青に抱かれ見果てぬ夢を。~ブルートレインで北へ 2日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

青に抱かれ見果てぬ夢を。~ブルートレインで北へ 2日目 ③~

弘前津軽藩ねぷた村内津軽旨米屋 旅グルメ

胸を高鳴らせる美しいねぷたと力溢れる津軽三味線を楽しみ、時刻は丁度11時半。今朝はあけぼのの車内でおにぎりを食べただけだったので、お腹はもうペコペコです。

初の本格的な津軽路。せっかくなのでやはり津軽郷土料理を食べたいとお邪魔したのは、ねぷた村内にある『津軽旨米屋』。カレーやおそばといった手頃なものから、津軽の味が詰まったお膳まで色々なものから選べます。

津軽旨米屋でじょっぱり

この旅初の津軽グルメを待つ間に注文したのは、やはりこの旅初の津軽地酒。じょっぱりは好きなお酒のひとつで、津軽人の気質を名前に冠するに相応しい辛口でしっかりしたお酒。

冷たいお酒を一口含むと、火照った気持ちが一瞬冷えたかと思えば、再びねぷたや三味線の余韻と共にカッとした熱さを喉に連れてきます。

弘前津軽藩ねぷた村内津軽旨米屋津軽料理遺産御膳

耳に残る津軽三味線の勇壮な音をつまみにじょっぱりをちびちびやっていると、お待ち兼ねの「津軽料理遺産御膳」がやってきました。

津軽料理遺産とは青森県が認定した伝承店の出す地元の郷土料理のことで、B級グルメブームや町興しの為に作り出されたものでは無く、厳しい津軽の自然を生き抜くために昔から食べられ続けてきた、言わば真の家庭料理のことだそう。実際お膳には僕も知っている津軽の郷土料理が並んでいます。

まずは見るからにお酒に合いそうな鰊の切り込みから。麹漬けの魚は北海道の飯寿司が大好物で何度も口にしていますが、こちらは甘酸っぱい馴れ寿司ではなく、麹と塩分、鷹の爪の辛味が鰊の風味と見事にマッチしたもの。飯寿司とは全く方向性が違う魚の麹漬けです。これも大好き!!この小鉢ひとつで四合瓶1本いく自信があります。

隣のいかの和え物はいかのわたが使われており、程よくゆでられたいかの食感がたまらない一品。わたの旨味とまろやかさにネギがいいアクセントとなり、お酒のみならずごはんにもピッタリ。

青森といえばこれ、という郷土料理の一つである貝焼き味噌は、煮立ったところに自分で卵を加え、好みの加減になったら頂きます。

本場の貝焼き味噌は初めて食べましたが、想像していたものとは違って全く甘味はなく、だしの効いたすっきりとした仕上がり。

病気や産後の栄養をつけるときに食べられていたという貝焼き味噌は、シンプルながら深い滋味に溢れる、心温まる優しい味。釜で炊いたホカホカのつがるロマンに載せて食べれば、言い表せない幸せに包まれます。

お隣のコンロはこれまた有名なけの汁。「け」とは粥のことだそうで、お米の代用のにんじんや大根、ごぼう、椎茸などの野菜が細かく刻まれたものがたっぷり入った味噌仕立ての汁になっています。

一口食べたときは野菜類が細かすぎてあれ?と感じましたが、噛めばかむほど野菜の旨味が詰まったおつゆが染み出し、この一体感はけの汁ならではのもの。するすると入っていく感覚もまた面白く、ごろっと野菜が好きな僕にとっては今まで食べたことの無い美味しさ。今度の冬は家で再現確定です。

その他にも、清水森ナンバの辛さが美味しい一升漬けや、程よい酸味の赤かぶ千枚付け、香り豊かな紫蘇巻梅干と、大満足なラインナップ。お酒もご飯もお腹一杯おいしく頂きました。

今まで秋田や岩手、宮城、福島には泊まる機会が多かったのですが、青森をしっかり旅するのはこれが初めて。前回お邪魔した秋元温泉も本当に泊まっただけで、いつも列車で通るか乗り換えるくらいしかしていませんでした。なので今回、この弘前で見るもの、食べるものにはどれも新鮮な感動を覚えます。

この郷土料理もまたしかり。今まで訪れた東北のどの地域ともまた違う、素朴で、控えめで、いい意味で派手さが無い。それでいて芯に力強さを感じさせ、まさに津軽の風土というものが詰まっているのではないか。そう思わせる郷土の味に、再び胸が熱くなるのでした。

