初の沖縄、初の竹富島、初めて出会う海の色。その青さに圧倒されたところで、今度は島の内側、豊かな緑と花々を眺めながら散策することに。
地面を見ると見覚えのある実がたくさん落ちています。ふと見上げれば、やっぱりそこにはオリーブの木が。大きな木には、枝もたわわにオリーブが実っていました。やっぱりここは南国だ。東京では出会わない木に、いちいち感動してしまいます。
朝顔にも似た、薄紫の可憐な花。先程のスコールの名残を花びらに載せ、熱帯の陽射しを浴びて咲き誇ります。
竹富島はどこを歩いていても植物園状態。珊瑚で出来た石垣が、その生育環境の一端を担っているのかもしれません。目の粗い、ごつごつとした石垣に咲く花々。この対比が、この島を一層美しくしているに違いない。
古い家の軒先を彩るブーゲンビリア。その花には2匹の黒い蝶が戯れ、もう言葉にするのも嫌になるほどの南国感。ここまで美しい景色を見てしまうと、現実感というものは無くなってしまうのです。
年季の入った珊瑚の石垣越しに見る、沖縄の空と、赤瓦。古き良き沖縄が残っていると言われるこの島のこの眺めは、琉球とこの地が呼ばれた頃から、そう変わっていないのかもしれません。
初めてなのに、懐かしい。懐かしいのに、新鮮。僕の生まれ育ち暮らす場所から、距離も文化も遠いところだとはっきり感じる。なのに何故か懐かしい。そんな不思議な感覚に襲われます。
こちらの屋根は葺きかえてまだ間もないのか、漆喰の白さが際立ちます。屋根の赤と白、植物の緑。そしてそれを覆う空の青さ。目の覚めるような強いコントラストが、目を通して心の底に焼き付きます。
美しい海辺から、石垣と花々、建物の織り成す街並みまで。思うが儘にのんびりと島内を味わい、水牛車乗り場に戻ってきました。先程僕らを乗せてくれたさぶろう君が休んでいます。
送迎バスの時間までのんびり過ごしていると、遠くから三線の音が。その方向を見てみると、人々を乗せた水牛車が帰ってきました。
頭にハイビスカスを飾った水牛はまだ若く、途中で文字通り道草を食っています。こんな時間が流れる竹富島。離れがたい、地上の楽園そのもの。
時刻はまだ15時過ぎ。半日前には梅雨空の東京にいたことが嘘のように感じられる、沖縄での濃密な時間。何だかすごく満喫した。3泊4日の旅程のまだまだ序盤だというのに、この満足感は何なのだろうか。ものすごく自分の中が満たされていることに驚きます。
かけがえの無い沖縄の原風景を見せてくれた竹富島。名残惜しい気持ちもありますが、これからは石垣島を楽しむ時間。滞在する石垣島へと向け、帰りも『安栄観光』の高速船に乗船。
竹富島の港を離れたかと思うと、驚くほどの急加速。帰りの船は水面を這うような重心の低さで、デッキに座った僕は思わず大興奮。漁船に乗ったことは無いけれど、きっとこんな感じなのかもしれない。
エンジンのけたたましい爆音と振動、そして全身に浴びる海風と波しぶき。客船とは思えないワイルドな乗り心地に、僕の心はもっともっと、解放されてゆくのでした。
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