美しさ、そして静けさに包まれた今年の竹富島。もう出逢うことのできないであろう唯一無二の輝きを胸に、この島を発つことに。来年も、きっと、きっと、また来るから。再訪の想いを海の青さに預け、『安永観光』の船へと乗り込みます。
エンジンの高鳴りと共に、一気に速度を上げる高速船。今年ここで過ごした3日間は、あまりにも特別だった。遠ざかる竹富島の姿に、今はただ有り余るほどの感動を重ねるのみ。
今年限りの素顔の竹富島の余韻に浸りつつ、ホテルへと戻り小休止。夢と現の間で地上の楽園の回想に耽っていると、いつしかあっという間に夕食の時間。繁華街に位置する『居酒屋8番地』に、今年もお邪魔します。
早速席につき、地元の言葉が行き交う中喉へと流す冷たいオリオン。石垣島の空気感にゆったり身を委ねていると、お通しのもずく酢が運ばれてきます。
もずく酢、大好き!そう思いひと口啜ると、ふわっと香るにんにくの香り。これまで経験したことのない組み合わせに、いい意味で衝撃が走ります。もずく=生姜、だけではないんだ。生にんにくとの相性の良さに、箸が止まりません。
にんにくともずくの競演に舌鼓を打っていると、注文した島豆腐の冷奴が到着。ギュッと詰まった島豆腐は、堅めながらしっとりとした食感。しょう油を垂らせば、濃い豆の甘味旨味が一層引き立ちます。
続いてはお刺身を。今日はあるものでしか作れませんが・・・、と言われましたが、お皿にはたっぷりのまぐろとセーイカが盛られています。
もっちり瑞々しい、赤身のまぐろ。そしてねっとり甘い、沖縄ならではのセーイカ。それぞれ間違いのない旨さを愉しんだ後は、添えられたシークヮーサーをしょう油にひと絞り。すると一気に南国感が増し、より一層泡盛との相性は抜群に。
そしてなぜか泡盛が進むと食べたくなる、ポテトフライ。サクふわっと揚げられた芋の風味やケチャップの甘酸っぱさが、異様に泡盛に合うのです。
こちらもやはりここに来たら欠かせない、ポークフライ。ザクっという心地よい食感の衣の中には、塩分油分そして独特の旨さが詰まったスパム。これひと口で、泡盛ロックがすいすい進んでしまいます。
本当は、チャンプルーや煮魚などいろいろな郷土の味が揃う8番地。でも結局、いつも同じようなメニューを選んでしまう。今年こそは違うものを頼んでみよう。そう思いつつも、1年振りの味に感じる帰ってきた感が嬉しくもある。
島の言葉を聞きながら、泡盛の火照りを味わう夜。僕にとってのこの特別が、いつか日常にできたなら。そんな淡い妄想と泡盛の酔いに揺蕩いつつ、静かな夜の街をのんびりと歩くのでした。
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