぁ。なんて思っていると、今度は木陰で涼むヤギ。大きな角に、立派なたてがみと髭。凛と立つその姿に、思わず威厳や風格のようなものすら感じてしまいます。
1年ぶりとなる竹富の動物たちへのご挨拶を終え、集落内へと入ります。いつもなら、自転車の往来激しいこの通り。でも今日は、ご覧の通り誰もいない。ほとんどのお店が休業中ということもあり、すれ違う観光客もごくわずか。
このときの僕は、まだ知る由もなかった。今年の夏が、30代最後にして一番青い夏になるなんて。そんな八重山がくれた宝物に出会えることも知らずに、のんきにのんびり歩くのでした。
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