初の城崎、その風情に早くもどっぷりと魅了されたところで、いざ浴衣に着替えて『外湯めぐり』へ。
城崎には7つの外湯があり、それらを巡るのがここを訪れた際の楽しみ方。古くから、宿は客間、温泉街を廊下として、街全体で湯治客をもてなしてきたそう。その文化が今もなお受け継がれ、ここを訪れた人々を楽しませてくれます。
そんな外湯めぐりを簡単にしてくれるのが、おサイフケータイやICカードに書き込んでもらう、デジタルチケットゆめぱ。宿のチェックイン時に書き込んでもらい、これを持って出掛ければ、タッチするだけで外湯に入ることができ、加盟店ではキャッシュレスでお買い物も。お代はチェックアウト時に宿で精算できるという便利なシステムです。
早速携帯とタオルを持ち、まずは宿から駅方面へ。川沿いに建つ地蔵湯へと入ります。こちらは玄武洞をイメージしたという六角窓が目印で、中は石張りの近代的な浴室。
城崎のお湯はさらりとしており、優しい浴感ながら体の芯まで温まります。外湯によって若干の浴感や温度の違いは感じましたが、基本的にはどこも同じ泉質のようです。
外湯めぐりはまだ始まったばかり。初の城崎のお湯だったのでじっくり浸かっていたいところですが、逆上せない程度でさくっと上がり、次の外湯を目指します。
心地よく火照った体に感じる、冬の日本海から吹く風。浴衣に下駄で街を歩けば、一層その風情を濃く感じることができます。
駅前に続く商店街をのんびり進み、駅の真隣に位置するさとの湯に到着。このころにはすっかり体は冷え、早く早くとお湯の温もりを欲しています。
こちらの浴室は二層になっており、下階が大きい湯船のある大浴場、上階は空の広がる露天風呂になっています。駅前の外湯だけあり、結構な混雑。城崎の外湯としては珍しい大きな露天風呂があるので、より人気があるのでしょう。
駅前のさとの湯で温もりを取り戻し、温泉街を奥へ奥へと進みます。そしてたどり着いたまんだら湯。あぁ寒い寒い、早く湯に浸かりたい。この感覚こそが、冬の温泉の醍醐味。欲を言えばやはり雪が欲しいところですが、それでも初めての冬の城崎を体を以って満喫します。
まんだら湯はお寺を連想させる建物で、浴室はこじんまりとした雰囲気。小さいながらも露天風呂もあり、温泉街の突き当りらしい落ち着いた雰囲気で湯浴みを楽しめます。
まんだら湯から更に温泉街の奥へと進むと、温泉寺の向かいに位置する鴻の湯に到着。こちらは駅や温泉街から一番離れているため、ゆったり広めの造り。
まだ新しさを感じる建物には、大きな大浴場のほかに、これまた大きな露天風呂があり、静かな環境の中温泉に浸かることができます。
7つの外湯のうち4つをめぐり、宿へと戻ります。残りはあとのお楽しみとし、暮れ始めの温泉街を下駄を鳴らして歩きます。
城崎の温泉街というと、川沿いのあの風情を思い出しますが、川から離れた場所には、このような昔ながらの古き良き温泉街が続きます。城崎温泉、街歩きの楽しい外湯の街。本当に良いなぁ。
宿へと戻って一服し、今度はお宿の内湯を楽しむことに。城崎温泉では、外湯を楽しんでもらうためと温泉資源の保護のため、宿の内湯には使用量に制限があるそう。そのため、宿の内湯はこじんまりとした造りが多いそうです。
こちらの山本屋のお風呂は小さめながら落ち着いたモダンな雰囲気。外湯のにぎやかな雰囲気も良いですが、宿に帰ってこのようなホッとできる温泉があるのが嬉しいところ。
そして外には、樽を使った露天風呂も。岩肌と緑を眺めながら入る、しっとりとした雰囲気の露天は、まさに独り占めをしているような感覚。
基本的には、城崎の温泉はどこも同じような泉質。ですが、温泉の利用の仕方なのか、僕はどの外湯よりもここの温泉が一番良く感じました。肌へのあたりが柔らかで、湯上りは芯から温まり肌はしっとり。
城崎の代表的な楽しみ方である外湯めぐりを味わい、宿でお湯を再びゆっくりと味わう。初めての城崎温泉は、お湯も風情も、心身の奥まで沁みてきました。
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