伏見稲荷大社へお参りし、下山途中の雪の坂道で体力を使い果たした僕ら。一旦京都駅へ戻り、ホテルで一服してから次の行動を決めます。
今回予約したのは、京都第2タワーホテル(営業終了)。こちらに泊まると、その名の通り京都タワーの無料券がもらえます。ということで、夕飯前に京都タワーに登ってみることに。
そう言えば、京都へは何度か来ているものの、京都タワーに登るのはこれが2回目だったはず。
前回は確か5歳くらいの時。その時はタワーから降りる帰り道にお化け屋敷があり、そこを通らないと降りられないという軽いトラウマにも似た記憶がある、この京都タワー。
そのイメージのまま登りましたが、展望台はすっかりリニューアルされ、何だか良い雰囲気に。でも、帰りにまたあの怖いお化け屋敷が待っていたら嫌だなぁ、とチキンな本音がぽろっと出てしまいます。
四半世紀以上も経て、僕にとっての京都タワーの想い出はお化け屋敷一色に。だからこそ、この眺めの良さに驚いてしまいました。特に今日の眺めは格別。高い建物が無く落ち着いた街並みと、盆地の縁を形成する山々には白い雪化粧。
雪の京都、本当に絶妙なタイミングで訪れることができた。そして、京都タワーに登ったことの無い人は、一度は登ってみることをお勧めします。
高い建物の無い京都の街を見下ろすその眺めは、想像以上の展望が開けます。そして、上空から眺める、いつもとは違った表情を持つ街並みもまた一興。
地元だからこそ登ったことが無いという相方さんも、この眺めには感心していました。更に双眼鏡も無料で楽しめ、横断歩道を歩いている人や、オフィスで仕事をしている人の姿まで見えてしまうような高倍率なものも。
久々の京都タワーにすっかりはしゃぎ、ようやく下の展望フロアに降りることに。その階段の一部の外壁部分はガラス張りとなり、足元まで透け透け。思わず足がすくんでしまいます。
いつもは下から眺めて楽しむだけだった京都タワー。無料券をもらわなければ、もしかしたらもう登ることも無かったかもしれません。こんな偶然も旅の楽しさのひとつ。想像以上に京都タワーを満喫しました。
そして驚いたのが、その構造。和ろうそくのようなシルエットが印象的なこのタワーですが、なんと中身は空洞。飛行機や鉄道に使われているモノコック構造により強度が保たれているそうで、金属の筒を積み重ね、溶接して造られています。
そして驚くのはその厚さ。薄い部分では1.2cm、厚い部分でも2.2cmしか無いとこのと。これはタワーに登るまで全く知りませんでした。その構造を知り、一層このシルエットが好きになりました。
唯一無二の京都タワーに今一度惚れ直し、良い時間になったところで、今夜の美酒美食が待つ舞台へ。山陰本線の花園駅から徒歩数分、静かな住宅地に佇む『竹とり本店』へとお邪魔します。
ここは以前相方さんが来て、本当に美味しかったから連れて来たいと言っていたお店。入る前から、町家を改造したその趣にやられてしまいます。
まず最初に注文したのは、お刺身盛り合わせ。こちらのお店では、自社農場で育てたななたに地鶏という鶏を使用し、お店のすぐ横でつぶしているそうで、普段では刺身では目にしない部位が並びます。
むねやももは瑞々しく新鮮そのもので、心地よい歯ごたえと詰まった旨味が楽しめます。レバーは歯ごたえがありつつもとろける旨さで、レバ刺し好きの僕には堪りません。はつはクセが無く弾力が印象的で、白子はぷちっとした食感の後に来るとろりとした旨さを楽しめます。
そして、一番好きだったのが、砂肝の刺身。本当に初めてお目にかかりましたが、砂肝好きの僕にとっては天国の美味しさ。
生だからか、それとも新鮮だからなのか、焼き鳥の砂肝のような独特の風味は皆無。噛めば特徴でもある歯ごたえの後に、じんわりと広がる何とも言えぬしみじみとした旨味。思い出すだけでまた食べたい。砂肝の刺身、食べたい、食べたい(泣)
続いては、タタキの盛り合わせ。また生かよっ!と思われそうですが、生の鶏ってちゃんとしたお店じゃないと食べられないんですもん。
やはりこの地鶏が美味しいのでしょう、もも、むね、ささみとそれぞれ違った食感と旨味を楽しめます。添えられた薬味も、わさび、もみじおろし、ゆず胡椒、梅肉と様々。鶏の部位と薬味の組み合わせの違いによる味の探検もまた、食して楽しい理由のひとつ。
僕の生肉熱も一段落したところで、お次は鶏皮の唐揚げ。さくっと、からっと揚がった鶏皮は、脂っぽさは全くありません。レモンをきゅっと絞って食べれば、お酒が一層進むこと間違いなし。
ここでお店の方がサービスで出してくれたのが、この白レバ煮。色は控えめですが味はしっかり付いており、しょうがの風味が効いています。
僕にとっての今日イチ、出ました。この白レバ煮と刺身が同率一位。これさえあれば、放っておけば潰れる自信があります。本当に美味しかった。
こちらのお店は地酒も豊富で、もうここまででどれくらいおかわりしたことでしょう。生食好きな僕はもう一回レバ刺しをおかわりして、もう気分は夢見心地。
そして最後の〆として注文したのは、砂肝とはつの焼き鳥。こちらのお店の母体は竹炭屋さんだそうで、焼き鳥に使っているのも竹炭だそう。
強力な火力で一気に焼き上げる焼き鳥は、表面は香ばしく、中はジューシーな理想的な状態。お腹一杯でなければ、レバーも皮もつくねも食べたかった。今度来たらお刺身はちょっとにして、焼き鳥も食べたい。最後の最後まで、美味しい鶏を堪能しました。
観光客はまず行かないであろう、花園駅。その静かな住宅地の中には、隠れた名店がありました。これは地元の人ならではの情報。相方さんに感謝。
今夜はもう超が付くほどの満腹、満足状態。酔い覚ましにと地下鉄の駅まで歩こうということになり、歩き始めたは良いものの迷子になり、結局タクシーで駅まで無事に帰還。酔っぱらい二人組は嫌だね。
京都での夜も今晩限り。シャワーを浴び、寝る前にコンビニで仕入れたお気に入りの英勲で仕上げます。
関西は本当に食べ物が旨い。これまでのグルメを反芻しながらちびりちびりとやるうちに、深い眠りへと落ちてゆくのでした。
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