弘前青森銀行記念館

郷土の味に舌鼓を打ち、再び弘前散策へ繰り出します。今夜の宿方面へのバスは駅から出発していますが、市役所辺りでバスに乗ろうと、そのあたりをプラプラすることに。

ねぷた村から弘前城跡沿いに市役所方面へ向かうと、遠くになにやら洋館のようなものが見え隠れ。近づいてみると立派な佇まいの青森銀行記念館がどっしりと構えていました。

弘前旧東奥義塾外人教師館

その近く、市役所隣の追手門広場には洋館が2棟ならんでいます。こちらは旧東奥義塾外人教師館。板張りの壁とレンガ造りの煙突、整然と並んだ小さな窓が印象的。

旧弘前市立図書館

そしてこちらが旧弘前市立図書館。白亜の壁と赤いドームが目を引く建物。失礼承知で言わせて頂きますが、青森といえば東北でも一番端っこ。その青森に古くからハイカラな洋館が立ち並んでいたことに驚きを覚えます。

この建物の周囲には、現存するものから無くなったものまで、市内の洋館のミニチュアがたくさん並んでいます。その数の多さに、弘前がいかに古くから栄えてきた街であるかを教えられます。

弘前のりんごポスト

今夜の宿は岩木山の麓に位置する嶽温泉。そちら方面へのバスは本数が少ないので、少々早いですが13時台のバスで向かうことにします。これだけ観光してもまだ昼過ぎ。夜行列車の旅のなせる業。

市役所を少し過ぎたところにバス停があるので、のんびり歩いていくことに。途中には津軽名産りんごが載ったポストが。青森といえば、りんごですね。

弘南バス枯木平行き

程なくして、『弘南バス』枯木平行きが到着。ちなみに、弘前市内を走る弘南バスは系統や行先により市内を走る部分が違うようなので、街歩きからバスに乗る場合はあらかじめ下調べが必要です。弘南バスHPには載っていないので、市役所が提供する『ひろさき公共交通マップ』がとても便利です。

青森嶽温泉

チェックインは15時から。まだまだ早いので、途中の岩木山神社で下車してお参りし、次のバスを待たずして徒歩で嶽温泉へ向かう予定でした。

が、岩木山神社が近付くに連れてバケツをひっくり返したような土砂降りに。さすがに外へ出るのも憚られるような勢いの雨だったため、予定を急遽変更してそのまま嶽温泉まで乗車することに。

弘前市役所からバスに揺られること約40分、本日の宿のある嶽温泉に到着。こちらは夏にはとうもろこしが有名らしく、このときも軒を連ねるお土産やさんや食堂で嶽きみとして売られていました。

青森嶽温泉足湯

チェックインまではまだ1時間以上あるので、バスの途中で見つけた足湯を目指すことに。嶽のこじんまりとした温泉街から下ること約5分ほどで着きます。幸い、この地区は雨がすでに上がっており、降っていた量もそれほどでもなさそう。足湯はお尻を濡らさずに楽しめそうです。

嶽温泉足湯でのんびり

本来の予定よりも早く、脚だけフライング入浴となった初の嶽の湯。期待通りの硫黄臭漂うにごり湯で、思ったよりも酸性はきつくなさそう。肌への当たりが良く、雨上がりのほんの少し涼しい風を浴びながらの足湯は、予期せぬ雨がもたらしてくれた不幸中の幸いです。

青森嶽温泉雨上がりのたんぽぽ綿毛

いくら気持ちが良いとはいえ、足湯にずっと入っていては本番の湯浴みまでに逆上せてしまいます。ということで、よきところで切り上げて周辺散策へ。

雨が上がり急速に回復した空模様。キラキラと光を反射させる小さい水路の横には、無数のたんぽぽの綿毛たちが太陽を浴びて優しく揺れています。

青森嶽温泉雨上がりの岩木山

到着したときは姿を見せなかった岩木山も、頂までしっかりとその威厳のある姿を現してくれました。

楽しみにしていた岩木山神社の参拝。本当にその周辺だけシャワーのような豪雨でした。ここまでの雨に見舞われると、今はお参りするタイミングではないのかな?などとちょっと残念に思いましたが、そのお陰で足湯も楽しめ、嶽ののどかな雰囲気も楽しむことができました。

そして現れてくれたお岩木山。どうやら、ちょっとびっくりはさせられましたが、僕を迎え入れてくれたようです。

早くも脚で味わった岩木山の恵み、嶽の湯。それにどっぷり浸かる様子を思い浮かべ、チェックインのときを今か今かと待ちわびるのでした。

青に抱かれ見果てぬ夢を~ブルートレインで北へ~
寝台特急北斗星ワイン片手にロイヤルで過ごす贅沢なひととき
2012.6 青森/北海道
旅行記へ
1日目(東京⇒弘前)
●2日目(弘前⇒嶽温泉)
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●3日目(嶽温泉⇒黒石⇒青荷温泉)
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●4日目(青荷温泉⇒洞爺)
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●5日目(洞爺⇒札幌⇒小金湯温泉)
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●6日目(小金湯温泉⇒札幌⇒東京)
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7日目

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